2006年05月07日(日)
「わたくしたち」と口にしながら あなたの指が私に触れず 私の眼差しがあなたから逸れてゆくことに 気づいているだろうか よいのだよ、そのままで 良いのだよ、わたくしたちは仮初の 言葉よりも不確かな生き物なのだから 「わたくしたちは知っている」 「あなたの事を知っている」 「あなたを知っている」 触れ合わず、眼差しも交わさず 音だけが交錯して消えてゆく そのはざまにある幻なのだから 「そう、知っているわ」 けれどもぬくもりが、 それは幻だろうかと、 2006年05月06日(土) 岸辺には雨がふっている わたくしたちは並び立ち、向こう岸を眺めながら 水について語り続けている まるいね つめたいね まぶしいね やわらかいね さみしいね ……ちいさいね 確かめたと思う輪郭を、端から水玉が撃ち抜いてゆく 気づかないないふりをしながら 同じものを違う言葉で語り 見ていないのだと信じこもうとしている などと、いう、言葉、 は、存在しては、 眼を閉じてしまえば、雨は止むだろう 川岸には私たちの、足跡が残されるだけで |
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