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2006年04月19日(水) ■ |
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疾走 |
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意味が其の段まで 掴めなかったわけじゃない
ただ、最後のひと文字を終えるまで それは終わりじゃなかった
本を閉じて 一呼吸して 泣いた
声をあげて、子供のように 久しぶりにそうして泣いた
悲しさではなかった 苦しさや痛さややるせなさとも違う
多分 シュウジ、にではなく エリに、でもなく
多分 今思うのは 神父の為だと
おいおい 赤ん坊のように 声を出して泣いた
神父の為に
ナイフや血やセックスや暴力や穴ぼこではなく
神父と聖書とひとりの 言葉の為に
疾走[上・下]/重松清
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