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原題は『スチュアート・リトル』。 最近このタイトルで日本でも映画が公開された、 ネズミが主人公のお話。
名作『シャーロットのおくりもの』の E・B・ホワイト(エルウィン・ブルックス・ホワイト)が贈る、 子どものための本、第一作。 アメリカでは人気の古典だという。 日本ではシャーロットと同じく、長く消えていた本の新訳である。 映画のタイミングに合ったことで、新しい読者が 増えるのではないだろうか。
それにしても、ファンタジー作家ならではの設定に 最初はとまどってしまう。 リトル家の次男は、なぜか、ハツカネズミそっくり。 もちろん、兄も含め、リトル家のほかの人たちは、普通の人間。 そんな家族のなかで大切にされて育ったスチュアートだが、 ある日、仲よしの小鳥を追って旅に出ることに。
前半に細かく描かれている、スチュアート(外見はネズミに しか見えない)の生活ぶりは、『ガリバー旅行記』や 『床下の小人たち』を連想する楽しさ。
スチュアートはけっこう独立心に富んでいて、 家族に知られずにいろんな冒険をものしているのだが、 スチュアートの家族は、 『スチュアートがへんな考えを持つといけない』から、 生活のさまざまな場面で、先回りし、 気をくばる。
スチュアートが危ない目にあわないように。 悲しい思いをしないように。 行方知れずにならないように。 元気で大きくなるように。 普通の大きさの、人間の子どもに願うことすべてを。
しかし、当の本人は、ハンディなど感じていない。 ただ、他の人たちとちがう自分を受け入れているだけ。 小さくてネズミそっくりだからといって、 夢をあきらめはしない。
このエンディングは私にとっては意外で、 続編があるのだろうか?とも思ったが、 こういう終わり方があってもいいのかもしれない、とも 考えさせられた。 (マーズ)
『スチュアートの大ぼうけん』 著者:E・B・ホワイト / 絵:ガース・ウイリアムズ / 訳:さくまゆみこ / 出版社:あすなろ書房
2001年01月27日(土) 『ピエタ −pieta− (1・2)』
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管理者:お天気猫や
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