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料理には、やっぱり哲学が要ると思う。 なんなのだ、と問われても、 未熟な私にはこたえられない。 だから、川津さんの料理本を師と仰いでいる。 誰にでもできるはずの、簡単家庭料理。
川津さんは、『オレンジページ』の料理部門のチーフだった人。 フリーになってからは料理編集の世界でヒットを飛ばしたのち、 みずから料理人として腕に磨きをかけるべく、 休職し、フランス料理の学校へ一年通ったという。 だからこそ、いまの川津さんの視点は、 プロでもあり、アマでもあるという複雑さが感じられて 素敵なのだと思う。 そしていまでも、読者の視点を考えている人だ。
レシピのあいまにパシッと書かれた川津さんの文章。 他の本にも共通していることだけれど、 料理をすることへの思いが塩のように効き、 未熟だけど料理をしたい人へのアドバイスが、ダシのようにしみ込む。 パシッと言ってくれるけど、決して高いところからではなくて。 培ってきた主婦の技量を振りかざすのでもなくて。 ものごとをきちんと教わるときの、あの感じに似ている。
たまねぎを炒めるとき、ぱぱっと塩をふると良いとか、 簡略だけどばっちりおいしいダシの取り方とか、 アジアやイタリアの調味料への好奇心、 便利で美しいおすすめ調理器具の話とか。
川津さんのレシピ本を使うようになって、変わったこと。 そう、確かに変わったと思う。 自分のめざす料理の姿が見えてきた、というと めったに料理らしいことをしないのに何を大げさな、 と我ながら思うけれど、 日々の必要がないからこそ、何か目的がないと、 いっこうに上達するはずもない。
いまの私のつくるべき料理は、あまり時間やお金をかけずに、 そのかわり失敗しないよう手順をきっちり守って、 素材の味を引き出し、おいしいなぁ、またつくろうと 思える料理を増やすこと。 一作一作、成功させてゆくことが、自信になるように、 気合を入れて料理するようになった。
この本に載っているレシピのひとつ、 「フルーツのマチェドニア」を作ったとき、うっかり、 ラップをしないで半日おく、というのを読み違え、 ラップをして半日おいてしまった。 おかげで辛口の白ワインが濃厚に効いて、ずいぶん酔っ払った。
そのとき私は、川津さんのレシピを4つも一度に作ろうと していたのだった(笑) (マーズ)
『いつもキッチンからいいにおい』 著者:川津幸子 / 出版社:オレンジページ
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管理者:お天気猫や
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