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ペンギンたちの住む孤島、カリン島での まか不思議な異邦人体験を描いた第二弾。
上巻とは少し趣を変えた本書の主役は、 悪名高いイノズマ博士。 「ヒデヨシ」からかわいらしさを除いて、 頭脳を足した感じのペンギンだ。 ペンギンをマグロに変えて食べたり、 姿変えの術に長けた悪いやつなのだが、 幼いころのトラウマを抱えていたり、 どこか哲学的でもあり、憎めない。
巻き込まれ型の語り部は、白鷺有馬(しらさぎあるま)君。 彼だけが人間で、最初は名前もないのだが、 ますむらひろしの「島」への特別な想いとともに、 白鷺有馬という不思議な名前の由来も、 巻末の回想記で語られている。
何度か書いたけれど、ますむらひろしの回想記は ぜひ読んでおくべきだと思う。
前半で記者をしているアルマ君が遭遇した『選挙取材』、 その強引きわまる暴力選挙のようすは、 「選挙は男が公然と許されたケンカ」という 声も聞こえてきそうである。 (少なくても女が公然と許されたケンカではないだろう。 戦った女たちの負けぶりを見れば)
『光食解放時間』でイノズマ博士が最後に叫んだように、 私たちもそんな瞬間が訪れるだろうか。 「ゲゼルベルゲゼムベル!」 (オレは、オレ自身から解放された!)
「心の根元に宿る深い衝動」、 その体験に、われとわが身を置き戻したときに。 (マーズ)
『カリン島見聞記(下)』著者・絵:ますむら・ひろし / 出版社:ポプラ社2003
2003年07月15日(火) 『夜を忘れたい』
2002年07月15日(月) 『聖なる予言』
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管理者:お天気猫や
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