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人生の中で、子供でいられる時間は短い。 その当然、子供であるべき時間をも、 子どもとして過ごすことが許されない少年や少女がいる。 子どもとしてあることが、 可哀想なほど、過敏な心を持ち、 何をするにしても、無邪気なままではいられない、 そんな子どもたち。 あるいは、周囲の大人たちによって、 傷つけられ、子どもであることを容赦なく、 奪い取られた子どもたち。
現実の世界はくすんでいる。 澱のように、どんどんと、日々の疲れが溜まっていき、 中野重治ではないが、 悲しみも、なんだか薄汚れて見えてしまう。
小説の中、 少年たちは、そのまだ薄い肩には 重すぎる秘密を担い、 ほんとうの思いを隠している。 人を傷つけることで、 さらに己を深く切り裂き、 胸を締め付けられながらも、 語りたいのに語りようのない、 秘められた悲しみには、 無頓着な風に笑う。 それでも、ひとりになれば、 思いの底に深く沈み込んでいくのに。
透明でしなやかで、 せつないけど、清々しい。
ただ、彼らが抱える悲しみを共有するには、 私は随分と遠くにいる。 悲しみの耐性があるとはいっても、 彼らより、もっと悲しい思いを 私はもう、知っているから。
最後まで書いて、 ふと、『永遠の』」(天童荒太 / 幻冬舎)を思い出した。
子どもでいられるというのは、 人生の中での、かけがえのない宝物だと、 今になって気付く。 子どもでいることも、結構しんどかったのに。
P.S. 著者によると、 『トーマの心臓』 (萩尾望都 / 小学館 )をやりたかったのだそうだ。 繊細できれいで、秘めた悲しみに沈む少年たち。 男子校で、寮生活で、古めかしい校舎。 現実には、なさそうで、やっぱりない、ネバーランドだ。(シィアル)
『ネバーランド』 著者:恩田陸 / 出版社:集英社
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管理者:お天気猫や
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