るり子の日録【愛が終わる日】
るり子の日録【愛が終わる日】
るり子



 重戦車、触り魔に変身す。

男の人の生理が

随意にコントロールできるものか

そうでないものなのか、

性の違う私には 正確にはわからない。

個性もあるだろうし、

経験もあるだろうし、

その時の体調もあるだろうし、

年齢的なものも当然あるだろうと思う。







ある程度までは コントロール可能なものであるという事も

理解できる。

でも、確かに快感の絶頂を

その肉体の形状で 私ははっきり悟った。







にもかかわらず、

スペルマの放出だけを10秒ほど 

随意に遅らせるものが出来るのだろうかと、

私には まるで手品のように思える彼の

その 時間差の放出。







故意だったのか、

かれの それが個性なのか

私は 機会を見て聞いてみたい。







お食事をして

いつものように移動したバーで

理性を保ちつつ 二人で飲む。

私は

いつものように

フレッシュフルーツのカクテル。

甘王のカクテルと 愛媛オレンジのカクテルを作ってもらう。







彼のピッチは 私の三倍ほどもあるだろうか。

私のカクテルには 微量の

彼のカクテルには 私の10倍程の

アルコールが入っていると思う。







時計の針が翌日を指す頃から

彼にもようやくアルコールが回ってくる。

「瑠璃ちゃんは燃費がいいね、軽車両並かな。

僕は 重戦車だから、めちゃくちゃ燃費が悪いなぁ。」


そう言って、なかなか酔わない自分を そのように比喩する。







その重戦車が温まってくると

彼の手が さりげなく私の腰を愛撫しはじめたり

私のスカートの中に 手が入ってきたりする。

そんなバーではないにもかかわらず、

彼の理性は 飛び飛びになる。







理性を保っている時の彼は

例えば

対面にすわったカップルが 同じような事をしだすと






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その彼も

酩酊してくると 同じことをしだす。

それを彼は おそらく覚えていないだろう。







それでも、カウンターの下で隠れて

という程度の 理性はちゃんと働く。

でも、

いくら小声で囁いたつもりでも

酔っている彼の声はあたりに漏れている。

「瑠璃ちゃん、本当に愛しているよ。」







今までの 彼のお店でのイメージが

おそらく 崩壊するような彼のこれらの所作。







私は シラフの時に

彼に言う必要があると このごろ思う。

私はどこを触られようと 別に厭ではないのだけれど、

彼の名誉が 粉々になってしまうのが

とても まずい。






わたしが彼の評判を落とすのであれば、

それは 私の罪。

女の沽券にかかわるというものだ。










2009年02月01日(日)
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