それはもう諦めるしかないんじゃないか?と友人は言った。 それは、まあ分かっているんだけどね、と僕は言う。
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会社は何もない平野のど真ん中にあるので、 晴れていれば遠くまで見渡せる。 だが2月の中旬に細かい雨が降ったときは、 まるで濃霧の中の孤島のようだった。 その孤島まで2時間、毎日通っている。
最近仕事で忙しくはしていない。 やらなければならない部分だけをこなして、 あとは時間が来たら帰る。 夜になると雨が止んでやっと空気が冬のそれに戻った頃、 ようやく、僕も元に戻ったのではないかという気がした。 バスは時刻表通りならばあと10分は待つというところ。 凍えながら少し前のことを思い出した。
僕はまもなくこの地を離れて新天地へと向かう。
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副業副業と何度かここで書いているが、 それは格好の逃げ場なのだ。 多少なりとも稼ぐことで埋まらないものの 代わりをさせようとしている。 だが毎日のように気持ちは高揚と停滞を繰り返す、 その影響で僅かながら人生にメリハリがついたようにも思う。 今日はそのパートナーとしている友人と、今日飯を食いに行った。
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食後、コーヒーを飲みながら僕らはこれからについて話した。 何故転職なのか?という問いに、 僕はいかにももっともらしい答えをした後、 だけど多分、僕は、転職先の会社が業界トップで、 本当はそこに居たという経歴が欲しいのだと思う、 ということを付け加えた。 かなり聞こえが悪いのは自分でも分かっていたが、 大学を出るときに、あまり良く考えないで就職活動をして 今の会社に入ったことへの後悔のような気持ちが、 多分未練となって残っているのだ、と自分自身で結論付けている。
友人は、人生を未練無く終えることが必要だし、 そういった未練を潰していくこともいいだろうと、 肯定してくれ、それ以外に未練は無いのかと問いかけてきた。 そこで出たのが冒頭の言葉だ。
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いろいろと想像しすぎるのは昔からの悪い癖だ。 君がどうしているのかなんて、最早知ることはできない。 僕は相変わらず、にはならないように、一生懸命だ。
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おやすみなさい。
相変わらずだ。 何をもって幸せなのか分からないのは相変わらずだ。
転職活動は本格的になり、 土曜に面談の練習、日曜に1社目の面談。
1社目のほうが本命、というか、 この会社に落ちたら転職活動は見合わせて、 また資格を取るかTOEICでもやったろう、と 思っているところ。 もうそれ以降は割とどうでもいいのだが、 エージェントの顔を立てて、 今日の2社目のセミナーも仕事も無理やり切り上げて行く。
だが、内容から言えばまるで興味が沸かず、 ありえないことに居眠りをコクリコクリ。 失礼だったと思う。申し訳ない。
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会社へのタクシーで、運転手の風が暖かいという言葉に 少し落ち込んだ。 また季節が巡ってしまう。
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