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■ 化けの皮が剥がれて…
山口母子殺害事件で、被告である少年が、友人に送ったとされる手紙が 問題になってますよね。 妻と子供を殺された被害者が、被害者の人権を訴えて、マスコミに注目されていることにたいして、「調子に乗ってる」と書いたとか、なんとか。 まあ、検察側の証拠として提出されたということなので、 これは信憑性のあることと仮定したうえで。
被害者の遺族が、少年は全然反省してない、と憤っていました。 その怒りは、あたりまえでしょうね。 少年は、手紙をあてた友人を信用して、書いたのでしょうから、 この手紙が明るみに出たら、反省するのではなく、 ただただ、友人にまで裏切られた、としか思わないのだろうと 遺族の方は怒りもあらわに訴えてました。 彼の言うとおり。 問題の根本は、加害者の少年が、罪を自覚し、反省することです。 ばれた、とだけ少年が怒り、傷つくなら、どうしようもない。 最低。 …わかってるんですけどね。 すこしだけ、加害者の気持ちもわかっちゃうんです。 もちろん、犯罪について、ではありません。 加害者の少年が、ばれなければいいのに、って思ってる感情を、です。
ばれなければどんなにいいだろうって、実はあたしも思います。 どっちみち、なかみは同じで。 だから、いずれはメッキがはがれる。 彼も、法廷では泣いたらしいけど、手紙じゃ、そこまで演じきれなかったわけですね。 いつかは、ばれる日が来る。 わかってるけど。 でも、少しでも長く、ばれないでいられたらって望んでしまう。 ばれたのは、他でもない、そういうばれちゃいけない後ろ暗い気持ちをもってる 自分のせいなのに、ね。 ばれたという事実だけを、呪ってしまう。 それで傷つくなんて、八つ当たりです。 完璧なまでに。
近付かなければ、ばれるキケンは少ないです。 明るいところで見なければ、ヤバい部分はさほど目立ちませんから。 でも、彼は手紙を書いた。 口に出さなければ、きっとばれなくてすんだのに。 ばらしたかったのよね、どこかで。
あたしも、ばらしたかった。 抱えたまま、黙っているのも苦しいから。
だから、たぶん。 あたしが望んだこと。 その結果が、いまあるだけ。
時間はもとには戻せないわ。 逆には歩けない。 いつまでも止まってもいられない。
化けの皮って、どんなんでしょうね。 あたしは、そのとき、剥がれたと感じた。 だけど、もうずっと前に、とっくに剥がれ落ちていたのかもしれません。 鏡がなかったので、ただあたしだけが 気づかないで得意げに笑っていたのかもしれない。
持っている服は、これっきり。 無理をしたって、皮膚はいきなり、豪華な服になんてなりはしない。 木の葉の金貨は、やっぱり木の葉。
―拝啓、裸の王さま。
なぜでしょう。 あたしは、あなたを笑えません。 あたしは、あなたを哀しい人だと思います。 そうはなりたくないと心に誓いながら あなたのとても近くにいるような気がしています。
敬具
2000年12月18日(月)
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