スナックおのれ
毛。



 誘蛾灯。

肌に押し寄せてくる湿度の密度が高い。そのせいか、なつかしい人の夢をみる。私はあいかわらず、その人の後を追っていて、やっぱり未来がないと絶望している。それでも、その人に好かれたくて、たまらなくて、顔を上に向けて、その人の姿を追っている。誘蛾灯のようなもんだ。私は蛾で、誘蛾灯に誘われる習性。
 目が覚めて、頭に残る誘蛾灯の残像と、現実、目の前にある電灯の明かりに少しずつまた意識が乖離していく。

2018年08月03日(金)
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