(SleepWalking)



目の前が白く遠のくけれど
 
よのなかには
やさしいひとがいるのだな、と思った。
そばにいるわけでも
付き合いが長いわけでもない
わたしの事情なんて知る由もない
逢ったこともないようなひとだけれど。


誰かにたすけてと言えない
それなのに差し出される手を待っている
ばかみたいな私にひとこと
だいじょうぶ?と問う
そのほんの少しのあたたかさが
とてもとても、いとおしい。


見えない明日とか
聴こえない呼び声とか
かわせない怒号とか
考えるだけで意識が飛びそうになるけれど
もう少しだけ踏ん張って
立ってみようかと思う。


ありがとう。

2008年12月25日(木)


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記憶から抜け落ちた
 
追い続けたものをすっかり忘れてしまった
忘れたことに気付かずに泣いた

今どこにいるの
あなたは一体どこにいるの

腕を伸ばして掻き毟る
あったはずの体温は
朝日に透けて消えてしまったのか
ひとつも温度は変わらない
私の体温のまま

全てを投げ捨ててきたのよ
あなたが愛しくて
全てを殺していたのに
あなた以外のものなんか
なにも要らなかったのに
それすら忘れてしまって

私のからだはどこにあるの
透けてしまった体温
漂う空気に溶けて消える

2008年12月22日(月)


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