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外の世界の害悪から毒の霧で守られた山上のファンタジーランド、 タトラン人の王国で起こる、少女タッシンダをめぐる物語。
その国の人々はみな白い髪、青い目をしているのに タッシンダは、ひとり、金の髪に琥珀の目。 それは、タッシンダが、誰も知らない外の世界に生まれたことを 意味するのだった。
やがて庇護者をなくしたひとりぼっちのタッシンダが、 この国でどうやって生きていけるのか、 まず私たちが心配なのはそのこと。 しかも、タッシンダにはタカタン王子という 身分ちがいのあこがれの人もいる。
そして一方に、平和な桃源郷を狙う金の亡者があらわれ、 タッシンダやタカタン王子も、生命と財産を守る戦いに巻き込まれる。 人より少しでも多くの黄金を所有することが最高とされる 醜い巨人、ガドブラン人の描写は、そのまま私たち人間への 絶望とも皮肉とも取れる。
しかし一方では、平和を自然にかたちづくって生きる タトラン人の世界への信頼も描かれる。 人の内側には、そのような世界もまたあるのだと、 作者のエンライトは物語を織りひろげる。 その平和な世界にすらも存在する、異分子への偏見も含めて。
この物語は、30年以上を経て、近年に復刊された。 巻末で訳者は、原作の文章力を賞賛している。 翻訳作業がとても楽しかったという訳文も魅力的だ。
タッシンダという名は、「タッチング」に似て、 人のこころをとかすのだろうか。 (マーズ)
『ひかりの国のタッシンダ』 著者:エリザベス・エンライト / 絵:アイリン・ハース / 訳:久保田輝男 / 出版社:フェリシモ出版
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管理者:お天気猫や
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