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今年のはじめに出た、シリーズ最新刊。 描かれるテーマはとてつもなく古い時間とともにある。 よく考えれば、「こそあどの森」では、いつだってそうだったのかもしれない。 消えない「人の想い」がかたちづくる運命の流れについて、 やさしい人たちや、人ではない存在が教えてくれる。
今回の主人公は、スキッパーとふたご。 もちろん、ふたごはまたまた名前を変えている。 そしてもうひとりの主人公が、ぬまばあさん。 皆が知っている伝説のふしぎな歌とともに、 ぬまばあさんは子どもがやってくるのを待っていた。
石に人の想いや言葉が宿ることを知り、「石読み」ごっこをする スキッパー。今回もバーバさんは遠出していて独りで留守番。 しかしその石読み遊びが、思わぬところで訳に立つのだった。
ぬまばあさんの手から逃れようとするふたごのくだりは、 こわい夢のなかで手足が動かない感覚にも似て、心がしびれてくる。 私自身が子どものころ見た一番こわい夢というのが、 真っ暗な田んぼ(稲刈りの後らしい)で、 知らないおばあさんに後ろから追いつかれ、 むんずと手首をつかまれるという(そこで覚醒)ものだったからかもしれない。
スキッパーたちの暮らす「こそあどの森」は ある人が、近い将来、連なる森のてっぺんに創りたいと言っていた 理想郷にも通じるものがある、と今回の作品を読んで思わされた。
自給自足、物々交換、誰にも支配されない暮らし。 子育てをする人はいないけれど、人間関係にはいつも きちんと気をつかっている。 だれかがおかしな反応をしたら、そのことをちゃんと考える。 ときどきファンタスティックな大事件には巻き込まれるけれど、 こそあどの森での日々は、樹々や土地の聖霊に守られた、 住人それぞれのためのものなのだ。
石に触れて記憶をたずねれば、 どんな世界が輪郭をあらわすのだろう。 (マーズ)
『ぬまばあさんのうた』著者・絵:岡田 淳 / 出版社:理論社2006
2005年03月25日(金) 『初恋の騎士』
2004年03月25日(木) ロザムンド・ピルチャー(1)
2003年03月25日(火) 「木馬のぼうけん旅行」
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管理者:お天気猫や
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