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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2002年05月09日(木) --

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☆リンダ・ハワード・リーディング(その3)

--自分の人生や運命と闘うヒロイン--

リンダ・ハワードの一番の魅力は何だろうか。 語り部リンダのストーリーの巧みさ? 安心して読めるハッピーエンディング? はらはらどきどき、でも勧善懲悪な展開? 濃厚かつ執拗なラブシーン(笑)?

まだまだいろいろあげることはできるけれど、 自分の仕事を持ち、 自分の人生に正面から向き合い、 自分の足でしっかりと立っている、立とうとしている、 ヒロインの心(しん)の強さにあるのではないかと思っている。

最近、リンダの本は「癒し」だとしみじみ感じる。 単なるシンデレラ・ストーリー、 おばあさんの魔法で幸せをつかむ、 受け身のヒロインではなく、 リンダのヒロインたちは、自らの力で幸せを手にしていく。 そこに、精神的な「同志」としての安堵感を覚えるからだ。

確か、『危険な駆け引き』(シルエット・ラブストリーム刊)のヒロインが、 「敵から逃げている途中でヒーローの忠告を聞かず、 足手まといになるような小説の中のばかな女とは違う。」 というようなことを言う、痛快なシーンがあった。 リンダの作品には、 ステレオタイプの可愛いだけの愚かな女は登場しないから、 本を読みながら、顔をしかめたり、いらいらさせられることはない。

リンダのヒロインは聡明で、精神的にタフだ。 さまざまな苦労の中でも、何とか折り合いをつけ、 自分の力で乗り越えようとしている。 女であることに、決して甘えていない、人間としての強さがある。 別段、「頑張れ!」と女性に対する声高なエールが送られているわけではないが、 本を開く度に、何だか温かく頼もしい作者のメッセージを感じる。

感じるけれど、でも、 それでも、やはり。 頑張れないとき、辛いときはある。 誰かに頼りたい、心細さ。 「自立する女性」という言葉が雑誌の表紙で華々しく踊る昨今、 闘う女性だって、ときには、誰かに守られたい。

その辺の微妙な綾が、これがまた、リンダの魅力。 ただ、ヒーローに守られるだけのお姫様でなく、 ただただ、ヒーロー顔負けの強いスーパー・ウーマンでなく、 ときに強く、ときにか弱い、けれどとことん心の強いヒロインたち。

そのヒロインを守り、ともに闘う男たちももちろん、 ただ者ではない。体も心も、とことん大きい。 現実離れした設定であっても、読む者に共感をもたらす理由は、 男女ともに、人間として、きちんと描かれているからだろう。 濃厚かつ執拗なラブシーンがあろうとなかろうと、 リンダの描く世界は男女がちゃんと互いに相手をみつめ、 理解し合おうと向かい合っている。

そこが「癒し」のポイントでもあるのだと思う。

仕事に疲れきった後、 リンダの本を読み始める。 屈することなく闘うヒロインが、 大きなヒーローの腕の中で、しばし、翼を休めるとき、 ほっとあたたかな気持ちに満たされ、つかの間疲れを忘れるのだ。 (シィアル)

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