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英国ナンセンス界の名手が贈る、20の玉手箱。
たいてい、小さな女の子や男の子が主人公になっているのは、 作者がこれらの短いお話を、子どもたちにせがまれて 即興でつくりあげたからだという。
そういえば、子どもたちは、なんて好きなのだろう。 変身してしまったり、お化けに食べられたり、 怖いものに追いかけられたりするのが。
あるものは昔話のようだったり、 ファンタジーのようだったり、 児童文学のようだったり。 どんな問題がおきようとも、ひらりと身をかわせる 変幻自在のストーリー。
表題作の「クモの宮殿」のように、 オチはあるのだけれど、誰もおどろかず、『それがどうしたの?』 と終わってしまうナンセンスもある。
ことば遊びのナンセンスは基本中の基本。 「くじらで暮らして」では、ホエールのお腹に住む暮らしと、 ウェールズでの暮らしが、 みごとに引っかけられている。
アリスのように、あらゆるものが、大きくなったり小さくなったり というのも、この世界ではあたりまえ。 良い子が必ず幸せになるとも限らない。 そもそも、これらのナンセンスに近づくと、 幸せとか不幸せとか、線引きが不要になってくる。
これらの物語は、めくばせして、子どもならざる身の 私たち大人にも、教えてくれる。 私たちの目の前につぎつぎと湧き起こる諸々の 問題は、変化へのきっかけにすぎないのだと。
そして私たちのなかの子どもは、問いかける。 「ねえねえ、それから?それからどうなったの」 (マーズ)
『クモの宮殿』 著者:リチャード・ヒューズ / 訳:八木田宜子・鈴木昌子 / 出版社:ハヤカワ文庫FT(入手は古書店で)
2002年05月08日(水) ☆リンダ・ハワード・リーディング(その2)
2001年05月08日(火) 『十二国記』
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管理者:お天気猫や
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