窓のそと(Diary by 久野那美)

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2006年07月01日(土) 幻の青い染料と伝説のサッカー選手

怖い夢の話です。和風の懐古調の、怖い夢を見ました。
山深い里に古くから伝わるという幻の青い染料と、伝説のサッカー選手をめぐる猟奇殺人系の物語でした。ストーリーはあまりに複雑で覚え切れなかったのですが、夜更けに、縁側で老婆が「こより」を1本1本丁寧に青く染めている光景がとても怖かったのです。うすぼんやりした月明かりの下に並べられた「こより」はくすんだ深い青色をしていました。見たことのない、哀しくて切ない青でした。

この、陳腐で不可解な物語の種のひとつはおそらくW杯なのだろうと思います。
わたしはサッカーの知識が全然なくて、選手の名前もあんまりしらなくて、もちろん試合を見たこともありませんでした。かといって、特に嫌いな競技だというわけでもないので、世の中が盛り上がっているときにはそれを邪魔しないように慎重にすごすようにしていました。4年前の日本戦の日は町中がひっそりしていたので普段なら混みそうなところへお買い物にいったりしてすごしていました。
それが。
今回初めて、「サッカーの試合」を最初から最後まで見たんです。見ようと思ってみたわけではなく、むしろ、見ようと思ったり見ないでおこうと思ったりするほどの知識がなかったために結果的に見てしまうことになった・・という感じです。つまり、たまたまテレビをつけたら試合が始まろうとしていて、それは「日本×ブラジル戦」という、話題の試合らしいことがわかったので、他に見たいものがあるわけでもないのにそれがわかってからわざわざチャンネルを変えるのもなんだか恣意的な気がして、そんな恣意的な態度をとるほどの愛憎をサッカーに対して持つことができない癖に「チャンネルを変える」という能動的な態度をとるのはなんだか憚られてしまって。・・・チャンネルを変えることができなかったのです。そういえばわたしはときどき、「特にやめる理由が思いつかない」という事情で、偶然のできごとに深く関わってしまうことがあります。縁とか運とかいうのはそういうものなのかもしれません。未知の世界を経験するのはひさしぶりで、ちょっとわくわくしたのは確かです。ルールをよく知らない上に、騒々しいのが苦手なので音を消してみていたこともあって、何が起こっているのかをリアルタイムで正確には理解できなかったのですが、映画やドラマやお芝居を観ているときのように、いろんなことを考えたり思い出したり思いついたりしながら、飽きずに見ていました。

発見したこともいくつかあります。
昨今言われている、「ワールドカップに備えて大型テレビを購入する」ということの意味がずっとわからなかったのですが、テレビ放映を見てはじめて納得しました。以前の私は、「テニスや卓球ならともかく、あんなおおきなボールをやりとりするんだからそんなに大きな画面じゃなくても見えるでしょうに。」と思っていたのです。間違っていました。グランドがあんなにも広いなんて知らなかったんです。あんなに広い場所の随所に人が居て、しかもみんな競技中の選手で、つまり「なにかをしている最中」で、ボールはそのひとたちの間を絶え間なく渡っていくのですね。ボールやファインプレーを逃さず撮るにはできるだけ大きな視野を確保しなくてはなりません。卓上をカバーしていればたいていの出来事がカバーできる卓球とはわけが違います。サッカーボールは相対的に卓球の球よりもずっとずっと小さかったのです。大型テレビの謎が解けたことは大きな収穫でした

一方、不思議に思ったこともあります。
・なぜ、中継を見ながらピザを食べるのが好まれるのか。
・なぜ、「残っている時間」ではなく、「終わった時間」が表示されているのか?
・キーパーはなぜ、味方の他の選手と違う服を着ているのか?(同じ服を着ている方が味方のゴールがどっちなのかが分かりやすいと思うのですが・・)

(詳しい方教えてください)

そういうわけで。私なりにいろいろと考えながら見ていたのではありますが、結局。「青い服を着た選手たちが広大な場所で強敵と闘い、負けた。」という、そのことだけがとにかく強く印象に残とったのだと思います。あの夢から逆算すると。なんで和風レトロなのか、とか、なんで老婆が月明かりなのか、なんで「こより」なのか、はわかりません。きっと、それらにはまた別の「種」があるのだろうと思います。実際。サッカーは怖くはなかったですし。
夢って不思議です。次の機会には、また違った目でこの競技を見ることができるような気がしています。未来に楽しみが増えるのは幸せなことだと思います。


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