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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2007年09月29日(土) --

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『行動が人生を動かす』

自分が気づいていないものを心配するのは、白雪姫がガンにかかるかどうかを心配するようなものです。(引用)

読み終えるのにずいぶん時間がかかってしまったが、「大人になれない」「人間関係がむずかしい」と悩むことが多い人には、一般的な西洋臨床心理学や精神世界系の癒やし本とは違った視点から得られるものが大きいと思う。

感情はコントロールできないが、行動はコントロールできる、というのが、本書の提唱する「建設的な生き方」のベースになっている。それはそうだろう、と思うかもしれないが、一般の心理カウンセリングは相談者が過去のマイナス感情を味わって抑圧された感情を解き放つのが基本(乱暴に言えば)で、アダルトチルドレンの問題にしても、容易には克服できないとされている。

子どものころ受けた虐待や親との関係を今の自分と共有することが、まったく不要だとは思わないが、そういう時期をいったん過ぎた人にこそ、読んで実践してほしい内容である。そもそも本書を手にしたのは、森田療法のテキストを探していて、4〜5冊入手したなかの一冊である。著者が日本にも縁の深いアメリカ(西洋)人で、森田正馬や内観療法に大きな影響を受けた人物というのが気になっていた。洋の東西が触れあった後に、新しい方向が生まれると予感しているから。

はじめて「神経質」を定義づけた森田療法そのものについても知っておくにこしたことはないが、「現実」への希望を失っている人にとって、光が見える一冊をあえて選ぶとするなら、この一冊、と言える導きの書である。素直さという最大の成長条件を忘れないよう携えて、疑うべきは疑い、人間としてできるかぎりの現実認識をしようと思うならば。

一年前、仕事上の苦い経験から、人の本心を見るには、言葉でなく行動を、ごくシンプルに見れば良いのだと思わされた。本心と逆の行動をしている場合もあるかもしれないが、それは特殊な状況で、一般的に行動には本意があらわれやすい、と。そういうことを思うようになってから本書に出会ったので、より受け入れやすかったということもある。それもまた、タイミングなのだろう。

私たちが周囲のすべてから受けている恩恵はあまりにも大きく、個人がそのお返しをすることは不可能であると認識するかしないか、私たちはその事実をどれほど理解していただろう。感情にもとづいてではなく、行動の結果としての人生を築いてゆくために。(マーズ)


『行動が人生を動かす』著者:デヴィッド・K・レイノルズ / 訳:遠藤美保子・小木晴代 / 出版社:朱鷺書房2004

2003年09月29日(月) 『死霊の王』
2000年09月29日(金) 『慟哭』

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