パンドラの箱
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庭に出て 月あかりで あたたかい夜に 君に書いたラブレターを 読み直してみるよ 我ながら良く書けた文だ 三枚も書いた コオロギが便せんに止まった 失礼なやつだ
君に会いに行くよ 君に会いに行くよ 愛してます 好きにしてよ 君に会いに行くよ
朝日通りは 夕飯時 いつもの野良犬たちが 僕の知らない 君の話 時々聞かせてくれた 年をとって生命がつきて 星のかけらになっても 昨日聴かせた僕の歌 町中に流れてる
君に会いに行くよ 君に会いに行くよ 愛してます 好きにしてよ 君に会いに行くよ
あんなに楽しかった夏休みだったのに 君のママとも仲良くなったのに
秋になって 冬を越えて サヨナラと言った 何十年 指折りかぞえて自転車に乗って また
君に会いに行くよ 君に会いに行くよ 愛してます 好きにしてよ 君に会いに行くよ
また君に会いに行くよ 君に会いに行くよ 愛してます 好きにしてよ 君に会いに行くよ 君に会いに行くよ 君に会いに行く 君に会いに行くよ
「星のラブレター」THE BOOM 作詞 宮沢和史
裏切られてもほっとかれても嘘つかれても 呑む打つ買うでも仕事しなくても道で寝てても 電話は無いし手紙も来ないし住所わからない
仕方がないわね まあいいか 私の恋人
いじわる抜きで優しく出ようが物で釣ろうが 「ステキだね」なんてお世辞を言っても隣で寝てても キスしてくれてもかわいい目しても抱いてくれても
騙されないわよ ねえちょっと 私の恋人
思いがけない五月の通り雨 少しだけ思うあなたを 水溜りで跳ね回る子供達 少しだけ思うあなたを私なりに
しばらく来ないしもう桜は散ったし潮時かしら 覚悟してなさい ねえちょっと 私の恋人
あなただけなのこの世で 私だけなの噂じゃ 二人だけならなんとかするつもり 少しだけ思うあなたを私なりに
たとえ勝てはしないゲームでもどうにかなるの 過ぎてゆく季節の中 巡る巡る巡る巡るこのおかしな2人 悲しいくらいに愛して 知ってるはずね
いつもここで見つめている不思議なかけひき 堕ちてゆく螺旋の中 回る回る回る回る離れられない2人 いらだたしい程好きなの 振り向いてもくれない
たとえ勝てはしないゲームでもどうにかなるの 過ぎてゆく 季節の中 巡る巡る巡る巡るこのおかしな2人
悲しい位に愛して ねえいらだたしい程好きなの そう悲しい位に愛してる
ユニコーン「おかしな2人」 作詞:川西幸一 作曲:奥田民生
大切なのは、お互いを想う気持ちだと。 わかっていても。
気が付くと、 隣にいない寂しさや、 同時に同じ物を見ることができない悲しさや、 同じ夜を過ごし、同じ朝を迎えられない切なさばかりに目が向いて。
「もっと楽な恋をすればよいじゃない」
それは、きっと、そうなのかもしれないけれど。
楽でも、それはあなたではない。 私が欲しいのはあなただけで、それは決して楽ではないからと言って、簡単に手放せるほど容易い想いではないのです。
そして、その言葉を投げかける君の、 その先にある想いを薄々気づいていながらも、 残酷な仕打ちを繰り返す自分に、半ば呆れながらも。
どうにかしたいのだ。
自身の感情を自身でコントロールできないのを。 感情を抑えて、身体を痛めつける日々を。
リセットしてしまえば楽になるかもしれない。 何もかもなかったことにして。 長い淡い夢を見たと想って。 以前とは少し違う自分を今の自分に置き換えて。
けれど。 自分の気持ちに正直でありたいと願い。 想われる気持ちにきちんと向き合いたいと思う。
そのためには。 傷つけたくないからと、 嵐をやり過ごすために、 いくつかの逃げ場を作り、 必死に抗おうとすることは、 不実以外の何物でもないと。
だから、 ただひとつのその命綱を、必死に掴んでいるのだけれど。
不安なのは、きっと、先が見えないからなのではなく、 握った命綱の先が、 手繰り寄せていったときに、 本当に陸地に繋がっているのかがわからないからに違いない。
あなたが惑えば 私も惑う。
雑踏で、愛を叫ばせる。 自分は安全な場所に隠れて。
「言ってみて。ねえ、早く」
本当は聞いているこちらのほうが半ばうろたえてしまうけれど。
「え?聞こえない。もういちど」
淋しさに泣かせた罰として。
耳に響くその声に安堵して、思わず緩んだ唇から小さく舌をのぞかせる。
髪を伸ばすのは好きじゃない。 昔は半年と同じ髪形はしていなかった。 伸びるのが早いから、失敗してもすぐ伸びるし、と恐れずカットをし、ウェーブさせ、イメージチェンジを楽しんでいた。
「長い髪のほうが好きだな」
そんなことを言う男は大嫌いだった。 長くても短くても似合えばいいじゃないか。 長い髪の女と言う記号を愛しているのか、とうんざりし、次に逢うときにはわざとショートにしていった。
「長い髪にしているところを見てみたいな」
そう言われて、久しぶりに伸ばしてみようかと思った。 伸びていく髪。 過ぎていく季節。
その先にあったのは別れだった。
誰かのために髪を伸ばすなんて乙女チックなことはしてはいけなかった。 後悔したけれど、なくした恋のために髪を切るのも悔しかった。 次にどこかで出逢った時に、長い髪の私を見て、後悔させてやりたかった。
そのまま時は過ぎ、伸ばしっぱなしでいたのだけれど。
「あなたの髪が良かった」
あなたがそう言ったから。 きちんと手入れして伸ばそうと思った。
「しばらく逢えないね」
「次に逢うときまで髪を切らないでいようと思うの。どこまで伸びるかな」
伸ばした髪は逢えない時間の長さを計る物差しになる。 どこまでもどこまでも伸びていく髪がいつかあなたに届くことのないよう。
繋いだ手をどこまでしっかりと握っていられるか。 正直自信がない。 だって、進む先は深い深い穴の中。暗い暗い闇の中。 見えるはずのないものが見え、聞こえるはずのない声が聞こえる。
「しっかりと握って。決して離さないで」
あなたの言葉に、差し出された手を必死に握り返すけれど。 そんな言葉よりもなによりも、暗闇の恐怖に支配された私は、目を閉じ、耳をふさがずにはいられない、その恐怖に耐えられず、繋いだその手を離して、立ち止まり、目を閉じ、耳をふさぎ、あなたを見失う。
その先にほんの少しでも光が見えたなら、私は迷わずあなたにしがみつき、決してその手を離すことはないのに。
「会いたいのなら会いに来れば良い。でも、無理でしょ?」
「迷惑だと思うならやめれば良い。それもできないくせに」
「自分で、もうしない、と約束したんですよ?自分でした約束も守れないなんて俺を馬鹿にしてるってことですよ?」
「私ってかわいそう、こんなにがんばってるのに、そう浸ってるでしょう?ずっと浸ってなさいな。浸ってるだけで成長もしない、努力もしない、そういうのを馬鹿って言うんですよ?結果が出せなければ意味がない。努力してるかしてないか、なんていうのは人に認めてもらうべきものじゃないんだ」
どうして私はいつまでも、こうして、貴方の言葉を思い出してしまうのだろう。
貴方を傷つけた代償に。 貴方を救えなかった代償に。 貴方を尊重できなかった代償に。
そして。 もう2度と、同じ過ちを繰り返さないために。 あなたを傷つけないように。 あなたをちゃんと救えるように。 あなたをきちんと尊重できるように。
無性にいらつくことばかりで、 大声でわめき散らしたり、 何かにやつあたりしたいこんな日に、 あなただけが一番よく効くクスリを持っている。
両腕を伸ばし、自身の身体を抱き締める。
抱擁を想い、きつく力を入れ。
唇に触れる肩先に軽く歯を立て、決して自分ひとりでは慰めようもないくちづけを想う。
何もかもをぶつけて壊してしまった関係が、いくつもあったから、緩衝材を用意するのがいつの間にか癖になってしまった。
「どうしてわかってくれないのよ!」
そう叫ぶ前に愛の言葉を囁ける誰かを。
「何もかも壊してやりたい」
喉元まで出かかった恨み言を飲み込むために、見守ってくれる誰かを。
「あたしは間違っていない?」
そう問掛けるためにニュートラルな誰かを。
全てを開く鍵なんてないから。 闇の扉をこじあけなくても済むように、全ての扉を取り払ってしまえば。
さしこむ光に、闇はいつか消えていく。
何度も口にするその言葉に、どれほどの決意が込めれているのか。 最初は気持ちを試すため。 いつしかそれは自分の決意を確かめるため。 そして、決意を表明するために変わっていった。
「出て行くから」
「今度何かあったら、本当に出て行くから」
また、何度も繰り返す、全く意味の異なる言葉。 最初は恐る恐る、自分の気持ちを伝えるため。 いつしかそれは相手を縛る呪縛の言葉。 そして、自身を狂わせる呪われた言葉に変わって行く。
「愛してる」
「どこにも行かないで」
どちらも脅迫であることに変わりはない。
「嘘でもいいから好きと言ってよ」
そんなことを言われた。
そんなことを願ったこともあった。 嘘でもいいから。 好きでなくてもいいから。
「お願いそばにいて」
だけど、まったくそこに想いのない言葉は何の救いにもならないで。 むしろ余計に心を切り刻む鋭い刃を持って。
「そんな嘘は吐きたくない。あたしはそんなに優しくない」
そう答えたけれど。 本当はそんな嘘を吐くほうが、よほど優しさの欠片も持ち合わせていないことを思い出す。
あなたに逢えたら、話したいことがたくさんある。 逢えない間に見たものや、 聞いたこと、 知ったこと、 感じたこと、 考えたこと、 あれも、これも数限りなく。
だけどきっと、ひとめあなたの顔を見たら、 そんなことはどうでもよくなって、 想いの全てがたっぷり詰まった熱い抱擁と、 有無を言わさないほどのくちづけが待っている。
覚悟は良い?
2006年04月09日(日) |
Sign your name |
紙切れ一枚の繋がりには、何の拘束力もなくて。 それでもその束縛は呪縛のように強くて。 ならば、せめて本当の想いは、心の中に。
"Sign your name Across my heart I want you to be my baby Sign your name Across my heart I want you to be my lady"
lyrics by sanandamaitreya
Delicate like snow Delicate like birds Delicate just so Delicate like air Delicate like breeze Delicate like you and me
A delicate advance A delicate retreat Delicately planned Delicate like peace Delicate like a touch That's delicately brief Delicate like you and me
Delicate like trinkets on her bracelet (Like trinkets on her bracelet) Delicate like a bracelet on your arm (Like a bracelet on your arm) Delicate like sweet arms around me (Your sweet arms around me) Delicate like me on top of you
Delicate like words Delicate how time So delicately runs Then delicately dies Delicate how eyes So delicately breathe Delicate like you my dear Delicate like me my love Delicate like you and Delicate like me and Delicate like Delicate like you and me
lyrics by sanandamaitreya
君に幸あれと願う心の先には 自身の望む形はない。
想いを形にするのは、簡単なようで難しい。 その大きさも、 その強さも、 どんな言葉にしても、的確ではない気がする。
大好き。 とても大切。 好きで好きでたまらない。
いろいろ言葉を連ねてみても、 やっぱりその言葉しか思い浮かばない。
言葉にすると軽くなる。 言葉にするとウソっぽい。
それでもやっぱり 「愛してる」
こうして、あなたの声を近くで聞く。 息づかいや声音から伝わる想いは、温かくあたしを包む。 決してその表情は窺い知ることはできないけれど。
ふと思った。
ぴったりと抱きあって、耳元でささやく、その時と似ていると。 お互いの表情を窺う余裕もなく、ただひたすら温もりを求めて、その耳元でささやかれる愛の言葉。
ただひとつだけ違うのは。
決して温もりに触れることはない、と言うこと。 その髪に、 その手に、 その唇に、 直接触れることは、できない。
何もかも壊してしまいたくなる時がある。 だって、しょうがないでしょう?あなたはここにいない。
とても鋭い刃を持った言葉たちをいつ発してやろうかと、てぐすねを引く。 きっかけは何でも良いのだ。
それでも最後の最後まで、本当に何もかもを破壊してしまうほどの威力を持った言葉を、口にする日がくることのないように、お願いだから早く、この唇をあなたの唇でふさいで。
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