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「朝顔」「曼珠沙華」「寒牡丹」「山百合」「老松」 の五つの花をめぐる、怪しの物語。
人の心の弱みや脆さにつけこみ、 言葉巧みに異界へと誘う、永世(ながよ)と常世(つねよ)。 二人の闇の姫君は人間から「花心」を抜き取り、 異界の花と化し、永遠の命を与えるという。 闇の誘惑から人間を守る「花守り」、それが、青葉時実である。
歌舞伎や能のテイストで、絢爛豪華、 鮮やかな「和」物のファンタジー。 どの話も、花に託される人の弱さを狙い、 忽然と闇の姫君が現れる。
「異界の花と化し、永遠の命を与えよう」 (引用)
人が花によせるさまざまな想い。 それを花に封じ込め、魂を永遠に弄ぼうという二人の姫。 異界の姫君、永世姫と常世姫の艶やかさ。 闇の手から、花心なる人の魂を守ろうとする青葉時実たち。 青葉時実と闇の姫君たちの間に、かつてあったらしい因縁。
しかし、闇の姫君や青葉時実がどういう存在なのか、 彼らが住まう異世界について何も語られない。 美しい言葉と雰囲気で築かれた、現世と異世界が混ざり合う、 曖昧でとらえどころのないような、不思議な物語だが、 艶っぽいところが魅力だ。
以前ここでも紹介した、波津彬子さんのコミックス 『異国の花守』がとても素敵な物語だったので、 その解説を書いていた菅浩江さんの 『末枯れの花守り』もぜひ、読んでみたいと思った。 しかし、読み終わってみると、非常に曖昧模糊としていて、 ビミョーな読後感である。
その中で、「曼珠沙華」の子狐の物語は、
せつなくて、今も心に残っている。
(シィアル)
『末枯れの花守り』 著者:菅 浩江 / 出版社:角川文庫
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管理者:お天気猫や
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