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児童文学の辞典類は、非常に高価である。
私にはとても手が出ない。
部数が少ないこともあるだろうが、そんななかで、このガイドは
2800円(税別)という手ごろさと、時代を測る新しいものさしの
意義を問うている。
2003年4月、つまり、「ハリー・ポッター」と「指輪物語」の
世界席捲を経たのちに出たガイドとして。
21人の研究者が、古典的評価の定まった英語圏の作家(画家も含む)
45人を取り上げ、彼らのプロフィール、創作の背景と、
代表作一点を詳細に解説している。
(ただし、J・K・ローリング自身は、まだ登場しない。
もちろん、J・R・R・トールキンは登場)
主目的は大学での卒論研究なので、論文のテーマ例も
併記されている。
たとえばモンゴメリの場合、執筆は「『赤毛のアン』の挑戦」の著者、
横川寿美子(巻末に名前があるのでそう推測するものの、
署名がなく断定はできないが)。
テーマ例は、「フェミニズム批評と作品世界」
「なぜ日本で人気が高いのか」という見出しになっている。
…というと、アカデミックな印象を受けるかもしれないが、
横書きでゆったりと一人一作をとりあげているし、
随所にコラムや情報が掲載されているので、
児童文学を専攻する学生や研究者でなくても面白く読めると思う。
ただ、ストーリーの公開は避けられないため、
作品によっては、未読の醍醐味が失われる場合もある。
「赤毛のアン」のように、ストーリー紹介だけを読んでも
その真髄が全く伝わらないタイプの作品は別としても。
ところで、素朴な疑問。
「赤毛のアン」の翻訳は、『集英社文庫ほか』
となっているが、あえて伝統の新潮文庫(村岡花子訳)を入れないのは
完訳ではないという理由からだろうか?
比較研究のためにも、主だったものは
すべて紹介してもらえると良いのだが。
(マーズ)
2002年06月12日(水) 『幽霊宿の主人-冥境青譚抄-』
2001年06月12日(火) 『ネバーランド』
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管理者:お天気猫や
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