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いつも良書を紹介されている翻訳小説の紹介サイトさんが 「チャングム」を取り上げていたのが意外だったことから、 興味を持ちました。 今までずっと、単なるテレビドラマのノベライズだと 思いこんでいたのですが…。 試しに買った第1巻を読み始めるやいなや、 李朝時代の社会の過酷さ(特に女性への)や、 その反面、民衆を犠牲にしながらも、 華やかさ、豊かさを感じさせられる宮廷文化に興味を持ちました。 第1巻を読み終える前に、慌てて本屋に向かっていました。
現在でも儒教の影響の強い韓国ですが、 500年歴史を遡った16世紀の朝鮮社会は、徹底した男尊女卑の社会で、 女性が男性と肩を並べて活躍するチャンスは皆無であったといいます。 そんな時代に、唯一、史実に名を残している女性が、 「チャングム(長今)」だそうです。 ただし、チャングム、その人についての記述はなく、 チャングムの人生については、作者のフィクションなのですが、 当時の社会や制度、文化・風習については、 丁寧に考証されているということで、リアリティがありました。
貧しい生まれながら、聡明で美しいチャングムが、 宮廷で働く宮女として取り立てられ、様々な艱難辛苦を乗り越えて、 やがては、皇帝はじめ宮廷の信頼厚い医女として活躍するまでの 大河歴史ドラマ。 全部で3冊有りますが、1冊が薄く、活字もちょっと大きいようだし、 何より、テンポがいいのですぐ読み終わります。
幼いチャングムのけなげさ。
そのチャングムに忍び寄る魔の手。
やがて成長し、たとえ汚名を着せられても、
けなげに頑張り続けるチャングムの姿には胸を打たれます。
はらはらしながら読み進み、急展開に夢中になってページをめくり、
最後の一ページまで一気に読んでしまいました。
読後感も爽快で、冒険小説のような痛快さも味わえました。
ただ。
想像力は、映像を越える。
いつもそう思っているのですが、さすがに異文化には、
それが通用せず、美しいであろう、豊かであろう、
情景の描写に想像が追いつかず、歯がゆさを感じました。
知らなかったことを、是非、知りたい。
そう思うと、遅まきながら、
テレビドラマに興味津々。
(シィアル)
「チャングム」(全3巻) 著者:キム・サンホン / 訳:米津篤八 / ハヤカワ文庫2004
http://www3.nhk.or.jp/kaigai/chikai/ (NHK 公式サイト)
「宮廷女官 チャングムの誓い」BS2
木曜 午後10:00〜 放送中 (全54話)
※小説とドラマとでは、いろいろ相違点があるようですが、
それもまた楽しみです。
2004年02月10日(火) ☆1800年代の後半。
2003年02月10日(月) 『ひかりの国のタッシンダ』
2001年02月10日(土) 『夏草の記憶』
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管理者:お天気猫や
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