2005年01月30日(日) |
川崎市との交渉準備を |
川崎市との交渉準備を 崔 勝久
鄭香均の最高裁判決がきっかけとなって多くの人が連絡会議のサイトを訪れ、掲示板に参加してくれるようになりました。
今回の最高裁の判決で最高裁は、地方自治体における人事の問題は各地方自治体でやってくれればいいというスタンスをとりました。東京都のように外国籍公務員を採用しても管理職にはさせないということもよし、逆に、管理職にさせるところがあってもそれはそれでいいというスタンスなのです。
ということは、我が川崎市に対しては、外国人も川崎市民であり、重要な構成員であることを謳う川崎市は、外国人にも市政参加を望み、「共生」「多文化共生」を看板に掲げる以上、自らが採用した外国籍公務員の権利をどのように捉えるのか、東京都と同じように「区別は差別でない」と管理職昇進を拒み、職務制限をするのか、この点をきっちりと5年間以上続いている市との直接交渉の場でつきつける必要があるでしょう。
私が知る限り、「公権力の行使」を定義してそれに基づいて門戸を開放して、「運用規程」なる制度を作った唯一の自治体です。しかし彼らの「定義」そのものに法治国家の原則を踏み外した過ちがあることをしっかり彼らに認識させる必要があるでしょう。
川崎市が外国人施策において最も進んでいるという過ちを明確にし、彼らこそ、「当然の法理」(さすが、最高裁の判決でもこの単語は使えなくなっていた)を制度化させた張本人ですから、鄭香均を支える運動をしてきた人は、川崎を称えるのでなく、門戸開放を求める運動に留まらず、差別を制度化した「川崎方式」を崩す運動を広げ、その理論化を図るべきであったのです。
3月に照準をあわせて、川崎市との直接交渉の準備を進めましょう。
2005年01月29日(土) |
1月26日の最高裁判決について(1) |
1月26日の最高裁判決について(1) 崔 勝久
現在、鄭香均の弁護団で判決についての学習会を通しての見解を準備しているということなので、一日も早くその見解を読ませてほしいと願っています。弁護団の方はみなさん大変でしょうが、がんばってください。
新聞紙上での判決の要約文と実際の判決文とではかなり違いがあるように思えます。ここでは私個人の印象の一部を記します。私の見解に誤りがあれば、訂正しますので、御教示ください。
1.判決は外国籍の公務員就任の是非、「公権力の行使」の定義、外国籍公務員として「公権力の行使」に関わることの是非の判断は避けています。 東京都の鄭香均に対して行ったことは憲法、労働基準法に違反していないということを述べているだけです。
2.具体的な問題、即ち、各地方自治体が外国籍公務員を管理職にすることをこの判決は、禁じてはいません。従って、各地方自治体が独自の判断で、外国籍公務員を管理職にするしないということに関して裁判所は関与しないということになります。
3.外国籍者を採用するかしないかも、地方自治体が判断すればいいということになっています。ただし、「合理的な理由」があれば、採用しなくとも、憲法違反にはならないという判断を示しています。
4.採用した外国籍公務員にどのような職務に就かせてはいけないとかという判断はしていないので、「公権力の行使」とは何かが具体的でなく、「公権力の行使」にあたる職務は何かは一切、不明になっています。
5.判決がこのように中途半端なものである以上、連絡会議はこれまでの運動をさらに進めるに際して、川崎市の「公権力の行使」の定義のもつ問題点を問い詰め、市長や管理職の下でその指示に従って市民に命令、指示するだけであるのに、その職務に従事することをどうして「公権力の行使」という理由で外国籍公務員には禁じるのかということをあきらかにさせていくべきだと考えます。
判決について
崔勝久
裁判は鄭香均さん全面敗訴となりました。 最高裁は憲法判断は避け、石原東京都のやったことは1審と同じ判断をしたことになります。
本来公務員は法に基づいて市民に命令をするのに、採用された外国籍公務員が法に基づいて一般の日本籍公務員と同じように仕事をすることを禁じるのはどのような根拠に基づくのでしょうか。
判決によって逆に、各地方自治体は独自に外国籍公務員の任用を決定するというようになります。即ち、川崎市は根本的に川崎在住の外国人を「準会員」とするのか、国籍に関わりなく同じ住民として人権を保障するのかが問われます。 住民投票に外国人を入れるというのはほぼ間違いないでしょう。
次に、それでは市の公務員は国籍によって差別されていいのか、ということに川崎市は答えなければなりません。 「公権力の行使」とは何か、根本的に市職員が市民に命令できるのは、法に基づくのであり、外国籍公務員が何故、その法に基づいた命令をする職務につけないのかという問題が残ります。
私たちは、今後、川崎市との交渉で以上の点を追及していきます。
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