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| 2003年04月24日(木) | 福井晴敏「亡国のイージス」 |
宮津弘隆 海上自衛隊ミサイル護衛艦《いそかぜ》艦長二等海佐４９歳
仙石恒史 同艦先任警衛海曹（先任伍長）４８歳
如月 行 同艦第一分隊砲雷科一等海士２１歳
竹内 勇 同艦副長兼船務長三等海佐４２歳
杉浦丈司 同艦砲雷長一等海尉３５歳
横田利一 同艦航海長一等海尉５１歳
酒井宏之 同艦機関長一等海尉５１歳
風間雄大 同艦砲雷科水雷士三等海尉２４歳
若狭祥司 同艦掌帆長海曹長４７歳
田所祐作 同艦第一分隊砲雷科海士長２４歳
菊地克美 同艦同科二等海士２０歳
溝口哲也 海上訓練指導隊(FTG)所属三等海佐４０歳
衣笠秀明 第６５護衛隊司令一等海佐５２歳
阿久津徹男 ミサイル護衛艦《うらかぜ》艦長二等海佐４６歳
吉井真人 第一護衛隊群司令海将補５２歳
安藤亮二 百里基地第７航空団第２０４飛行隊所属三等空佐３６歳
宗像良招 同隊所属一等空尉２７歳
野田輝夫 防衛庁情報局（ダイス）局長６０歳
渥美大輔 同局内事本部長４４歳
梶 良巳 同局対テロ特殊要撃部隊隊長一等陸尉３８歳
宮下 武 同隊員三等陸尉３０歳
真壁義成 同隊員三等陸曹２２歳
武石 誠 潜水艦《せとしお》艦長二等海佐４５歳
沢口 博 海上幕僚監部人事課長５２歳
菅原裕二 警察庁警備局長５８歳
汀 陽介 国家公安委員長兼自治大臣５９歳
明石智司 警察庁長官６０歳
鍋島秀一 防衛庁長官５８歳
曾根岳士 内閣安全保障室長６２歳
木島祐孝 統合幕僚会議議長５８歳
湊本仁志 海上幕僚長５６歳
瀬戸和馬 内閣情報調査室長５２歳
梶本幸一郎 内閣総理大臣６８歳
リン.ミンギ 北朝鮮人民武力省偵察局局長６０歳
ホ･ヨンファ 北朝鮮工作員４０歳前後
チェ･ジョンヒ ヨンファの部下２０歳前後
以上主な登場人物を全部、一時間以上かけてうったわ！ふふ、見事にカナカナ語がないところが良いですね。
海将、海佐、海尉、海士、空佐、空尉、陸尉などの階級もすっかりウチのATOKが覚えてくれたね、よいこよいこ。
ということで初めて読む本格自衛隊小説（？）に読了できるかなと危ぶみながら、開いてみました。
ところがこんなに登場人物が一杯なので（表紙の裏にずらりと並んでるんです）読み終わるのに随分掛かると思っていたら、序章がすらすらと頭に入ってきて、後は本を中断するのが惜しいくらいに引き込まれましたね。
この登場人物全員（まだ他にもいますが）がそれぞれにとてもうまく描かれていて、思わず全部書き写してしまいました。
昔から艦長が自艦と運命を共にするシーンに弱いのに、これはもうそういったシーンがあふれているので、どれほど泣いたか！
特に《うらかぜ》撃沈、もうこれはどうしようもなく、歯がゆく、辛い。
攻撃を受けるまで反撃できないって規則が恨めしい。
無念で亡くなった衣笠司令に敬礼ッです。
そして鬼にもなった宮津艦長の最後がまた泣かせるし、ラストでも、この人が！と思う意外な人物にまた泣かせられました。
とても厚くなかなか手が出ないでいた本でしたが、手に汗握りながらも色々考えさせてくれる、最良の読書タイムがすごせました。
仙石先任伍長が「ダイ・ハード」のブルース・ウィリスも真っ青な大活躍して、海の男の【我が道】を見せてくれます。
仙石がもうちょびっと若いと如月といいコンビになるんだけどなあと大妄想にひたれます。
| 2003年02月21日(金) | アーサー・ヘイリー「殺人課刑事」 |
原題は「DETECTIVE」
殺人課の刑事、マイアミ、とくれば「マイアミバイス」のカッコ良い刑事登場かと思うでしょ。
アロハシャツ着て、日焼けしたドン・ジョンスン、いい男だったなあ。
彼に限っては日本語吹き替えバージョンでよかった、ドンの声聞いたときはちょっとイメージダウン。
マエフリがそのままマイアミバイス話になりそうだが、これはまた別の機会に。
主人公マルコム・エインズリー刑事はもと神父サンという、４１才になる部長刑事。
彼が解決した事件で、もう死刑が執行されるという犯人から、死ぬ前に告白があった。
１４の殺人事件は俺がやったが、一つは違う…
休暇前の刑事は８時間後の死刑執行に間に合うため４００マイルを駆けることになる。
非常にスピード感がある出だしから、死刑執行の描写、過去の事件と休む間もなく読み進んでいく。
さすが長編の名手、訳者も永井淳だからぐいぐい読める。
黙示録にまつわる殺人事件がひとつの主題、このテーマってしばらくブームだったのかな。
映画「セブン」のあたりから聖書にまつわる事柄を主題にした殺人事件もの多かったな。
そしてもうひとつの主題が連続殺人事件と紛れるように起こされた一つの事件。
犯人の虚言なのか、最後の懺悔なのか？その検証が始まる…
殺人事件の発生から解決まで、警察機構がどう動くか、上司との軋轢等々、日本の警察小説と似てはいるがそこは大同小異あり。意外とエインズリーさん上司にめぐまれとる。
細かく描かれる捜査がいい、綿密な調査のため刑事さんは頭と足を動かしている。
しかし幼児虐待は、ちとな、あり得るのかあそこまでッて感じ。
まあそれさえも圧倒的な筆力でアリかと思わせるヘイリー節にのってしまった。
しぶいエインズリー刑事、かっこよさはドン・ジョンスンのソニー刑事に負けるが、ラストは神学の教授であがり！（浮気しないでね）
| 2003年02月19日(水) | 北森鴻「触身仏」 |
副題は蓮丈那智フィールドファイル��
ファイル�気任△襦峩Ь侈漫廚�ら読もうとしたが、以前に図書館から借りて読まないうちに時間切れ。
ずっとこの蓮丈さんの話がよみたかったので今回は張り切りました。
如何にも研究室助手らしい内藤三國と雪山に登るシーンからはじまる「秘供養」が第一話。
出だしはいい、無機質な美貌を保つ那智、いいなあ、と思ったのもつかの間。
１７頁で夢やぶれた、エーッ、なんと蓮丈さん女性だったよう！
東敬大学助教授蓮丈那智と助手の内藤三國のコンビが邪眼を悦ばせてくれるはずだったのに…。
まあ、いい、美男だと思ってもこの話はいける、那智さんほとんど女性的な話し方をしないしね。
「大黒闇」「死満瓊（しみつるたま）」「触身仏」「御蔭講」の５話を通じて民俗学の蘊蓄がとても良いです。
ただ事件としては、エッと思うシーンもあり、まあ探偵ものじゃないんだからその辺は大目にみよう。
那智さんと三國のコンビはとてもいい、とくにミクニと呼ばれるときのシチュエーションはまるで猫にみいられた鼠のようですが、これも蓮丈先生の愛でしょう。
脇を固める教務課狐目の男（名前はまだない、らしい）や狛江署の細野巡査部長などがまた次作で活躍しそうだ。
次回はその１の「凶笑面」必ず読みましょ。
| 2003年02月07日(金) | 坂東眞砂子「善魂宿」 |
一言でいえば坂東眞砂子はやっぱりいい。
最初に読んだ「蛇鏡」は途中で止めることができなく、夜更けまで読んで読了。
怖くて、久しぶりに悪い夢でも見そうで、寝付けなかった。
それからは発行順にどんどん読んだけれど、一度も裏切られたことがない。
大長編の「旅涯ての地」は途中でストップしたものの、「道祖土家の猿嫁」はクリア。
今回の「善魂宿」はあの猿嫁の系統なんだろうな。
山深い村に住む女。頃は明治のはじめ。
息子と二人でひっそりと大きな合掌造りの家に住まって、迷い込んだ旅人と話をする。
迷い込んだ旅人は、最初はこの二人と関わりのない人々で、自分が巡り会った不思議な話を土産代わり、宿賃代わりに話していく。
相変わらず各地の方言がうまい（と思う）私は新潟在なので、特に沼垂弁が面白かった。
一話が終わって、次の旅人の別な話と、続いていく話がだんだんこの親子の周辺に及んでくると…
どの章も面白く、最後には長編小説を読んでいるような、ラストにむかっての収束がすばらしい。
続いて「わたし」も読了。
著者の自伝的小説、思春期のおもいに共感できる。
ただし親の立場になるとちょっと辛いかも。
ところで『ばんどう』ですぐ変換できるのは板東だったので、うっかりしていたが著者は「坂東」、時々ミスってしまうのでした。
| 2002年09月15日(日) | 高田崇史「QED東照宮の怨」 |
QEDシリーズ４作目。
棚旗奈々ちゃん（「ホワイト薬局」の薬剤師）が学校薬剤師会の親睦旅行で日光は東照宮へでかける。
なぜかそこで出会うのは桑原崇（明邦大学薬学部卒奈々の一年先輩の薬剤師「萬治漢方」と言う老舗の漢方薬局に勤めてる）
大学の４年次に「オカルト同好会」の会長勤めたアヤシイ人物。
もう一人の同行者は、やはり明邦大学の文学部社会学科卒の自称ジャーナリスト小松崎良平立派な体格から「熊つ崎」の異名をもらっている。
三十六歌仙絵巻にまつわる事件がおこる。
このあたり、とても三十六歌仙などに、興味を持ちそうにない登場人物なのが、ちと不満。
三十六人の歌人の歌絵巻はバラバラに切られて、所有されている。
持ち主の謎の死。
さあ、崇の蘊蓄が始まりますよ。今回のポイントは完成したモノはあぶない、わざと不具合にしておく理由です。
ナニよりも驚愕の「深秘」（じんぴ）に貴方は納得、それとも、うっそぉとひっくり返るか？
私は信じましたぜ。
東照宮（日光）月山（月光）、を従えて、薬師如来はどこにある？
さあ、地図を開いて、線を引いてみましょうね。
東照宮の造営にかかわった天海の生まれた場所。
ほんと、犯人も意外、蘊蓄の結果も意外でしたわ。
QEDは一作目が出たとき、迷わず手にとって、そのまま、嵌りっぱなし。
奈々ちゃんが、今時の女性にしては、つつましくて、私はすきだな。
