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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2003年05月09日(金) --

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『ハーメルンのふえふき男』

『まちから まちへ ふえがいく あとから ぴょんぴょん ねずみたち』 (/本文より)

詩人の村野四郎と、画家鈴木義治のコンビで、かの物語を 上演すると、どうなるか。 1979年に出たこの絵本はとっくに絶版になったらしく、 版元の岩崎書店のサイトで検索しても、 何の手がかりも残されていない。 また残念なことである。

とても大切に思っている絵本なだけに。

鈴木義治でなければ描けない独特のヨーロッパと、 詩人ロバート・ブラウニングの長篇児童詩の世界が 村野四郎の弾力ある訳によって、立ち上がる。

鈴木義治は、ネズミを描くのが上手い。 そしてもちろん、 笛吹き、パイド・パイパーを描くのも。 蒼い顔、黄色と赤のだんだらマントをひきずった 背の高い魔人は、 だまされた仕返しに、子どもたちを笛で誘う。 コッペルベルクの山深く分け入って、 ひとり残らず、不思議な穴に消えてゆく。

でも、ああ、ひとりだけ、残った子がいた。 足の悪い男の子。 昔から、ハーメルンの笛吹きの絵本を読むたび、 この子の気持ちを思ってため息をついたものだ。 助かった親は安堵したろうけれど、 もう、この男の子には友だちもいないし、 親だって、この町には住めなくなるだろう。 足が悪かったばかりに、皆と一緒に行けなかった、と 泣いた男の子は、それからどうなったのだろう? その子の一生は、この事件の影にかくれてしまったのでは ないだろうか?

ただ、その子がいなければ、笛吹きの誘った きれいな場所がどんなだったのか、街の大人には誰も わからずじまいだったのだけれど。 (マーズ)


『ハーメルンのふえふき男』 著者:ロバート・ブラウニング / 絵:鈴木義治 / 訳:村野四郎 / 出版社:岩崎書店(絶版)

2002年05月09日(木) ☆リンダ・ハワード・リーディング(その3)

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