日々の思い

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日記を書くこと、書かないこと
2004年10月27日(水)

どこだったか外国で、日記を書く人と書かない人ではどちらがうつ病にかかりやすいかという研究(調査)がなされていて、日記を克明につけている人のほうがうつ病になりやすいという発表がされている記事をいつだったか読んだ記憶がある。

はて、そうなのかな? と、考えてしまった。

歴史に名を残しているたくさんの作家たちは、たいてい日々のことをかなり克明に記録し、後世まで残している。
それらの記録がのちになって多数発見されているし、歴史的にも貴重だったりする。

一般的にも、日記を日常的に書いている人は多い。
それは、家計簿的なものや、単なるメモだったり、あるいは読書記録だったりする。

何も書き残すこともせずに一部始終覚えていられる人は、そう多くない、書き残すことで1年後、2年後の行事の参考になる場合だってある。

日記を書くことによって、自分の心を分析して・・・なんていうほどのことでなく、ちょっとした心の迷いや、その日のおいしかった夕食のことを書き記しておくことは、毎日の区切りと弾みになってよいのではないかとおもったのだが。

ただし、私の場合はというと、
頭に浮かんだときに残して置けばいいのだけど、数分で忘れてしまっている。

やっぱり、老いは着実に進んでいるようだ。


相次ぐ台風に、回復が出来てないというのに、地震が襲ってきて今、新潟は大変なことになっている。
自分に何が出来るのかとおもうと、何も出来ない。
テレビの画面を見つめながら涙するだけ。

「大丈夫ですか?」「頑張ってください」レポーターの言葉も、むなしく聞こえる。
彼らも声をかけることはつらいだろう。けど、かけずにいられないに違いない。

私もやっぱり同じ、「大丈夫ですか」と言う言葉が適当だとはおもわないけれど、他に言葉を思いつかないし、
声をかけずに過ぎることも出来ない。

山古志村から避難して来た方たちが、毛布や食料に感謝の言葉で応対しているのを涙が止まらなかった。

彼らは、いつあの村に戻れるのだろうか?
きょうもまた、新たな地震が襲ってきて山が崩壊を進めていた。

余震が、一日も早く治まってくれるよう心から祈る。



焼きたてパンはしあわせのにおい
2004年10月20日(水)

昨夜長い文章を書いてプレビューした。その次にクリックしたところが間違っていた。

全部消えてしまった。
こんなときって、まったく己をのろいたくなる。

その結果今日はまったく違うことを書くことにした。

今、ホームベーカリーでのパンつくりが楽しくてたまらない。

まずは、ほとんど手間が要らないこと。

それに計量さえ同じであれば仕上がりが毎回ほとんど同じに出来ること。

混ぜ物をしても、実にいいくらいに混じってくれて切ったパンを食べるときにどこから食べようなんて悩まなくてよい。

レーズンと胡桃を入れて焼くと、ほんのり色づいているし、息子いわく”いっぺんに全部食べれるくらいにおいしい”

そろそろ、生地コースだけにして形をいろいろ作りたいという気持ちもあるのだけど、うまく出来ない場合を想定してしまい、もう少しの間、お任せコースで楽しみたい。

今日焼いているのは、ヨーグルトパン、新しいレシピを試しているところ。

人はおいしいものを食べるととても幸せになれる。

焼きたてのパンのにおいには、しあわせという言葉がぴったり合う。

ハイジは目の見えないペーターのおばあさんに、白パンを食べさせてあげたいと自分のパンを大切に取っておくのだけど全部かびてしまっていた。
あのときのかびた白パン、かびていてもハイジにはしあわせのにおいがしたのだろうな。

パンには、そんな魔法の力が宿っている。

白い小麦粉が水と混じって、イーストという魔法でびっくりするほど膨らんで元の形とはまるで似つかない形に変わるんだもの。それこそがしあわせのかたちなのだ。





「ドラマ しあわせの国 青い鳥ぱたぱた?」
2004年10月18日(月)

NHKアーカイブスで、20年前のドラマをやっていて、田中裕子さんの顔が、今とちっとも変わらないのにびっくりしたことから見始め、時間が遅いのにもかかわらず夢中になってしまった。

それぞれ、孤独に生きている人々が偶然というか、必然というか出会い、やさしさを持ち寄るように同居する。
家を新築した後、まるで独身のように何年も単身赴任が続く男、母親にほとんどかまってもらえない少年、元警官なのに盗みの常習癖があり、娘に追い出されてしまって住む場所のない老人、そして、田中裕子扮する突然現実から逃げ出してしまって「何でも屋」に働く女。

4人は擬似家族なのに本物よりも家族らしく寄り添って、こころが通い合う。

本当は違うとわかっているのに、人はやさしさがほしいし、夢だってほしい。
老人が遊園地で鳩にえさをやりながら死んでしまう。

彼はもしかしたら、幸せだったかもしれない。似非家族でも、彼がほしかった家族の形を成していたもの。

この作品が作られた1985年頃は家族の崩壊が始まった頃らしい。
作者は、家族とは何かということを訴えたかったという。

少年の母親が男と別れて戻ってきて、子供を引き取るという電話が入る。
彼ら(男と女)は少年を、少年の自宅玄関で車から降ろし、言葉もかけずに走り去る。

少年が追いかける姿が痛々しい。
彼は、あの後どう育つんだろうか。

でも、彼ら(男と女)は他に方法はないのだ。母親に返す以外、少年はいくところはない。
将来少年は施設に入ることになるのだろうな。

男は、旭川に転勤が決まる。
女はついて行くわけにはいかない。

それぞれがそれぞれの旅たちをする。

女は言う。
やっぱり夢を見ることはだいじだと。

彼女は母親に疎まれてそだっていた。「あんたなんか、生みたくなかった」のだと。

それでも、女は、夢を見て生きたいという。

自分を探して見つけたいという。

きっと女は、自分を見つけて、しっかりと生きていくに違いない。

子供を生み育てるに違いないと信じる。

田中裕子さんの素晴らしさにすっかり心奪われてしまう。




「処刑前夜」 メアリー・W・ウォーカー
2004年10月07日(木)

前作「凍りつく骨」を読んだときも思ったのだが、主人公犯罪記者モリーのものすごいまでの強さが心の中にびしびし入ってきた。

前作のほうがもっとおどろおどろした部分が多く、時に読むのを中断しながら、やっぱり止めることが出来ないで読んでしまった。

死刑囚の言い表すことが出来ないほどの残酷な性格。

でも、最後になってやっと判明するもう一人の犯人はもっと残忍な人間。

女性なのに、これほど残忍な犯人像を書けるなんて作者自身、相当に強い性格の持ち主なんだろう。

吐き気がするほどの残忍さ、でもやっぱり次作を読みたくなってしまう。




小川洋子さんの本
2004年10月05日(火)

最近3冊ほど続けて読んだ。

小川さんの本は、現実なのか、非現実なのか良くわからない。それでもいつしか、引き込まれてしまう。

気がつくと、一緒に「指」を夢想していたり、洞窟の中で何かの香りを嗅いでいたりする。
内容的には残酷で、さびしい部分が多い。
けどいつの間にかその中に入り込んでしまっていて、そこから抜け出さなければ現実には戻れない気がして、あがいてあがいてやっと抜け出したとき「ああ、私が生きているところは現実の世界だったのだ」と、安堵と安らぎを感じる。

小川さんが書く女性たちは、ファンタジーの世界に住む女性なのだと思うけれど、なぜか作者と重なって見えてしまう



レコードプレーヤーとモンローの声
2004年10月04日(月)

息子がアルバイトをして得た貴重な給料でレコードプレーヤーを買ってきた。そして私が大昔、今の息子よりも若かった頃に買ってしまっておいたレコードを掛けて聞いていた。
もう寝ようとしていたのだけど、部屋から漏れてくる曲がたまらなく懐かしく久しぶりに胸に言いようのない感情が湧き出した。

「帰らざる河」・・・・・ノーリターン、ノーリターン、・・・のリフレインを聞いていると

瞼の裏に、縁側に座ってお茶をすすっていた祖母(素晴らしい銀髪でいつもきれいにそろえて撫で付けていた)。

長い眉を神経質にぴくぴくしながら、日本手ぬぐいを使ってお風呂で一緒に遊んでくれた祖父、(とても細かくて、行儀作法にうるさく、お風呂の入り方まで細かく注意したがなぜか私には優しかった)

モンローのセクシーな歌声を聞きながら思い出すシーンではないのだけど、どういう訳か大きく瞼に浮かび上がってきたのだ。

ほとんど思い出すこともなく、思い出したくもない、貧しかった少女の頃。
「小学○年生」なんていう本くらいしか、情報源もなかったあの頃。

無口で、無愛想で、不器量な女の子でも夢が持てた。
小学校の図書館に休み時間が来るのを待ちかねるようにして、たった5分でもいいから、走って行って続きを読んだ。

「小公子」や「小公女」の世界にたっぷり浸ってすごすことが出来た。

今は、パソコンに向かってなんでも検索すれば少々のものは得られる。
人の知らないことだって、新聞の端っこに載ってる記事を、手がかりにすれば探すことも出来るし、ほしいものは買うことだって出来る。
それを、便利だし、幸せだと思う。

けど、何にも知らなかったことを、こころをワクワクさせながら図書館に通って、夢み心地で過ごしていたあの頃が、今、また戻ってきてくれたらいいと思う、不可能だとわかっているのだけど。

モンローの声は、どうしてあんなにセクシーなんだろう。
そしてなぜ、涙が出るほど悲しいのだろう。



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