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不気味なタイトルですが、ホラーではありません。 明晰な文体のピアニスト・青柳いづみこが 「文章で表現された音楽」を語るエッセイ集です。
なぜハロウィーンにおすすめするのか。 例えば表題の『六本指のゴルトベルク』とは、 我らがダーク・ヒーロー、ハンニバル・レクター博士。 映画『羊たちの沈黙』の凄惨な場面で、 レクター博士がうっとりと浸るバッハの 「ゴルトベルク変奏曲」の旋律が甦ってくるではありませんか。
それにしても音楽とは恐ろしいものですねえ。
ただ人の心を和ませたり楽しませたりするだけのものではない。 「音楽」とは、「演奏」とは、まさにこんな感じだなあ、と 現役演奏家も納得する音楽の文章表現は、 物語をサスペンスで満たし、多くの悲劇を引き起こします。
筆の立つ演奏家である青柳さんが、 自分たち音楽家の「業」の実情をまじえながら紹介する 物語の数々を読んでみたくなるのはもちろんですが、 文章で表現されている音楽がどんな曲かも気になる訳で、 本を片手にいちいち検索し、「ああ!この曲か!」と頷いてしまいます。
軽やかなタッチに乗せて次々と展開してゆく 文学と音楽と人間のおそろしさを秋の夜長に堪能してみては。 (ナルシア)
『六本指のゴルトベルク』 著者:青柳いづみこ / 出版社:中公文庫2012
2001年10月16日(火) 『テディとアニー』
2000年10月16日(月) 『バーニング・ツリー』
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管理者:お天気猫や
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