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こちらの書評を読んで下さった方から、 『東京こどもクラブ』についての問い合わせがよくあります。
本の奥付をひっくり返してみても、 ここに書いてある以上には、何も分かりません。 時折、オークションサイトに出品されているようなので、 そちらをのぞいてみると、思わぬ再会があるかも知れませんね。
『東京こどもクラブ』については、 ほんとうにこれ以上のことはわからないので、 お答えのしようもありません。
何かの参考になることもあるかもしれませんので、 以前にメルマガに書いたことを転載します。(お天気猫や)
昨年の12月にCD付きの「ふるさとの民話(全30巻)」の刊行が始まりました。一回目の配本「ゆきむすめ/かさじぞう(中部地方一)」を壇ふみさんの語りで聞いていますが、思った以上に、懐かしい気持ちでいっぱいになりました。というのも、私は子どもの頃、レコード付きのお話を聞くのが大好きだったからです。
毎月心待ちにしていたのが、「東京こどもクラブ」。レコードとテ キスト(お話と歌詞の絵本で4穴の専用のバインダーに閉じるように なっています)が、セットになって送られてきます。
毎月郵便で届く「東京こどもクラブ」を赤い小さなレコードプレー ヤーで、飽きることなく歌やお話を聞いていました。今思うと、共働 きで留守がちだった両親が、何とか子どもの寂しさの埋め合わせをし ようとしていたのでしょう。そんな親の思いを知ってか知らずか、 レコードがぼろぼろにすり切れるまで聞いたものです。歌も楽しかっ たけれど、レコードと一緒に送られてきたお話のテキストを読みなが ら、まえだのおじさん(前田武彦さん)の素朴であたたかい語りを聞 くのが大好きでした。
「東京こどもクラブ」というのは、一種のレコード付き絵本の頒布 会で、毎月、歌とお話の絵本と、絵本の歌とお話が収録されたレコー ドが送られてきます。本の解説によると、「東京こどもクラブ」は、 幼児を対象とした視聴覚教育プログラムで、2-4才コースと5-7才コー スがあり、それぞれ12ヶ月でコースが完了するようになっていました。
うちには、5-7才コースが届いていましたが、祖母の住んでいる町に 引っ越した時に、やめてしまいました。レコードを聞かなくても、い つでもお話を語ってくれて、楽しい歌を歌ってくれるおばあちゃんが 側にいるのですから。長いこと「東京こどもクラブ」のお世話になっ ていたような記憶とは裏腹に、実際には、5回分しか持っていません。
歌は、びんちゃん(楠トシエさん)、お話は、まえだのおじさん (前田武彦さん)。絵本を開くと、「こぶとり」以外は、立原えりか さんがお話の文章を書います。もちろん当時は、そんなことは知らな かったのですが、今思うと、贅沢なことです。
東京こどもクラブと似たようなレコードブックの頒布会は他にもあ り、物置を探すと、「東京子どもクラブ」と一緒に「ドレミファブッ ク」(世界文化社)と、レコード絵本<こどものくに>が出てきまし た。やはり、「東京子どもクラブ」と同様に、良質で贅沢なものです。 いわさきちひろさん、武井武雄さん、鈴木義治さんの絵や、脚色が岸 田衿子さんだったり、おはなしに岸田今日子さん、樫山文恵さん、中 村メイ子さんと、子どもの本なのに手抜きのない、本物志向だったの です。当時は、こういう良心的な知育系のレコード絵本が流行ってい たのでしょうか。
もちろん、現在は「東京こどもクラブ」も「ドレミファブック」も 絶版になっています。(※「ドレミファブック」は、CD付きの新版が あるようです。)
12月に「東京こどもクラブ」を書評に取り上げて以来、「東京こど もクラブ」の情報を求めて、やってくる方が結構いるようです。メー ルで問い合わせを受けたこともあります。同じ懐かしさを共有してい るのだと思うと、不思議な気持ちです。「東京こどもクラブ」は、私 の宝物なので、もちろん手放すことはできませんが、オークションサ イトでは、ときおり「東京こどもクラブ」や「ドレミファブック」が 出品されています。
「東京こどもクラブ」はもう、思い出の中にしかないけれど、私に とっては、CD付きの「ふるさとの民話」が、「東京こどもクラブ」の 大人版(子どもも勿論、楽しめます)のようで、とても楽しみです。 朗読も壇ふみさん、桂三枝さん、竹下景子さん、風間杜夫さん…と、 とても贅沢なのです。
子供にとって、物語は、人の温もりとともに、両親や祖父母などの 肉声で聞くのが一番いいのでしょうが、「東京こどもクラブ」を経験 した私にとっては、「おはなし」がそばにある、ということが一番大 切なように思います。特に民話や昔話は、耳で聞くもの。耳から独特 のリズムを拾うものだと、そう思います。
しかも、この「ふるさとの民話」を刊行した世界文化社が、「ドレ ミファブック」の発行所だと知り、とても驚きました。いろいろな意 味で、「ふるさとの民話」は、子ども時代を追体験させてくれます。
2003年1月
2002年03月05日(火) 『指輪物語』(その2)
2001年03月05日(月) 『黒祠の島』
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管理者:お天気猫や
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