パンドラの箱
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2006年05月30日(火) |
あなたがそこにいる不思議。 |
年に一度のその日を、誰よりも早く祝いたかった。 形にできぬ想いを言葉に代えて。
誰にも負けないと、いくら想っても、 傍にいられない分、叶わない想いもあるかもしれない。
世紀に一度現れる彗星のように、出逢えた奇跡を想う。
出逢えたことの不思議。 あなたがそこにいる不思議。
何を話そう。
あふれる想いを伝えるための言葉なら、 いくら言っても言い足りない。
言っても仕方のないことは、 飲み込んでしまおう。 あなたがそこにいる不思議と、 あなたと出逢えた奇跡を、 想えば想うほど、 責めたり、 なじったり、 そんな楽しくない会話はしたくない。
だから。
意味もなく笑ったり、 意味もなく黙ったり、 ただその想いをかみしめる。
「好きなんだからいいじゃん」
罪悪感を感じずにやり過ごすことが君の望みならば。
もの想う、雨の夜。
他の誰かと会話を交わし、 他の誰かと身体を交わす。
それは罪深いことでしょうか。 例えそれが本意ではなく翻意であったとしても。
身体を開くのは意外と簡単なこと。
けれど。 ただひとつ許せない場所がある。
その神聖な場所だけはあなたに逢う日まで封印されている。 一番、目について、誰からも簡単に奪えそうなその場所は、唯一あなただけを待っている。
その機会は、そう簡単に訪れるものではないから。 その瞬間瞬間は、貴重で。
話したいことがたくさんあるの。 伝えたいことがたくさんあるの。 もっともっとあなたの声が聞きたいの。
そんな想いがいっぱいになって、堰を切って溢れ出してしまうから。
言いたいことの半分も言えない。 伝えたいことの半分も伝えられない。
限られた時間の中では、あなたを捕まえきれない。
だから一瞬でも。 抱き締め合えたら、と願ってしまう。 その瞬間だけは、 確実に、 この腕の中に、 あなたの心も身体も封じ込めてしまえるから。
古いアドレスを消せないのは弱さだ。 もう 戻れないし 戻ってくることもないのをわかっていても。
贈られる想いを きっぱりと拒絶できないのも弱さだ。
想いを利用して 淋しさを紛らせたり、加虐心を満たそうとするのはずるさだ。
一番見たくないものを見せつけるのは 無神経さだ。
見なかったことにして 気付かないふりをして 幾度かごまかしてきたけれど。
やり過ごせない想いを全てこの拳に込めてあなたにぶつけて、
全ての想いを拒絶してしまえたら。
そうして。 開かれた君の腕に身を任せて 君の想いに応えたら きっとざらついた色のない快楽が 待っているのに違いない。
たったひと言でも。 そこに残されたあなたの声を聞くだけで、顔がほころび、うれし涙が出てくる。
街角で見かけたシャツや、靴や、さまざまなものを。 あなたを思い浮かべながら眺めるのは至福のとき。
お酒や、料理を。 あなたはどんな風に食べるだろうと、想いながら味わうのはささやかな幸せ。
逢えない時間をあなたを想って過ごすのは、 確かにさびしいけれど、 想える人がいることがとても大切なことで。
モノではなく、形でもなく、 ただあなたがそこにいる幸せは、 私にとっての何よりのプレゼント。
想いの量は無尽蔵ではない。 想いを産み出すのには、 その想いを産み出すためのエネルギーがあって然るべきで。
与えつづけるだけでは、心が枯渇してしまう。
与えつづける想いを支える想い。 心潤すためのエネルギーを求める先で、 疲労や苛立ち、不満や不安。 そういった負の想いを抱え込んでいるのなら。
やはり、想いを注ぐことになる。 補給するために、補給する。 それはある意味矛盾するのだけど。
それが支えあうということなんだね。
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