ジョージ・エルスの日記...ジョージ・エルス

 

 

オラン・ウータン - 2002年08月29日(木)

緑の森と動物の宝庫 マレーシア。 首都 クアラ
ルンプール市内にはたくさんの木々が生い茂る。

郊外も 昔からの森が数多く残され、自然との調
和が保たれている。

ここでは日本では動物園やカントリーサイドでし
かみられなくなった生き物を 普段の生活で見る
ことができる。

僕の住んでる高層マンションはそうした小さな森
が隣接しており リスやサルが敷地内に当たり前
のように現れる。

ゴルフ場でも同様。林に打ち込んだボールを捜し
ていると イグアナに良く似た体長40cmほどの
オオトカゲに出くわすことがある。

地面では動きがのろいのに 一旦 木に這い上ると
素早く登っていく。小さい恐竜の様で 不気味だ。


そして この国のカントリーサイドでは日本では
決して見られない動物達が住んでいる。

ジャングルの森にはオラン・ウータンが生息して
いる。(マレー語で オランは 人、ウータン
は 森 の意味。) あの特徴ある大きいサルだ。

同じ国にいるのか と考えただけでわくわくする。
それだけで 異国情緒に浸(ひた)ることができる。

タイ国境付近では野生の象がいる。車道に現れ
道をふさいでしまうこともあるそうだ。一度見て
みたい。

人食いトラの話もよくきかれる。先日も3人が犠
牲になったとの新聞報道。人間と動物が共存でき
ていない 悲しい例だ。


そして自分の部屋で 頻繁に目にする生き物が
ヤモリだ。


壁や天井を器用に素早く動きまわる。体長10
cmほど、色は白っぽい。

日本での都会暮らしが長かったゆえ 最初 部屋
で出くわした時は驚いてしまった。

小さな虫をえさにし しかも人間には危害を与え
ない。理想的な ”同居人”であることに気づいた。

ただ 突然訪問してきたかと思った矢先、えさにな
る小さな虫がこの部屋にいないと知るとどこかへ
去ってしまうきまぐれな生き物ではあるが。



最近、ヤモリの吸着性のある手足の原理が解明
されたらしい。

長さ0.1mmの剛毛がブラシのごとく手足の
裏に何百万本も生えており、その剛毛の先端
と接する面との間に分子間力(極めて接近した
分子が結合する時に働く微小世界での力)が働
いてるそうだ。

剛毛1本でアリ一匹を持ち上げられるほど強力
な力だという。容易に壁や天井を素早く動ける
わけだ。

この原理を応用すれば火星表面を自由に歩行す
るロボットを作ることができるらしい。

ヤモリと火星。妙な取り合わせに微笑んでしまう。



ヤモリにさえ そんな一面があるのだから きっと
自然界はもっと奥深いものなのだろう。

彼らを排除するのではなく人間が共存させてもら
えるようなそんな環境ができればいい。



窓から見える深い森の緑をみていると 生き物や
自然から学ばなければいけない事が もっとたく
さんあるのではないかと思える。


















...

ハリ・メルデカ - 2002年08月16日(金)

この国マレーシアでは 今ぐらいの時期になると
縦20cm・横25cmほどの小さい国旗を掲げ、風に
なびかせている一般市民の車が多くなる。

8月31日 ハリ・メルデカ。この国 マレーシア
の独立記念日だ。(ハリ:日 メルデカ:独立 
の意味)

日本と比べて その盛り上がりは驚嘆に値する。


首都のクアラルンプール(KL)中心部では夜中
の12時に花火が一斉にあがりこの日を祝う。
夜中だというのに人と車でごった返す。

街の外れでも一般人が自分で買ってきた花火
をあげて騒ぐ。この日、どうしても早く眠りたい
人はこの国を飛び出すことが無難だ。


現地の人に自分の国が好きか?と尋ねることが
あるが「当然。どうしてそんなこときくの?」
と必ず呆れられる。

もし日本でそんな質問をして何人が自分の国を好き
と言うだろうか。

それでも若い世代の愛国心は薄れてきてるらしく、
2〜3年ほど前に比べると国旗の数はずいぶん減っ
てきたらしい。

どこの国でも 抱える問題にそう変わりはない様だ。



今週は父と妹が日本から遊びに来ている。夕食後の
夜のKL市内をドライブした。

8月31日のイベントのメイン会場になる独立広場
を訪れた。

夜の10時だというのに 300人ほどの民族衣装を
着た若者が 伝統音楽に合わせダンスしてる。

途中で音楽が止まった。誰かがマイクを通して指示し
てる。どうもリハーサルのようだ。

日中は30度を軽く超えるこの国だ。リハーサルも
涼しい夜にしかできない、という事か。


後部座席には父と妹がこの様子を見ている。明日
夜の帰国を前に タイミングよくこの国を感じさせ
るものを見る事ができ 喜んでる。

助手席には3歳になる息子がぐっすりと眠っている。

家では二番目の子を身ごもった妻が待ってる。妊娠
3ヶ月ゆえ 車で連れ出すのを控えている。

今年のハリ・メルデカは妻と息子と おなかの中の
子供と一緒に 家族水入らずでこの日を祝おう。


そして来年は 今は妻の中にいるこの子も 美しい
この国で 人々の歓声と共に空にあがる 華麗な花火
を見ることになるだろう。







...

チャンティ・ゴルフ - 2002年08月06日(火)

パーム椰子(やし)の森と美しいビーチリゾート。
その一方で この国 マレーシアは”ゴルフ天国”
ともいわれている。

猛暑である事意外、天候に関しては何ら問題ない。
いつも晴れてる。雨が降っても1時間ほどで晴れ間
がのぞく。常夏ゆえ年中プレーできる。

ゴルフに関するもの全てが安価であることに驚く。
週末のゴルフコース代 6000円で十分。日本なら倍は
するだろう。

1年前に赴任時から本格的に始めたため コースでの経
験が足りない。さらに料金の安いパブリック(=公共)
のコースでプレーしている。

ここに来る人たちは 僕と同じぐらいのレベルの地元人
が多く、実に楽しい。

1人で行くと必ず2人以上居るグループに入れさせら
れる。知らない者同士だが地元の人はとてもフレンド
リー。遠慮や過度の緊張はない。

いいショットをすれば「チャンティ!」(現地語で
ビューティフル)と誉めてくれる。


マレー人、インド人3人チームに編入した。彼らは
日本人とプレーした事がない、という。日本人は一体
どんなプレーをするんだ?という視線を感じたが終始
フレンドリー。楽しいものだった。

中国人、マレー人2人の女性チームと組んだこともあ
る。女性の前ゆえ少し無理をしたのでスコアは最悪。
「ランチを食べに行く時間なので帰ります。」と言って
2人は途中でやめたが僕が下手すぎて怒ってしまったの
だろうか。

父親がイギリス軍人だった、というパキスタン人とは
サシでラウンド。185cmはあると思われる大柄な男
で、プロ並みの飛距離だ。グリーン周りの寄せが下手で
スコアは僕とそんなにかわらなかったが。

地元の人と気軽に交流できる。それがここでのゴルフ。



そしてゴルフは 世代と世代をつなぎ 一緒に楽しむこと
のできる 唯一のスポーツでもある。


僕の3歳の息子はゴルフに興味を示し練習場でボールを
打ち始めた。彼のクラブは靴べら。喜んで打ってる。

来週、妹と 還暦をすぎたばかりの父がマレーシアに遊び
に来る。滞在期間中の1日を 父とふたりだけのゴルフに
あてる予定だ。

父とスポーツをするのは小学校の時のキャッチボール
以来。

普段から無口な父とのゴルフ。営業ゴルフのような「ナイス
ショット!」というかけ声のない 物静かなラウンドになる
だろう。


10年たてば 息子もコースでプレーできるようになってる
だろうか。

その時は 父〜子〜孫、それぞれほぼ30年、年齢の違う
男3人だけでプレーしよう。

それぞれの世代がひとつになれる。



この国での楽しみが ひとつ増えた。













...

オン・ザ・ウェイ - 2002年08月02日(金)

この国マレーシアの居住者の60%を占めるのが
先住民であるオラン・マーラユ(現地語でマレー
人)だ。

外見はほとんどの人が茶色い肌で髪は黒。目が大き
く二重まぶた。顔つきは沖縄の人に近い。

小柄な人が多く男性で170cmもあれば大柄な
方だ。成人男性は鼻の下の髭をはやすことが多い。
少し肥満気味な方が貫禄があって望ましい。

女性も小柄で、160cmで背の高い人。
イスラム教徒なのでトドンと呼ばれるスカーフで
髪を隠している成人女性も多い。

気質はおおらか。楽観的。のんびり。目をあわせ
て話す人が少なく、シャイな人が多い。外国人に
対しては優しい。

常夏で年中暑いせいか皆一様に急がない。待ち合
わせの時間に平気で遅れてくる。30分遅れなら
ついてる方で1時間遅れなど常識の範囲だ。


そして、そんな彼らからよくきかれる表現、それが
”オン・ザ・ウェイ”だ。

彼らは、「(その行為を)行ってる途中です」と
いう意味でこの表現を使用する。


例えば顧客とオフィスから少し離れたカフェで待ち
合わせをしたとしよう。

待ち合わせ時間には絶対に現れない。携帯電話で連絡
をとる。

もしも、カフェのあるビルの駐車場にすでにたどり着き
車から降りたところで電話を受ければ 彼はすかさず、
”オン・ザ・ウェイ”と返答する。

この”オン・ザ・ウェイ”は良い”オン・ザ・ウェイ”。

しかし、先方が「しまった、今日の待ち合わせを忘れて
た!」とオフィスで外出の準備を始めたところだった
としても返す言葉は ”オン・ザ・ウェイ”。

ようやく仕事を片付けて、オフィスから出てエレベー
ターを降り駐車場に向かってるところだとしても返事
は ”オン・ザ・ウェイ”。

目的地に向かって車を運転中、しかも前は大渋滞だと
しても 答えは ”オン・ザ・ウェイ”。

どんな状況であろうとその人に 目的地に向かうという
意識さえあればこの言葉で片付くのだから遅れた方に
とっては便利な表現だ。

しかしそれを言われた方はたまらない。何度も会って
よく知ってる客なら どの状況での”オン・ザ・ウェイ”
か 尋ねることができるが 初対面ならそうもいかない。

日本に居たときなら気分を害してたはずだ。

しかし今は、とりあえずこっちに向かってるんだ、と
安心できる。”オン・ザ・ウェイ”と言われても、
平気で時間をつぶせるようになってる。


その国に自分をあわせていけばいい。


こうして 僕も ゆっくりと 現地に溶け込んでいくのだろう。









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