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おそらく、近いうちに、「虐待」よりも適切な日本語が、 親が子の人生を台無しにしてしまう行為に対して 与えられるのではないかと思っている。
副題は、”一生苦しむ子供”。
「この文庫版が刊行されることによって、 殺されてしまうようなきわめて痛ましいケース以外にも、 虐待にはさまざまな形があることを多くの人たちに 知っていただければと願っている。」(訳者の言葉より)
むしろ、一度の衝撃的な出来事よりも、 長期間にわたって習得させられた親(『加害者』)との対人関係が 子どもの人生を蝕む力のほうが、回復に時間がかかる。 そういった問題は、事件にならないので、新聞ネタにもならない。 『トラウマ』と簡単にかたづけられることの多い ゆがんだ成長のあとは、往々にして本人の生きづらい人生を 形づくり、さまざまな病気やあつれきの根源となる、という。 それが往々にして、ではなくて、ほとんど完全に、という著者の 心理学のプロとしての意見に、私も賛成する。
ここに登場する『被害者』は、概して30代や40代といった、 じゅうぶん社会にとけこんでいるはずの年代。 私見だけれど、おそらく、20代では「自分の人生のどこが どうしておかしくなっているのか」に気づくには、 まだ子ども時代との距離が近すぎるからではないだろうか。 特に、就職や進学、結婚などで親もとを離れる時期に当たる20代は、 『毒の家』で育った子どもたちにとって、『迷子』の心境に近いのかも しれないとすら、思う。そこにあるのは、当惑と不安である。
本書の構成は、 第一部で、『毒になる親』の正体を暴く。 第二部で、『毒になる親』と対決し、自由を獲得する方法までを アドバイスする、というもの。
あなたの親は、毒になる親でしたか? わずかばかりの毒? 猛毒を盛られましたか? それとも、そんな言い方はひどすぎると思いますか。 (マーズ)
『毒になる親』 著者:スーザン・フォワード / 訳:玉置 悟 / 出版社:講談社+α文庫2001
2002年12月12日(木) 『猫だましい』
2001年12月12日(水) 『バースへの帰還』
2000年12月12日(火) 『茶の本』
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管理者:お天気猫や
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