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■ 土に触れる
時間と精神的に余裕があった頃は ベランダや外階段にプランターでお花を沢山植え、 部屋の中にもグリーンを育てていた。
図書館で園芸の本を借りて どんな土がいいだろうか、 どう育てたらいいか、などと ずいぶん研究もしたものだった。 そのかいあって当時家の中には緑と花が溢れていた。 観葉植物もたくさん挿し木をしたり、 株分けをして、お友達にたくさん差し上げたりもした。
旅行などで家を数日空ける時は 一つ一つ全てお風呂場に移動し、 水をにあげて行ってくるね、と言って 出かけたものだった。
自分には「緑の指」 (植物を上手に育てる指。お話であるのです) があるのだと思っていた。 元気のない花を見ると 助けて、と呼びかける声が聞こえてくる気がした。
が、ここ数年、すっかりそんな余裕もなくなってしまい、 ひとつふたつと実家の父に持っていってもらっては 育ててもらっていた。 大切に育てていたものも1つ減り、2つ減り、 悲しいことにいくつかは枯らしてしまい、 とうとう階段に雑草の生えるプランターが ぽつぽつとあるだけになった。 それから放りっぱなしのオリヅルランのプランターが 無造作においてある。 ベランダには息子がプレゼントしてくれた ミニシクラメンが辛うじて咲いている。 買ってもどうせまた枯らしてしまうのだから もう買うのはよそう、と思っていた。 声もいつのまにか聞こえなくなっていた。 いや、むしろ耳を自ら塞いでしまっていた。
が、次男と夫と3人でホームセンターに出かけ、 そのついでに花の苗を久しぶりに買う。 何年ぶりのことだろうか。 外階段にあるプランターに植える。 店の前のプランターにも。 土に久しぶりに触れた。 無心に雑草を抜いて土をかきまぜ、 穴をあけ、苗を植える。 楽しみを思い出した。
明日は肥料を買ってきてあげよう。 また声が聞こえるようになるかな。 またこれで園芸に熱が入りそうだ。
2003年04月27日(日)
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