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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2002年04月17日(水) --

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『星の海のミッキー』(その2)

☆女の子が主役でも、いいじゃない。

以前シィアルが、猫好きのためのSFということで 紹介した本書を、借りて読んだ。

ヒューゴー・ネビュラともに受賞したSF作家による 「猫好きに捧げるジュヴナイル」だったことを改めて知る。

そして、主役のバーバリをはじめ、その親友も、ほとんどの 登場人物は女性、それも大人は総じてカッコイイ女性たち。 少年も、マッチョな男も登場しない。 フェミニズムの色が濃い、と解説にもあったが、 確かに、いわれてみれば珍しい設定だ。 とはいっても、女性がほとんど登場しなくて、しても添え物で、 男性ばかりが活躍する世界とどっちがどうだか、 という指摘ももっともではある。 ただそれに慣らされてしまっているだけで。

読み終えて、児童文学の視点から、この本の希少性を思った。 女の子どうしの友情を心理描写もこまやかに、つまりは、 初対面のふたりの行き違いや、ぶつかり合い、意外性、 お互いへの思いやり、かばい合いといった細やかさまで 描いた作品は、地球を舞台にしたお話でもめったにないのだから、 舞台が宇宙となればなおさら貴重なのではないだろうか。

そこに大きくかかわってくるのが、マンクス猫のミッキー。 主人公のバーバリは、移住先の宇宙ステーションへ 愛猫のミッキーをこっそり連れて行くという冒険を敢行する。 当然、あらゆるペットの持ち込みは禁止されている。 そのために手品まで練習した、孤児のバーバリ。 後半、その器用さも活かされる。

エンディングはSFらしい壮大なスケールだが、そこまでの柱は、 バーバリとヘザーというふたりの少女の友情と、 宇宙特有の無重力状態との格闘である。 場所が宇宙なのを除けば、非常に現実的といってもいい。

もし他の児童書出版社から出ていれば、もっと 注目されていたのではと思える作品である。 (マーズ)


『星の海のミッキー』 著者・:ヴォンダ・F・マッキンタイア / 訳:森のぞみ / 出版社:ハヤカワ文庫(絶版)

2001年04月17日(火) 『葉っぱのフレディ』

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