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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2005年07月19日(火) --

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『くちづけは眠りの中で』

リンダの新作はスパイ・アクション。 ヒロインのリリー・マンスフィールドは スパイではないが、CIAの契約ヒットマン。 37歳という年齢は、リンダ作品のなかでも拍手もの。 18歳から国家による制裁殺人稼業に専念してきたリリーが、 ある現場から連れ帰った、娘がわりのジーア。 まだ13歳の彼女が、里親夫妻である リリーの親友たちとともに殺された。 復讐のため、単独でイタリアマフィアのボスを毒殺するリリー。 リリーの動きを封じるため、CIAの諜報員ルーカス・スウェインが送り込まれる。

この彼、ちょっと今までのタイプと違っているのが面白い。 訳の口調もくだけているし、 リリーをくすくす笑わせ、スピード狂で、いい感じに洒脱。 そして二人が出会うのは、151ページと遅い。 出会ってからは磁石のように行動をともにするのだが、 スウェインが次々とレンタカーを乗り換えるのがまた可笑しい。 最初の車が一番高価で、グレーのジャガー。 こきおろされたフィアットはお気の毒。

派手なスパイ・アクションだった『青い瞳の狼』の ジョン・マディーナも背景に登場している。 スウェインとリリーの関係は、お互いへの信頼が鍵。 常に銃を手放さず、裏の裏を読み、 それでもお互いに惹かれているのを隠さない大人の二人。 スウェインがバツイチで子持ちというのは、 娘を亡くしたリリーにとっても、共有できる親の思いがあった。

リリーの精神状態を思いやるスウェインの的確さは、 お互いに一匹狼で同業に身を置く者ならでは。 こんな風に理解されるのは、ちょっと羨望。

それにしてもスウェインの名セリフは凄い。

「きみを〜(中略)なら、頸動脈の一本や二本切ったってかまわない」(引用)

(マーズ)


『くちづけは眠りの中で』著:リンダ・ハワード / 訳:加藤洋子 / 二見文庫2005

2002年07月19日(金) ☆スター・ウォーズの素
2001年07月19日(木) ☆100円ショップの本

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