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100質をやってみて、ちょっと補足したくなったので。
作風、というのがだいたいわかるためには、 その作家の作品を八割がた読んでみないといけないんじゃ なかろうか。 といっても最後の二割で身をひるがえす作家もいるから、 物故作家と、一定の年齢に達した作家の現時点までの作品に限って、 ということで、 さて、私はどんな作家の作品を八割がた読んできたんだろう。
そもそも、意識して同じ作家の作品を追って読んだのは、 中学一年生の頃、佐藤さとるの『コロボックルシリーズ』からだろう。 (もっとも、それ以前に江戸川乱歩とかあるのだが、今回は除く。)
次に来るのが、小林信彦。 『オヨヨ大統領シリーズ』にのめり込み、ここ5-6年の作品以外はほとんど 読んでいる。大変お世話になった作家である。
その時期、横溝正史も読んでいるが、これも今回は除く。(これじゃ除けてない)
高校で出会ったのが、詩にひかれて読みはじめた室生犀星。 図書館にもわりとそろっていたので、かなり読んでいる。 しかし、中高生にどこまで理解できていたかは不明。
L・M・モンゴメリの作品は、まず小学校で『赤毛のアン』を読み、中学後半頃から 続編を読み進めていった。同じ作家の本としては一番多く持っている。 生涯の友としてくりかえしくりかえし読む、という読み方をしている。
高校時代はSFのJ・G・バラードが好きで、ここ数年の新作は 読んでないが、かなり読んだとは思う。 映画化された『太陽の帝国』で、長年の疑問や、作家の内面が 鏡のように映し出されたのには戸惑った。 まったくの想像で書いたのだと思っていたことが、実体験に深く根ざした ものなのだということ、創作とはそういうものだと思い知る。
『ナルニア・シリーズ』のC・S・ルイスは、ファンタジーの 書き手のなかでも別格扱いしているが、SFものや宗教関係の本も たくさんあるから、おそらく半分も読んでないはずだ。
小林信彦とおなじく、シィアルに教えてもらった永井龍男も好きで 大事に読んでいるけれど、五割も読めていないと思う。 手軽に入手できない本も多いから。これからの楽しみに、と思っている。
ラヴクラフトもしかり。八割には到達してないかな。 美声でもないのに朗読してテープに吹き込んだりしていた。 あの頃はやはり、輪をかけてアタマがおかしかったのだ。
ミステリ系は、大人になってからたくさん読んだ。 ファンタジーも広く読んではいる。 スパイものや、幻想怪奇系も、それなりに読んだ。 今は、児童文学を意識して読んでいる。 よく、好きな作家として名をあげている新美南吉は、 さて、どれくらい読んでいるだろう。短編も多いし、日記なども あるので、全集にしたら六割くらいでは。
しかしまだ、大人になってから出会った「好きな作家」の本は、 八割読んだかといわれると、そこまでに至っていない場合が多い。 よほど作品の少ない作家なら別だが。 ディック・フランシスなんか、知ったときには何十冊も出ていたし。 アーシュラ・K・ル・グウィンだって、まだ半分にも足りない。
おお、そういえばベティ・マクドナルドは、数が少ないので八割は読んでいる。 「仕事と私」は、不況の今、読み返したい本だ。
読むものが多すぎて、時間は限られ、 あの頃のように、一冊一冊、未開拓の荒野に作家の人生地図を書き込みながら 読んでゆく時間が、なつかしく思える。
かくのごとく、作家の作風を語るには膨大な時間と熱意と根気が必要なので、 こうして日々、読後の感想を語っているのだった。 (マーズ)
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管理者:お天気猫や
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