僕らの日常
 mirin



  向日葵@遊馬

昔、住んでいた家の裏手には夏になると黄金色に
染まる広い庭付きの別荘があった。
もちろん、染まるといっても本物の金や財宝じゃない

"向日葵"

それも庭中に広がる足の踏み場もない程の向日葵の列。

それは、綺麗だった。とても・・・
眩しいくらいのそれを、毎年家の屋根から見下ろすのが、
ぼくの・・・ぼくら子供達のささやかな楽しみだった。

もちろん、そこの持ち主は居て、夏の間だけやって来る
そのことをぼくらは知っていた。
その持ち主の顔は、ぼくを含め子供達は誰も見たことが
なかったけれど、こんな綺麗な向日葵を咲かせるんだ。

きっと、優しい人がここに来ているんだろうな...

子供はいるのかな?
女の人がいるんだよ。
じいちゃんとばあちゃんだって!

子供のぼくらは、あれやこれやと勝手に想像を膨らませて
皆で、わいわいと盛り上がっていた。

何も知らずに・・・
この別荘をどんな人が出入りしているのか

何も知らずに・・・

2003年07月12日(土)
初日 最新 目次 MAIL


My追加