(断片) 2002年09月30日(月)
千回のサヨウナラと 千一回のハジメマシテを繰り返し 僕らはまだ二人ぼっち 窓の外が明らんでいく 目覚めるたびにこの指が 自分のものであることを疑い 昨日はどこに留まっているのだろう 刻まれた目盛りを探しても 膝の裏にあるのは僅かな窪みだけだ いちたすいちは、に ひとりとひとりは、ひとりとひとり 軌跡はどこに描かれている? 石を投げて過去に当たるのなら はるか未来で振りかぶる腕が 空の隙間に見えても不思議ではない 見開いたままでは届かないのに 目を閉じて聞こえる 明日の声 どこまでもいきたい、はてしなく これは直線ではなく、円環である 巡る、とは 変わりつづけるということ とは 喪いつづけるということ 明日の訪れる音を知るすべを 君は既に持っているのだ 幾重にも幾重にも円は描かれ それは全て君という一点を中心にしている 目を閉じ目を開き 全ての重力を確かめたまえ ここへ そこへ どこへ どこまでも (雑記)ネコ…… 2002年09月26日(木) ネコが二・三メートルも吹っ飛ぶって、どれくらい力を入れて蹴ればそうなるでしょ……。 そもそも生き物(含む人間)を蹴飛ばすとか殴るとか、そういう行動自体、信じられないんですけど。 目の前でやられて、一瞬思考が停止しました。 咄嗟に怒るって、出てこないのね、と。痛感。 例え怒ったところで、相手は御施主サマなので私の立場が悪くなるだけですが。 蹴られたのは、子猫三匹と一緒に愛想を振り撒いてくれる可愛いお母さんニャンコでした……(涙) なんで、アンタなんかに頭下げて愛想ふりまかなくちゃいけないんだ! 共働きの上に出張が多いから、猫を飼いたいの必死に我慢してるってのに。 いっそ纏めて身請けしてやろうかとか、考えたんですけどね。 その家のお隣さんがどうも可愛がってるらしくって、餌も用意してあったので諦めました。 ……ああ、猫。 飼いたい(切実) 迷った末に 2002年09月25日(水) 買わずに帰ってきてしまった。京極の新刊。 はーどかばー……せめて新書だったなら……(ため息) 「嗤う伊右衛門」も大ハマリして、多分今回のもハマルと思うんですが。 うー。金銭的に余裕が無いっ(涙) てか。早く「陰摩羅鬼」出してくださいっ。信州人として待ち焦がれてるのにっ(笑 今週のMステスペシャル、Coccoが登場するみたいです。 で、きっとまた旦那に「もののけ姫」とか言われるんだろう(笑 絵本の原画を公開。歌は……歌わないんだろな。 彼女の絵とお話は、Switchの特別版で既に目にしているんですが、 Cocco節とでも言うべきモノは歌と変わらず根底にあって個人的には好きな部類でした。 自閉症の児が描いた絵とそっくりな世界の捉え方していて、なんか不思議でしたが。線や色に独特の生命力があって、同じように世界が見えているんだろうか、って。 ああいう絵で、ああいうお話を描くのかなあ。 子供向け、ではないよねえ。少し暗くて、少し痛い話。 あ、でも松谷みよこも重くて暗いけど、子供向けとして発行されてるか。 「やっほーさそりくん」とか。ファーボとルーモの話とか。 何にしても、楽しみ。です。 2002年09月24日(火) 風が、走り抜けていく。 野分。 揺れる萩の野を真っ二つに裂き 走り抜けるその直線の先に、君は立ち。 胸をおしひろげ突き抜けてゆく流れを すべて受けとめながら 空は輝いていた影は暗かった森はざわめいていた 私は立っていた君は歩いていた夏は遠かった 輝きは風が散らしてしまうから、君は目を閉じて けれど語る唇が閉ざされる事は無かった 君は今でも 雑記 2002年09月19日(木) 最近思うこと。 ※宗教は個人の内にあっては幸福をもたらすが、他者との間に存在すると不幸を生む。 ※国家が個人を護ることはない。国家が護るのは国家だけである。 ※道に迷うような生き物は、本来の生育環境に戻されたところで、生存を続けることなど出来ない。 だからといって、私が他者との間に軋轢をのぞんでいるわけではない。 即興ニ題 2002年09月18日(水) 柄にも無く頑張ってみた痕跡をふたつ。 ネット界のひきこもりな傾向は相変わらず、なんですが。 〜※〜※〜※〜※〜※〜※ 「空耳ばかり」 歩いていってしまったので。 夏をいつまでも引き留めているのは 跳躍する翅のきらめきでもなく うつむかない向日葵でもなく (君は、歩いていってしまったので) 季節はずれの木蓮の花、とか 秋のような夏のような雲のかたち、とか ……ねえ ねえ、 と 呼びかけてしまって けれど君は歩いていってしまったので 茂みに落ちた声を拾うために 僕はしゃがまなくちゃいけない 君が、歩いていってしまったので 夏はいつまでも留まって あの日の君の声を 繰り返している 君が、あるいていってしまったので ※〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜※ 「Phantom pain(幻肢痛)」 花の香りがして 誰かに腕をひかれた いや どこにもない、花なんて 九月の夜気はあおく 俺は右の腕も左の腕もなくしたままだ ──あ、きんもくせい そうだな便所の香りだな いやだわそんな下品な いいにおいだね、おとうさん ( おとう、さん? ) 両肩が重くしなだれるのは 温もりがある気がするからではなくて 耳がこそばゆいのは 誰かの声が聞こえるからではなくて 迷うのは いや、迷いなどしない ここにあるのは四角い石の建物ばかり お父さんという名の生き物や お母さんという名の生き物が 暖かくて小さな生き物とつながって歩く 場所など無いのだ 俺の両手は とっくに犬の餌になっちまった それとも、と振り向きかけて 工事中の道の段差につまづいた ああやっぱり、俺は歩いていたのか 〜※〜※〜※〜※〜※ お題が与えらるという条件が、実は好きなのかもしれない……と一瞬おもったんだけど。どうなんでしょう。 どちらかというと、自分が書きたいと思っているものが何のか把握してなくて、名づけられないでいるって事なのでしょう。 だから、書き始めに思っていた場所と、全然違う場所へ着地してたりする。 これは、欠点、なのでしょう。 いろいろ、考えました。 とりあえず。 その場所のことを、エンピツに書いてくれた方に感謝。 です。 失敗したー(><) 2002年09月16日(月) 慣れないことはするもんじゃないってか、いやーん。 前回はちゃんとスマートに(?)できたのにー。のにー。 変なところ押しちゃったり、タイトルきちんと直してなかったり ああああ。大馬鹿だよ大馬鹿。 これだから、やっぱり駄目なんだよ〜(死 二編も既に書いたタイトルだけど、頑張ってみた(つもりな)のに。 しくしく。 子供の頃から第一印象で激しく誤解されますが、私は粗忽で慌てもので乱暴モノです。繊細な作業とか大の苦手です。 信じてください。 外見と中身のギャップで、子供の頃から幻滅を食らいつづけております。 大人の顔が一気に落胆へと塗りかえられる、あの悲しさ。何度経験したでしょう。 ああ……恥ずかしすぎて死にそうだわ。 断片/ 雨の指先 2002年09月15日(日) 雨が降ると眠くなるのは、ね 縫い閉じられるからよ 空と地面が いってしまったものと これからゆくものとが 語る人のまぶたは どんな色だったろう 千の縫い針のひとつ はしゃぐ私の頬に落ちて 流れた冷たさが 同じ重さでてのひらに戻る 見てきたもの 雨にうつむく稲穂のきんいろ 生まれたばかりの魚の透けるうろこ あわ立つ川の暗いながれ たどりつく海のかがやき 全てを捨てて駆け上る空のとうめいな ……記憶 まぶたを閉じて聴く、誘われるままに 糸はぐるりとまわって たぐり寄せれば届くだろう あの日の あなたの指先に 今度は間違えずに繋いで 雨がふると眠くなるね ねむろう、一緒に 雑文 2002年09月14日(土) やはり隠し場所として最適なのは、タンスの奥深く。 それからキッチン廻りで、同居人が手を出さないと明らかな場所。 市販の文庫本などは、靴の箱にぴったりサイズなのでカモフラージュが楽なのですが、いかんせん個人出版のブツって収納に苦労しますよね(謎) 同居人が本を読まない人なので、文字だけのブツは平気でその辺へ積んで置けるんですけどねー。 って、何の話をしてるんだか(^^; プロフ、色々入れ忘れてたので更新しました。 今後も追加されるかもしれません。 なんせ好きな作品とか作家とか、多すぎる。 アニメまで入れたら、それこそ収集つきません。 とりあえず。 内田善美は絶対はずせません。星へ行く船とかも好きでした。 それから、遠藤周作。 彼が死んだと知ったときは、マジで泣いたです。 海と毒薬、沈黙。深い河。 どれも擦りきれるくらい読みました。 指輪物語に至っては、中学生の頃にお年玉をはたいて全巻購入。 あの頃だけで20回は読んでます。 最近は、そこまで思い入れられる作品に、出会えないでいる感じです。 本以外に興味が向いてしまっているせいも、あるかもしれないけれど。 ゲームなら……結構はまれる作品に出会えているんですけどねえ(笑) かろうじて。 ブギーポップでしょうか。 上遠野さんの作品は、全部世界観が一つ通っていて、ついそれを解説してしまいたくなります(笑) 世界の流れと、個は切り離すことができる。 しかしそれは、世界の敵となる行為でもある。 こそっと詩のページも更新しました。 本来の小説のほうが一向に更新されません。 ………が、がんばってるんですが(汗) 告解 2002年09月11日(水) 父よ 私はあなたの喉に付きつけられた 一本の刃であります 晴天を煩わす灰色の狼煙であります 花園を枯らす一匹の蜂であります ◇ ◇ ◇ ◇ 花がそのあるがままで花であるなどと? ◇ ◇ ◇ ◇ 私の家には庭がありました けれど井戸は水を湛えず ただ一本の花はしおれ 今にも枯れるばかりなのです ※ ※ ※ ※ 薔薇に必要なのは 劣った蕾を切り落とす鋏と 有害な虫を追い払う手と そして、何より ※ ※ ※ ※ 水を乞うても 通りを過ぎる人々は見向きもせず 泉を探しに行けば 蜜のある川は全て他人のものなのでした 盗み出した水は手からこぼれ 私が得たのは石ばかりでした 空は青く 一点の曇りも無く 私は磨がれる刃になるしかなかったのです ◇ ◇ ◇ ◇ きっと眼差しが 花には必要なのだ 誰も見つけることの無い高山の 人に知られず獣にも知られず 蜜を運ぶ虫さえも辿り着けぬ場所にあって 何かが花弁を開いたとして それは花と呼べるのだろうか 花の ◇ ◇ ◇ ◇ たった一本の花を枯らした私は あなたのような農夫にはなれぬでしょう 私は 一本の刃であります 育てることの出来ぬ 刃であります (無題) 2002年09月10日(火) ほら、ごらん 降り積もる声の重さに 三半規管が捻れて 季節の変わり目を知るのです 白茶けた庭に 貴方は植えたのでした 春を告げる木蓮と 夏を知る百日紅と 色づいていく銀杏の葉に ふと思い出すのです 曲がった背中が 紡いだ幾つもの歌を 夏には秋を 秋には冬を恋しがり そうやって人は先へと歩くのだと 木陰をも焼き尽くす昼の光に 貴方の水を汲む手は消えて 追うことも出来ない私の膝に 茂る梢が影を落として それでも 花は咲いています ほら、ごらん 誰かの声が耳朶に触れ 三半規管が一つ捻れて 世界が廻り季節が巡り もう寝転んでも良いでしょうか 重みに耐え兼ねて (断片) 2002年09月09日(月) 神様を探しに 母様は行ってしまいました 小さな庭に 百本の木を植えて 父様は鍵をかけました 庭の囲いを高くして 教会の鐘が聞こえぬように 窓を二重に閉ざしました ナツメはたわわに実をつけ アカシアは白く香ります 水を与える手も持たぬまま 庭は森になりました 小鳥は森で鳴きますが 神様の声は聞こえません 木漏れ日が部屋に忍び込んでも ここには誰もいないのです 母様は 神様を探しに行きました いつわりと真実と 2002年09月08日(日) 父と継母さまをご招待、温泉に一泊しておりました。 広告ばかりは立派で、なんというかサービスの根本を履き違えている感のある旅館でありました。料理だけは普通だったのが救い(涙) しかし入り口に客がついてもだれも「いらっしゃいませ」と言わないとか、(真ん前に立ってるくせに!)、客に言われるまで駐車場を案内しないとか、部屋のテレビが全然映らない、とかとか。つっこみ所が満載過ぎて泣けました。 せめてアンケートに気づいたこと全部書いて置いてこようかと思ったのですが、そもそもそんな客の声を聴く心構えがあれば、そんな事態に陥ったりはしないのですよねヽ(´ー`)ノ ◇ ◇ ◇ 石原都知事の娘、と詐称していた方が自殺。 地元であっただけでなくて、嘘、で身を固めるその生き方が。 なんて言うんでしょう、人事とは思えないです。 他人に理解されないであろう、嘘という形が。 自分自身の虚像を作り上げなければ、他人と向かい合えない人間がいます。 それは、素のままで他人とかかわれる人達には、おそらく理解されないであろう病、です。 彼らは、他人に否定されることを何より恐れています。 親や教師、周囲の人間に怒られることを恐れます。それは、そく自分が見捨てられるという事になりますから。 小さな失敗をしたとき、それを素直に告白する事ができません。その失敗を誤魔化すための長い嘘を考え出し、それをさも真実のように語ります。 いえ彼らにとって、その嘘は嘘ではなく、まぎれもなく真実起こった事実、なのです。 失敗を犯した自分を認める事は、自分が否定されることと、彼の内部ではイコールなのですから。 ……なんで解るかって、私自身、こういう子供でありましたから。 失敗を犯さない、完璧な人間でなければならなかったですから、そのために沢山嘘をつきました。 嘘という自覚は、あるけれどない。 あるんです、嘘をついているという自覚は。けれど、それよりも自分自身の理想像というのがあって、それに自分自身を合致させたいというエネルギーの方が強いですから、嘘を表層意識からは見えない場所まで押し潰してしまう。 この部分が、普通の人、嘘なんかつかなくても生きていける人には、全く理解できないみたいで。 特に正義感が強い人たち、善だ悪だと物事を大上段に語りたがる人は。 理解できなくて、頭ごなしに嘘は悪いと追い詰めて、嘘を暴きたてようとします。 でも、それは虚言癖のある人間にとっては、少なくとも私にとっては、喉元にナイフを付きつけて殺そうとする、そういう行為にしか思えない。 嘘は悪いという自覚はある。けれど、そこから脆弱なプライドを救い出すための力が、ないのだから。 って。 えー……(^^; 今日は書きたいことが纏まらない。 あのね。 嘘だ嘘だって、暴き立てることは簡単だよ。 特にマスコミの人達って、そういう絶対正義の側からの言葉を使いがちで。 それが私なんぞには、恐ろしいものに見える。 もちろん、件の彼女が実際はどんな人物だったか知らないし、彼女を庇う由縁もない。だけど、一連の報道を見るのは凄く嫌な気持ちになった。 何かが正しいとか、何かが間違っているとか。 どうあることが善で、どうあることが堕落だとか。 他人に向かって語る人間は、私は嫌いだ。 そんなものは、個々人が自分の内側で求めるべきことで、誰かに押し付けることじゃない。 少なくとも、相手の全部を引き受けてやろうっている心構えが無い人間が、相手が鬱になろうが精神失調になろうが、最後まで関わってやるって覚悟が無い人間がそういう行為をするのは、ただ自分のプライドを満たしているだけだ。 おとといきやがれ。 (って、何かあったような切れ方ですね) (ええ、あったんですよ。ものごっつう迷惑な電話が) (宗教お断り、何度も言ってるだろう!) しまった……。 2002年09月06日(金) 喧嘩の後の興奮を引きずったまま、大失態をやらかしたようです。 てか、やらかしました。恥ずかしい限り。 一晩明け、冷静に自分の書いたものを読み返すと、いかに日頃浅い部分で思考しているかが一目瞭然。 日頃推敲が嫌いといって書き捨てていたつけが返りました。 (というか、普通の状態なら絶対あんな場所に足を突っ込んだりしなかったんですが) てかね。 毎回思っているんですが。 〜〜〜〜〜インナースペース(イメージ)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 書きあがったもの→◎ ↑ 水深百メートルくらい ↓ ◎←書きたいもの。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 あ、と思って書き始めたイメージと、出来あがったものとが、どうしてこう激しくずれるんでしょうか。 やはりもう少し、真剣に取り組まねばいかん、と。 なにか深く反省したのでした。 ちなみに旦那様とは、今日の昼過ぎまで口を聞きませんでした。 しかし、私が一晩音信不通状態であった事で、「心配する」という気持ちが初めて解ったと言いましたので(笑)、許してやる事に。 一晩峠を走った甲斐はあったようです。 てか、今までそんな事も解らんかったのかお前は! 犬も食わない。 2002年09月05日(木) 昨晩から思いっきり旦那と喧嘩中。 心配するな、というか心配するなんて馬鹿と言うなら、食事を作ってやるのも洗濯をしてやるのも、溜まったゴミを出すのも掃除するのも、全て馬鹿でお節介な行為なのでしょう。 というわけで、へたれサスのサンバーくんで、一番中峠を走りつづけておりました。 そのままぶっとおしで尚も喧嘩中。 はあ、眠い……。 雑記/ぐるぐる中 2002年09月03日(火) ネット世界の片思い。とでも言うのでしょうか。 そういう相手がおります。 それも複数<浮気モノ。 エンピツ通して惚れたサイト様とか作品とかなんですが。 うう。なんで「リンクフリー、だけど要連絡」だったりするのでしょう。 恥ずかしいじゃないですかー。 片思いの相手が、自分のへたれ作品を見に来るなんて! こそっとリンク貼らしといて下さいよー。よよ。 パソ通時代から数え、早○○年。 その間いろいろな事がありまして。それこそ本当にイロイロ。 ずいぶん精神的にやさぐれてしまったようです。 相互リンク申し込むなんて、そんな若い精神は私には残っておりません(涙) うつくしい文章、とか。 心の形にすっと添う物語、とかを掲げられると、会ったこともないその人に惚れてしまいそうになります。 だけど書かれたものを読んで、それを「解る」と思うことがどんなに危険か、も嫌というほど経験しました。 語られた「痛み」が解る。 語られた「世界」が解る。 それは確かに、その人と何がしかの部分を共有する可能性ではあるのでしょうけれど。 言葉とか、文字とか、そういう<形>というのは人という存在の、ほんの一部分でしかありませんし。 「解る」ほどに、「解らない」僅かの部分が目に付いて、もどかしくて、ならばいっそ解らないほうが、どれほど素直にその人に向き合えるか、と。 ☆だけど、自分の本当に好きなものを他の人に教える喜びってのもあって、サイト作ってリンクページの醍醐味ってのはそこにあるわけで。 やっぱりリンクフリーなら潔くリンクフリーにしてくれよって。 思うんですよねー。いじいじ。 即興/連環 2002年09月02日(月) 百と十回、私は 鱗ある生き物でありました 叢の下に居を定め 追い詰める獲物の事ばかり 思いつづける存在でした 千と一回、私は 水に棲む生き物でありました 閉じることの出来ぬ瞼で ひるとよるとを 川面の季節を 見つめつづける生命でした 思い出される光景は 千の昔の私か 百の昔の私か 止まぬのです 止まぬのです 地に満ち水に満ち それでも 百と十、千と一とを掛けあわせ 私は こいねがう幼い生命であります この手に余ると知りながら 花も 星も 全てを (いたずらがき) 2002年09月01日(日) 煙草をもみ消した男の指が、重い空気をかき分けるようにして、差し伸べられる。 おとがいをそっと持ち上げ、それからゆっくりと探るように首の皮膚を滑る。 ──ああ、指先にも熱はあるのだ。 場違いな思考に捕らわれた昴の首筋を、二つの熱が這う。やがて薄い皮膚の下で蠢く脈を見つけ、蜜を見つけた蜂のようにそこで留まった。 窓から入り込む月光が、男の頬を滑り、口元に少し伸びた髭の上で踊っている。 やっぱり、と昴は薄く笑んだ。 この男には、夜がよく似合う。 友人に囲まれ、笑顔を絶やさない昼の彼は、巧妙に作り上げられた紛い物だ。 誰も気づかない。押さえ込まれた怒りや衝動に、激しい劣情に。 「──なにが、おかしい」 「なにも。ただ、君はそうしているほうが美しい」 男の顔が、奇妙な形に歪んだ。驚きだけでもなく、怒りだけでもなく。 首筋を押さえる男の指に、くっと力がこもる。 痺れる。頭だけでなく、全身が。 締め付けたまま、引き寄せられた。男の表情が、影に閉ざされて見えなくなる。 激しい痛みと一緒に、煙草の匂いが、唇から流れ込んで。 すっと、また月明かりが戻る。 指が緩められて、顔を覆っていた痺れが消える。けれど熱点はまだ首筋に添えられたままで、そこから違う種類の痺れが、全身を走る。 誘われるように、昴は手を伸ばしていた。 自分の首を捕らえる男の無骨な手首に触れ、少し硬い肘の骨、冷たい二の腕から、厚い筋肉に覆われた肩。そして、風にさらされて少し冷たい、首筋。 男は昴の手を拒もうともしなかった。 昴は、指先を通して男の脈を聴く。自分よりも少し早くて、ずっと力強い生命の鼓動。 「……星なら、星らしく」 男が、苦々しげに口を開く。 「手の届かねえ、高いところに居れば良かったんだ」 昴はうっとりと目を細め、もう一方の手も男へと差し伸べた。汗ばんだ掌が、迷うそぶりも見せずそれを受けとめ、乱暴に引き寄せる。 「それが、手の中に堕ちてきちまったら」 再び顔の上に、影が落ちた。けれど闇の中の僅かな光が、男の眼に映っている。 星だ。 ずっと手に入れたかった、冷たい輝き。 その輝きをもっと見たくて、顔を近づける。 男が、震える吐息を吐き出す。 「握りつぶすしか、ねえじゃねえか」 煙草の苦い味が、口の中に広がった。 今度は、柔らかな熱と共に。 背中を滑る掌の温もりを感じながら、昴は目を閉じた。 星は、君のほうだ。 高い場所にあって、届かなくて、ずっと握り潰したかったもの。 手に入れた。 ようやく。 ◇ ◇ ◇ って! てへー! 悪戯書きですっ。それ以上でもそれ以下でもっ。気分は○○○○うで(謎) |
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