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夢の図書館新館

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-- 2002年07月19日(金) --

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☆スター・ウォーズの素

さあ、お待ちかね『スターウォーズ・エピソード2』の公開が始まりました。 しかし呆れた事に、すでに新作の海賊版が不法に流通しているそうですね。 映画公開に合わせたように先日のNHK特集は昏迷の知的財産権問題でした。

番組は著作権を侵害されて被害を被っているジョージ・ルーカスに インタヴューしていましたが、この人選は面白い。 海賊版に対してではなくて、知的財産の保護についてだと思われますが、 「先人の偉大な作品がなければ自分の作品は生まれていないから」 文化としての共有はある面やむなしといったコメント。

実際、特撮ファンタジー映画の金字塔『スター・ウォーズ』 エピソード4、5、6を見ると、若かりし日のルーカスが トールキンの『指輪物語』や黒澤明監督の映画の数々にどれほど心踊らせ、 自らの作品にどれほど心を込めてそのアイディアを盛り込んだかがわかります。

なお、番組ではクロサワ映画の原作に『マクベス』や『リア王』等の シェイクスピア作品がある事などにも触れていました。 番組内で特に言及はされませんでしたが、スター・ウォーズが 指輪物語やクロサワ映画を源流として生まれたのと同じ様に、 クロサワ映画のいくつかはシェイクスピア作品が、 指輪物語は北欧神話やギリシャ叙事詩等の 人類の遺産とも言うべき文学作品がそれぞれ物語の素となっています。

更にシェイクスピアの戯曲もオリジナルではなくて 有名な『ロミオとジュリエット』にしても『ハムレット』にしても 当時有名だった事件や物語がモデルとなっているのです。 人間が生み出すものには完全なるオリジナルなどはありえない。 芸術にしても技術にしても、それは先人の残した財産の上に成り立つものであり、 新たに生み出された作品は皆に享受して貰い、 次の創作物の元になる事が当然の流れだと、長い間思われてきました。 ルーカス氏のコメントはその「文化」の継承者の発言と言えます。

しかしいまや、その「文化」の伝承が 当然と言える時代ではなくなりました。 とはいえ、作者の権利を守る「知的財産権」は いつまでどこまで「保護」されるべきなのか。 「ミッキーマウス保護法」と揶揄されるアメリカ国内の著作権法 (毎年莫大な利益を生み出しているミッキーマウスの著作権は 国家的財産と言えるので、ミッキーマウスの著作権切れが近付く度に 期限の延長が行われる)、周辺がイラついているといった構図が 番組では紹介されていました。

多大な時間と労力と資金を注ぎ込んだ創作物、 新しい技術や新作映画などはもちろん「商品」ですが、 それらが世に出てある程度の時間が経過した場合、 著作権を楯にとって個人の利益を防衛するか、 人類の共有財産である「文化」として拡散を認めるか、 「商品」と「文化」の境界線が明確に存在しない限り、 これは永遠に決着のつかない問題なのでした。(ナルシア)

2001年07月19日(木) ☆100円ショップの本

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