琥珀色の時
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2002年05月13日(月) |
小池真理子「肉体のファンタジア」 |
初出誌「青春と読書」は若い人向けの雑誌なのかな、肉体の各部分について少女時代に感じたことから、今の自分の有り様まで様々な思い入れが書いてあります。 骨から始まって、最後は子宮。 とてもエロティックなすてきな文章です。 すこしフェチズムも入ってしまう性的な高揚が各パーツにはあるんですねえ。 美しい鎖骨、細い指などにクラッとする女性、豊かな贅肉、長い髪に溺れる男性、感性の違いも色々あります。 懐かしい映画「あの胸にもういちど」も「指」の所にでてきます。 アラン・ドロン扮する大学教授の親指がマリアンヌ・フェイスフル(彼に恋する人妻)の着ている黒革ジャンプスーツのジッパーにかかるところがとても官能的だったとか、なんかもう一度映画見たくなりますね。 この映画ラストシーンで馬に乗り、モン・サン・ミッシェルへ行くってのありませんでしたかね?アラン・ドロンの一番美しかった頃じゃないかな。 さらに「顔」、そう、自分では自分の眼で確認できないパーツですね、鏡で見る自分の顔が、本当にわたしなのか?友達に鏡の顔の真贋を問うところは、ちょっとホラーです。
装幀は白地に白銀色のFantasiaの文字、シンプルで美しい本です。
2002年04月19日(金) |
岩井志麻子「魔羅節」 |
仕事にでかける千吉は、髭剃りあとに化粧水のオイデルミンをつける。きつく褌を巻くと、最後の仕上げに、女の腰巻をつける。 この帯文だけで、読みたくなりましたね。 中身は…
乞食柱 魔羅節 きちがい日和 おめこ電球 金玉娘 支那艶情 淫売監獄 片輪車
一段と読みたくなるでしょう。このラインアップ。 きょうてい話がたくさんあります。冒頭の文は「魔羅節」の一章ですが、オイデルミンがいいですよね。 明治30年発売、資生堂の赤い化粧水です。語感もいいし、色目もドキドキするような赤ですね、今でも発売されてます。
千吉は日照り続きの村の雨乞いの時、ぶっとんだ村の男達に、犯されてしまいます。偶然にも雨が降るんですね。生け贄が功を奏したのか… そして、数年後また村に日照りが続きます、村の男が為したことは… ほんとにきょうてい話です。
表紙は装画、智内兄助です。横溝映画を思わすような、金襴の着物を着た童女、これもコワイ。
帝都大アメフト部のOB西脇哲朗は、十年ぶりにかつての女子マネージャー日浦美月に再会し、ある「秘密」を告白される→これは帯に書いてあるけど、読みたくなるな、ひみつってなんだろうってね。
アメフト部の年に一回の飲み会からはじまる。最後の試合で、逃げていった勝利が酒の肴、西脇(彼のパスのせいで負けた)毎年これじゃ行きたくなくなるだろうに。
会が終わって、意外な人物、女子マネ日浦に逢う。 なんと彼女は性同一性障害に悩み、いまは男の姿。そして、人を殺したという。
西脇と彼の妻(高倉理沙子、日浦と同期の女子マネ)で日浦を匿うことにする、そして、OBと共に殺人事件の謎も解決する。
性同一性障害者の悩み、西脇の夫婦生活の破綻、仲間達の友情と非情。 いつもながらどんどん読み進めていける東野圭吾の本でした。 2段組、380頁の作品ですが、根を詰めれば半日で読めます。
西脇のことをQB(クォーターバック)と呼ぶのが、かっこいいな。 日浦は私に関わると大変なことになるといってたが、家庭は崩壊するし人死には出るし、その通りだった。
体育会系の友情と、愛情の物語でした。
(ヨコシマ→日浦と西脇の関係が、男x男でしたね)
読んだ本の感想など、メモします。
ミステリーが主ですが、何でも読みます。
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