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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2003年03月25日(火) --

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「木馬のぼうけん旅行」

☆小さな木馬の大きな冒険。

ピノキオがゼペットじいさんに再会するまで、
冒険をしながら大人に(人間に)なるように、
この木馬は、純粋な熱意で、生みの親、ピーダーじいさんのもとへ
帰ろうと一生けんめい。
それなのに、どんどん、おじいさんのいる村から
意に反して遠ざかってしまう。

しかも、放浪と冒険の間に、ピーダーじいさんを
楽にするためのお金を稼いでは失い、稼いではまた失い、
身体をいため、悪いやつらにもだまされ、さんざんな目にあう。
人間だったら生きていないような目(首が取れたり)にあっても、
そこは木馬だから、なんとか回復できるのだが、
そこがおもちゃ文学ならではの醍醐味でもある。
もちろんその反面、成長するにつれ、
良い人や良いめぐり合わせにも木馬は出会う。
まさに人生そのものを、小さな木馬は凝縮して味わうのだ。

タイトルどおり、木馬の冒険ははてしない。
自分はおとなしい、ただの小さな木馬で、ご主人のところに
帰って、しずかに暮らしたいだけなのです、と
いくら木馬が願っても、試練はさいごまでくぐらねばならない。
そして、いざとなると、自分は強い木馬です、がんばれます、と
生身の馬たちより勇気をもって状況に立ち向かう。
そういうことをくりかえしながら、
泣き虫だった木馬は、誇りのある木馬になる。
名前をほしがりもしない。
決して、木馬以上のもの、馬や人間といった生命あるものに
なりたいとは望まずに。

この古典作品は、2003年1月に、文庫で復刊された。
古書をさがそうかと思っていたところだったので、
うれしい出会いとなった。

ところで、私流の『おもちゃ文学』というジャンルは、
一般的に『トイ・ファンタジー』と呼ばれているらしい。
が、おもちゃ文学のほうがしっくり来るので、
当分この呼び方をしようと思う。
(マーズ)


「木馬のぼうけん旅行」 著者:アーシュラ・ウィリアムズ / 絵:ペギー・フォートナム / 訳:石井桃子 / 出版社:福音館文庫

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