僕らの日常
 mirin



  飛ばない鳥@暁生

普段、大人しい人間は自分にとって最悪だと思うことが
あった時、その感情は険しく尖るという、それはあいつも
同じことであるらしく・・・

「嫌だ」

まだ一言しか...

「断る」

切り出してもない

「やらない」

台本見せただけだろ?

いつもの場所いつもの弾き馴れた筈の透明ピアノはどこか
荒れた音で、奏でられている音色が痛ましい悲鳴を上げて
いるかの様だった。

「どうしたんだ、珍しいな。お前があんな尖るとこ
はじめて見た。委員長しょげてたぜ、フォローしたけどな」
「嫌なことは嫌。ハッキリそう言っただけだ。
ああゆうのはやりたくないんだよ。それだけだ・・・」
「お前、暗記力いいし、演技力だって、演劇部顔負け」
「暁生は美術室寄るだろ。ごめん、ぼく先帰るよ、それじゃ」

弾いていたピアノから、早々と手を離して鳥羽は椅子から
立ちあがり俺と目も合わせずに、この場を後にした。
傍目めら見て、どこか感情の入ってないような瞳が冷たく
感じた。

「・・・鳥羽?」

俺は、そんな背中に手を振ることも忘れ呆然と見送っていた。

2004年01月29日(木)
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