un capodoglio d'avorio
passatol'indicefuturo


2002年09月30日(月) Rd.12 BRAZIL/Rio

オーソリ・ミミ姉さんから郵便受けに届いた記録。
前もってメールで「期待するな」とも姉さんより聞いていた。
そして、観たものは、ああ、雨天のサバイバルレース。

つかこうへいはかつて、舞台に上がる役者の条件として、
レースの最高峰「F1」のような狂気とスリルのスピード感だと喝破した。

  役作り?テクニック?
  そんな小手先の技術なんてどうでもいいんだよ。
  なぜ人々が「F1」のレースに熱狂するか分かるか?  
  誰がわざわざ高い金払ってまで素晴らしい「車庫入れ」なんか観るかよ。
  そこにはギリギリまで高めたテンションとスリルが無いとダメなんだよ。

まあ、ここで「GP」と言わず「F1」と言ってしまった劇作家も、
どかにしてみればまだまだ脇が甘いなというところだが、
一理ある言葉に違いない(・・・嘘です、すんません、先生)。

さて、どかが言いたいのは、だから雨の中のレースは、面白くない、と言うことだ。
ライダー全員が滑る路面という足かせをはめられてよたよたしてるんだから、
狂気もテンションもあったもんじゃない。
あー何書こっかな・・・
と思ったらなんとブウが一足先にレビューを書いていた。
ので、勝手に無断でリンクを張ってしまうことにする。
ゲタ、あずけちゃおうっと(→ブウの雑記へGO!!)。

まあ、どかとはかなり切り口は違うけれども。
メカの知識はぶう氏はかなりのものがあるし、どかはとても及ばないな。
一応、付け加えると、GPの解説者の中で坂田和人だけは本当に凄いと思う。
彼はライダーとして素晴らしい自己表現ができるだけではなく、
他のライダーのそれも的確かつ鋭い洞察力でわかりやすく明示できる。
今回の解説も冴えてたと思う、アナウンサーはイマイチだったけども。
いいなあ、才能って。

あと雨の中の、ロッシのコーナーへのツッコミ。
ウェットなのにリアを外にスライドさせながらマシンをリーンさせてしまう映像は、
悔しいけれどエキサイティングとしか言いようがない。
二輪がドリフトしていくだけでも素人には衝撃的な映像なのに、
ロッシはもはや、異次元の存在になってしまった、不憫だ。

というわけでロッシ、ワールドチャンピオン決定。
12戦中10勝という圧倒的な成績で。
嬉しかったのは来期もロッシはGPを走ってくれるらしいこと。
普通これだけ圧勝したら、もうモチベーションは維持できないだろうに。
でもそれをとりあえずもう一年、ロッシは行くのだ、修羅の道を。
そう、その道を走り続ければいずれ、
チャンピオンの枕詞に「偉大な」とつくようになる。
あの巨人、ミック・ドゥーハンのように。

Moto-GP Rd.12 BRAZIL/Rio
1位:ヴァレンティーノ・ロッシ HONDA
2位:マックス・ビアッジ YAMAHA
3位:ケニー・ロバーツJr. SUZUKI


2002年09月29日(日) G1スプリンターズS

新宿のWINDSへ向かう。
WINDSなんて言うと聞こえが良いけれど、要するにただの、
「場外馬券売り場」のこと。
きょうは新潟競馬場でG1レース「スプリンターズステークス」が開催される。
中央線に乗り、新宿南口を降りる。

予想通り、超混雑しているビル内。
薄暗い建物の中に幾億の欲望が文字通り渦巻いている。
競馬新聞を一応買うが、もう、馬券は決まっている。
すなわち武豊が騎乗する「4番ビリーヴ流し」。
スプリンターズSは新潟11Rだったが、
新潟10Rと阪神11Rも一応ウオーミングアップで買ってみる。

外す。
でも新潟10R、武から流した馬券で、
武のビッグフリートは二馬身半差の一着だったから流れは悪くない。
阪神11RのシリウスSが決着し、いよいよメインレース発走の瞬間が近づく。

 きょうだけは外すことは出来ない。
 勝手にそう決めた。
 WINDSの中で混沌にもまれながら、ずぅっとiPodでカラヤンを流していた。
 うまく言えないけれど、絶対、武豊は来る。
 才能の煌めきは、美しいものは、絶対揺るがないはずだ。
 カラヤンの透明感が、ある人を奥底から駆り立てるほど絶対だったように。
 お金じゃなくて、仕事じゃなくて、そんなことじゃなくて。
 だからどかはこの馬券だけは外せない。

15:40、発走。
本命の一角、11番ショウナンカンプがコーナー途中で抜け出してくる。
ビリーヴはまだ集団後方真ん中から抜け出せないでいる。
馬群、一斉にコーナーから立ち上がる。
でもまだビリーヴは来ない。
二馬身抜け出たショウナンカンプ、ストレートに入ってまず一頭、迫り始めた。
9番アドマイヤコジーンだ、これも本命の一角。
そうして、ようやく大本命、ビリーヴの末脚が炸裂しだした。
先行する二頭の内側、あんまりスペースのない、
コースギリギリ内側の隙にビリーヴが割り込んでくる。
三頭が肌をすりあわせるくらいギリギリの至近距離でジョッキーはひたすら鞭を入れる。
いや、違う、武は鞭をあまり入れない。
入れるまでも無かったのだ、ビリーヴ、ゴールまであと100m、
圧倒的な瞬発力を見せる。
わずかなわずかな隙間しかないスペースに、地上のルールを覆す瞬発力。
必死に鞭が入る右の二頭を少しずつ、わずかに少しずつ、後ろに置いていく。
もう、どかは訳が分かんなくて涙が溢れそうで競馬新聞をもみくちゃにして。
ユタカーッて心の中でさけんで。
また、少し、ほんの少し、後ろに追いやったところでハナ差がつき、ゴール!
この三頭のデッドヒートは、とても美しかった。
全ての情熱と才能が火花を散らして凝集していった、鮮やかな
スパーク。
ゴールラインを超えて武がくるりと右手で鞭を回す、
いろんな希望やいろんな絶望を全て背負った競馬界の中心に立つ男が、
そのすさまじい重力の地場の真ん中でかるがると鞭をくるっ。
才能はなんと孤独で、なんと凛々しいのだろう。
欲望に千々乱れたヒトの群れの向こうに小さく見えるディスプレイの中で、
ユタカコールが巻き起こっていた。
ジョッキーは小さくガッツポーズし、
ビリーヴの首をポンポンと二回軽くたたいた。
どかのいる場所からなんと、遠い、でもそこはここから確かに、地続きの場所。

二着にアドマイヤコジーン。
勝ち馬券ゲット。
レースの間、外していたイヤホンをつけるとモーツァルトだった。
<モーツアルト・ホルン協奏曲第4番KV495より2楽章ロマンツア>


2002年09月28日(土) アダージョ・カラヤン

朝から練習、さんさをかっちり、鳥舞をみっちりみっちり。
その後SCHでミーティング、途中なんと、クワジィが合流。
例によって、クワジィ初体験の面々には戦慄が走ってる、楽しい。
学食でご飯を食べながら、携帯のメールをチェックした。
・・・訃報が届く。

この日記でも何度か書いた北海道に戻った「教授」が心筋梗塞で・・・
カラヤンを心から愛し、それが高じてホームページまで開設し、
どかに「教授」セレクションのカラヤンスペシャルCDを二枚もらったり、
それ以外にもクラシックのCDをいくつかリクエストして焼き焼きしてもらったり。
どかと同じタイミング、今年の四月に一緒にオーソリセンターを「卒業」したので、
送別会もみなから一緒にしてもらった。
最後に会ったとき、それはその送別会の席上だった。
どかは別れ際、彼のところに行って。

  今までお世話になりました、ありがとうございます。

  まあ、どかさんも頑張って。
  私も北の国でやってみますよ。
  ホームページ、頑張ってね。

  はい、またカラヤンのページ、見にいきますっ。

・・・そう、ちゃんと笑顔で目を見て、握手したと思う、良かった。
その後、この日記でどかがグロッキー気味なのを心配してくれたのか、
三通ほどメールをくれた。
そんな長いメールではなかったけど「日記はチェックしてますよ」ってことと、
「しっかり自分の道を行きなさい」ってことが書いてあった。
今でも忘れない、一節。

  まあ、どかどかくんのことはあんまり心配していません。
  あなたには自分の世界があるから、大丈夫でしょう。

涙が出るほど嬉しかった、本当に、本当に、嬉しかった。
うちの会社には、今の部署には全く尊敬できる人間はいない。
でもオーソリセンターには数人、いた。
彼はその一人。

お酒が好きで、クラシックが好きで、
どかみたいな若輩にも分け隔て無く本気で話してくれて、
ネガティブな感情は半分にして、ポジティブな感情は二倍にして表現し、
クレームもその大きな背中を丸めてきちんと対応し、
そんで昼休み中、いつもいつもどかに、

  ねえどかどかさん、私のページ、ついに5,000カウント行ったんですよ。

  どかどかさん、いいバッハが手に入ったんだけど、焼きましょうか?

  HTMLで少し聞いてもいいかな、どかどかくん?

なんて、ことをのほほんと話してた。
供養に何が出来るだろう。
夜部屋に戻ってきて考えた。
簡単だった。
彼に焼いてもらったCD-Rを一晩中、かけることにした。
一曲目は・・・

<ヴィヴァルディ・協奏曲ホ長調恋人RV271より2楽章カンタビーレ>
もちろん指揮は、アルベルト・フォン・カラヤン。


2002年09月27日(金) ともだち

先日、親友のメイロウと会った。
ロンドンのアートスクールに三年留学していた、
かつてどかが在籍していた学生寮の寮長をつとめたこともある男。
ICUの学生会館で落ち合っていろいろ相談したりだべったりしつつ、
その後彼の部屋を訪ねて「作品」を幾つか見せてもらった。
あの映像の作品は、本当に良かった、素晴らしい。
アイデアと肉体の融合、スピードとテンション。

メイロウと話していると、よく「キャパシティ」という言葉が想起される。
結局、自分自身に自信が無いと、
相手に対してヒステリックに「かみつく」ことになる。
それはどれだけ、みずからの価値観を持っていようが、
どれだけ、頭がキレて受け応えのテンポがはやかろうが、
感情的に、相手を押し切ってしまうような勢いを作ってしまうと、
一瞬にしてその人自身の価値観はゼロに近づいてしまう。
うちの社員にも、いわゆる「出来るヒト」のなかにも、
この手合いがとても多い。

 間違ったらいけないのは、だからといって、
 自分の意見を持つ努力は辞めてはいけないということ。
 相手の意見をすべて鵜呑みにして議論を避けて、
 「うんうん、それでいいよ」なんて言ってしまってはいけない。
 もしくは議論を黙殺してもいけない。
 「君は君、僕は僕」というファイナルワードを気安く口にしてはいけない。
 そんなのは薄っぺらくて風に飛ばされてしまう。

どかは大学の同級生にあんまし尊敬できる友人を
持つチャンスが少なかった気がするがメイロウはとても尊敬できる。
直接的ではないけれど、たくさんたくさん、アドバイスをもらったし、
たくさんたくさん、勇気ももらった。
彼は彼で、どかを認めてくれてるのが口にしなくても伝わったし、
そんな友達が、一番やん、やっぱし。

相手に噛みつく必要なんて、彼にはない。
だって、彼と話していると、すぐに相手は自分自身を、
深く深く、見つめ直さざるを得ないから。

これからも、よろしく。


2002年09月26日(木) 「DRIVE ドライブ」補足

荒唐無稽なストーリーを、役者のテンションとスピードで成立させてしまう。
という構図で言えば、とても演劇的な映画だったなあと思う。
そしてそれは現在も舞台の第一線で活躍している堤や、
もと「ミスター舞台役者」の筧をキャスティングの真ん中に据えたから、
可能になったのだと言える。

「縁」を大切にすること。
「戦うこと」を頑張ること。
映画館を発つときにその二つの価値観を、
自然に信じられる心持ちにしてくれたこの映画をきちんと評価したい。
「荒唐無稽」はマイナスではない。
それが「荒唐無稽」と見えるのは、
そんな価値観を認められない了見の狭い「世の中」にまみれているからだ。

「戦うこと」を頑張ることとはとりあえず
「走り出すこと」と言い換えてもイイかも。
ぼけらーっと立ち止まって汲々と自らの立ち位置に安穏としていること。
それが自らの幸せに繋がっているのならばそれでいいのだけれど、
希望ではなく妥協に拠っているのであれば、
きっとそこには<白装束の侍>が枕元に立つのだろう。

「縁」を大切にすること、とは立ち止まって一息ついたときの話だと思う。
時速40kmで逃走を続ける「堤くんとその一派」は、
バッティングセンターで息抜きをするが、
そこで安藤政信くんはホームラン級の打球を連発、
某プロ球団のスカウトの目に止まる。
当初、安藤はそのスカウトに反発するものの結局「一派」から別れることを決める。
あの「スペーストラベラーズ」では「銀行強盗団」の結束はとても堅く、
それが切ないエンディングへの布石になっていくのだけれど、
「ドライブ」では観客の予想に反してどんどん「一派」は瓦解していく。
そしてその「瓦解」が一人一人にとってのベストのチャンスをとらまえて、
またあらたに走り出すことの裏返しなのだ。

以前、どかはある年長者の方とファミリーレストランで三時間、
顔をつきあわせてギリギリの議論をしたことがある。
そのとき、その相手は、

 戦うことなんて、必要ない。
 大切なのは、いま、その状態で良いのだと認めてあげること。
 今の自分をまず、百パーセント肯定することこそ、大切なのです。

どかはそれに真っ向から反論した。
具体的なそのときのシチュエーションをここで書くわけにはいかないが、
けれどもそのときどかには相手の話すことが「妥協」の二文字にしかとれなかった。

でも、確かに、そのときのどかは、少し足りなかったのだ。

どかは時速180kmで走り続けることを志向していた、それも、常に。
けれども「縁」も無視できないエレメントとしてそこにあることが、
いまのどかなら身にしみて分かる。
時速40kmとは、必然性を含んだある「程度」なのだ。

じゃあどかは?


2002年09月25日(水) びっ

今夜の芸能研の練習はいつもと違って、
三鷹市の某コミュニティセンターの体育館を借りて敢行。
これがまた、無料なのに、とても立派な施設で、偉いぞ三鷹市っ。
ただ、諸事情で師匠がいらっしゃらず、ドラも来ず、
惣一郎も来ず、くまさんも来ず、サルタ氏も親方も来ず、
どかが「先生役」を引き受けてやることに。
時間も少ないし、太鼓もないし、だれないように気を配って、
びっ。
と頑張ったら、結構引き締まったいい練習になった気がする。
みんなの協力もあったからだな、どうもありがと。

身体はまた少しずつ調子を取り戻しつつ。
いっきにガクンと絶好調には持っていけないから、
でも焦るとまたバランス崩すし、慎重に、少しずつ、
少しずつ。
と、思いつつ最後八幡を通して踊った、気持ちよかった。

コミュニティセンターを出て、ステディ号を迎えに行ったら、
ふぅっと金木犀の香り。
空気はひんやり冷たくて、汗をかいて気持ちいいし、
ほかに何を望めばいいのでしょう。

一瞬、一瞬だけど完璧に幸せな夜だった。

  たたかえ・・・


2002年09月24日(火) 「さも当然」

あー、ざんぎょおっ。
なんか爆発しそうな気持ちになって職場で腕時計みたらもう22時。
ハルコンのライヴ、下北沢であったのに行けんかった。
すまん、ハル。

へとへとになって部屋について、何となくテレビつけたら、あれ。
まだやってるよ、阪神ー巨人戦。
巨人はヤクルトが今日負けたからもう優勝は決定なのだけれど、
まだ今日の試合は終わってない。
これで阪神勝ったらおもろいのになーって観てたら、
勝っちゃった、阪神、延長12回、パスボールで。
甲子園がえらいことになってて、巨人がリーグ優勝を決めたその場で、
何故か鳴りやまない「六甲おろし」!!
かっきー、阪神ファン!!
これだからトラキチは辞められないっす、優勝するより、
かっこいい一勝だこれは、あのポカンとした原の顔、ザマア見さらせっ。
試合に負けた後胴上げされる監督のバツの悪さったらないわ。
喜びも感動も、全てが中途はんぱ、いい気味だナベツネわ。

でもこんなこと書くと、某ぶうからクレームがつきそう。
なんか「雑記」で言ってたもんね、やたら延長するから、
テレビのプログラムが乱れて仕方がないって。
確かに今日の試合は5時間を超える熱戦で、
フジテレビのプログラムはもうめちゃくちゃだっただろうな。
でも、視聴率、凄かったとおもうよ、この夜に限ればね、特に関西地方では。

でもなー。
阪神ナインはサヨナラ勝ちを決めて、
でも「ふんっ」で喜ばなかったら格好良かったのに。
なんたって、優勝をかっさらわれたんだから、喜んでどーすんねん。
「さも当然」という顔をしてさっさとダグアウトに引っ込んでほしかった。
喜ぶのはファンの仕事さ。
そこいくと、星野監督はまさにそうしたから、格好いい、男だあの人わ。

  たたかえ!たたかえ!たたかえ!!


2002年09月23日(月) 「DRIVE ドライブ」

SABU監督の気になっていた映画、吉祥寺連獅子で髪切った後、
テアトル新宿にて観賞する、座席は七割埋まっていた。
俳優はいかにもSABUっぽい感じで。
堤真一・柴崎コウ・大杉漣・安藤政信・寺島進・筧利夫・松尾スズキ。
脇にさりげにいるのが松雪泰子・ジョビジョバ・根岸季衣・田口トモロヲ等。
ストーリーは、銀行強盗に入った四人組のうち、
一人(筧利夫)が裏切って金を持って逃走。
残りの三人が必死に追おうと包丁片手に車に飛び込んで「あの車を追え!」。
が、その車を運転していたのは超几帳面なA型人間の営業マン(堤真一)。
恫喝を受けても交通法規を遵守してしまう営業マンは、
時速40km以上出せず、スクーターにも抜かれ右折禁止の標識も守るので・・・
時速40km以下のカーアクション、その車でドライブする四人にはそれぞれ、
ひょんなきっかけでひょんな(でも必然の)自己実現が訪れていく。

この映画のテーマは「縁」「戦うこと」であり、主要イベントは「銀行強盗」。
なんか微妙な既視感だなーと思っていたら、ああ、あれだ、
「スペーストラベラーズ」だ、安藤政信だし、筧利夫だし!
テーマも、イベントも全く一緒で、でも、やっぱり全然別物。
あれは「踊る大捜査線」チームが作ったから、真面目にまとまってる。
予定調和、とは言わないが、物語が物語として存在してるし。
ところがこのSABU監督のは違うぞう。
なんたって最後は、スーツを着た堤真一が、河原で、
白装束の裃つけたご先祖様とチャンバラで一騎打ちなのだ、訳がわからん。
でも、それが良いのだ、面白い、はちゃめちゃで綺麗にまとめようとしない。
でもいつものSABU監督ならもっともっとはじけきって、
想像外の外宇宙まで飛んでいっちゃうところ、
巧みな「足かせ」の設定でそれを巧みに観客のベクトルを巻き込むことに成功した。
「足かせ」とはつまり銀行強盗の面々がそれぞれ抱える別々の弱みであり、
象徴としての<時速40km>だ。
その足かせをはめておいてそこから逃れるためにもがくからこそ、
「弱み」はかくも楽しく美しい。
筧なんて、あんなに動ける体育会系の役者なのに、
河原で穴に突っ込んだ手が抜けず、ずっと100分の間、はいつくばったままの芝居だ、
でも、それが面白い、笑わせる、バカだなーほんと。
ご先祖様は、堤真一に抜き身で迫りながら

  たたかえ!たたかえ!たたかえ!

と、ギリギリの恫喝をかける。
そのシーンの殺陣は、さすが、
元ジャパンアクションクラブと思わせる、
迫力あるものだった、引き込まれる、感動した。

柴崎コウは綺麗なヒトだなーとあっけ。
安藤、大杉、寺島は本領発揮。
・・・にしても筧は完全に堤に負けてるなー。
堤は今でも舞台役者であることを映像俳優であることに優先させている。
舞台から背を向けた筧とは対照的に、辛いライブの世界に踏ん張っている。
その差だとどかは思った。
ごっつい筧びいきのどかでさえ、この堤真一は断然かっこいいと思う。
そりゃあ、筧さんにもいろいろ事情があるでしょうから、
それについてとやかく言えた義理ではないけれど、でも、
野田や新感線で主役を張り続ける堤さんのが、格好いい、もん・・・


2002年09月22日(日) バックスライス

ちょっと、もう古いけど、今年の全米オープンテニス、
男子決勝が面白かった。
サンプラス対アガシ。
どかはずいぶん前からサンプラスのファンだ。
なんだか、テニスをやってる友人数人にヒアリングしたところ、
サンプラスは何故だか人気がない。
アガシは結構、みんな好きみたい。
サンプラスには力まかせのイメージがない、気がする。
彼のサーブは確かに凄い破壊力があるが、けれども、
ゴワニセビッチみたいな豪速球というよりは、
もっとキレのあるスパッという感じ、快速球?
サーブも好きだけど、サンプラスのあのバックスライスが好き。
サンプラスのそれは全然、守りの球じゃない、
ベースラインギリギリまで伸びてくる魔球みたいなの。
安定感と、凄みを両立させる、史上最強のチャンピオン。
ウィンブルドンで生で観たかったなー。
まあ、あそこに行けただけラッキーだったのかな。

あ、でもベッカーが現役だった頃は、
サンプラスもどかのなかでは二番だった。
さらに言うと、伊達公子が現役だった頃は、彼女は神でした。
ホームステイ先のテレビで、ホストファミリーと一緒に、
ウィンブルドンセミファイナル「伊達対グラフ」を観たことは、
最も大切な思い出の一つ。
サンドラもトニーも「カモン、キミコ!」と応援してくれて。
あの忌まわしい運命のサスペンドも、一緒に嘆いてくれて。

テレビはたいがいくだらない情報を垂れ流してはいるけれど、
時々、そこに宝石が混じっているから、たいへん。

とにかく、たまたまつけたテレビでやっていた、
テニスの試合が面白かったのでした。


2002年09月21日(土) ステディ号、走る

練習のあと、ご飯を食べて、少しバカ山でボケボケ。
フリスビーを少し投げつつ。
その後、つつじヶ丘の師匠宅に向かう、ステディ号で、一人。
お茶をご馳走になりながら、いろいろ夫妻と話す、時折長男くんを交えつつ。
つつ、つつ、してたらご飯までご一緒させて頂く。
いかの姿焼き、美味しかったあ。
携帯にサルタ氏から連絡入る「いまサカイの天狗に居る、来てね」。
さて、そこから、サカイ駅前の天狗まで、ステディ号で激走。
19時40分にお宅を出発、その後ひたすらひたすらこぐ、こぐ、こぐ。
ステディ号のポテンシャルを最大限に引き出してシフトアップ、
シフトダウンを繰り返し、太股がひきつりつつ、こぐ。
・・・なんと19時58分に天狗に到着、すげー、
これってマーチ君より速いよ、絶対。
コースレコード的に気持ちが高ぶったままビールをあおってしまい、
セバス、マイマイ、トモチンと熱く語らってしまう、
テーマは内緒(にするほどでもないけれど)。

気持ちよかったー、ステディ号。
月がめちゃくちゃ綺麗で、風がひんやり冷たくて、
信号にも車にもあんましじゃまされなくて、自分の力で前に進んでたのー。
無灯火運転でもなかったし、
前のかごにはヨークで買ったマルベリーの鞄がかわいくおさまっていて、
ステディ号は夜の闇に生えて真っ白で冴えてるし、
天狗にはビールが待ってるし。
サダハル号で走るシゲチンの気持ちかな、
これわ(松本大洋「花男」参照)。

エピローグはカラオケ。
どかのセットリストは洋楽多めで、チャレンジングでした
(ただし一部、例外あり)。
1:TOO LATE TO DIE(THE HIGH-LOWS)
2:DON'T LOOK BACK IN ANGER(OASIS)
3:DON'T GO AWAY(OASIS)
4:KARMA POLICE(RADIOHEAD)
5:BEN(MICHEL JACKSON)
6:14才(THE HIGH-LOWS)
7:悲しい色やね(上田正樹)


2002年09月20日(金) ST飲み

新システム導入最後のツメの日、長〜いミーティングを終え帰宅。
すぐ着替えて三鷹駅北口に向かう。
きょうは前の部署のアルバイト連中が飲みをしていて誘ってくれたから。

グチエス、ヌマニイ、エモチン、イケダ、チヨッペ、オーモリイモウト、
STイトウ、STゴトウ、STクリハラ、サガエ、ゴーバル、ゲンちゃんなどが参加、
野郎チームはみんな名うてのベテランくん、いやー懐かしい。
徹頭徹尾、バカっ話だったけど、ここ数ヶ月の飲みの中で一番面白かった。
というか、一番気持ちよく笑えた。
酒が入るととたんにヌマニイが飛ばし始める、
いやーすごいよ、あなたは、ほんっとにこのエロおやぢぃ。

何でだろな、同期の社員との飲みよりも全然楽しいんだけど。
価値観の違いだろうか?
グチエスにしろエモチンにしろ、普通にどかよりも年上の人たちで、
やっぱり(元)アルバイトだけど、彼らの中には尊敬できる点があって、そこかな。
別に年齢が全てだとは決して言わないけれど、どかが共感できる性質は、
社員よりもむしろ彼らのなかにこそ、たくさんある気がした。

ステータスなんてね、ステータスでしか無いんね、やはし。


2002年09月19日(木) その節はだうも

昨日、どうしても書かなくちゃな気分でまた社会派ぶってしまい、
大事なイベントのこと書かれへんかった。

オーソリセンターの一つ上の代、
ミツルくんの退社おめでとうパーティが新宿であった。
久々に懐かしい顔ぶれが一同に揃う、二つ上の代から二つ下の代まで。
20人弱、すごいなあ、ミツル君の人徳だあねえ・・・
みんな楽しく笑って気持ちの良いパーティ・・・
だったんだけど、カマポンとミッティとブゥチャンで、
マンションを買うならどのへんでどのくらいがねらい目。
などという世俗の泥にまみれた会話がどかの周りで展開。
はー。

ミツル君は頭が良くて、優しい性格。
いろいろ問題もあるみたいやけど、おおむねみんなから好かれるタイプ。
退社の時のかけ声は、やっぱり「おめでとう」だねー。
いーなー。
よーし、私も。
と思いつつ、主賓と握手した。

一度、前の部署でクレームにはまっていたのを、
助けてもらったことを思い出した。
就職したてのあのときのどかは、
実は涙が出るほど嬉しかったのだけれど、
ちゃんとお礼ゆってへんかったこと、思い出した。

どうもありがとうございました。

次は、外資のシステム会社で勤務とのこと。
がんばれっ、ミツル君!


2002年09月18日(水) からから

国交正常化交渉再開は、早すぎる。
ODAも人道支援も、まだ、早いよ。

誘拐されて、そのまま殺されたんでしょ?
ブッシュからの宿題を半分片づけられたからって、
なに胸張って帰って来てんのん?

まず事実関係を把握しなくちゃ。
一人一人、どういう経緯を辿っていったのか。
そんでそれを踏まえて、その連れてかれた人の人生は、
一体何だったのか。
そういうことをこのニュースに触れた人が、
きちんと沈思黙考する時間こそ必要で。

ブッシュのガキのつかいになってはいけないし、
ブッシュ第二号にもなってはいけない。
すごい綱渡りを強いられているのだけれど、
がんばんなくちゃ。

と、思いつつ、今日、職場で滅多にない北朝鮮の代理店への、
送金処理をしつつレートを計算していた。
あんまし何も考えへんようにせんとあかんなー。
と思いつつ、頭空っぽで計算機をたたいていたら、
のどの奥の方で小さい石がからから鳴っていた。


2002年09月17日(火) 津田雅美「カレカノ(14)」

岩手行きの前に既に購入済だったのだが、
何故だかすぐ読む気になれず、でも今日、読む。

んー、こう話を転がすのかあ、津田さんは。
ちょっと、期待とは違ったなあ。
「ありそうでなかなか無かった」設定のゆきのんストーリーと比べると、
「なさそうで結構あるよね」的なありまストーリーという感じ。
ありまくんの産みの親のキャラがきちんと定まってないからかな。
相手役の母親の印象がぼやけてしまっているので、
せっかくせっせと積み上げてきたありまくんの心の深い闇が、
あっという間に明るくふやけてしまった印象、もったいなし。

でーもー。
あさぴん。
かっこいいのぉ。
「大人のつきあい」とか言っちゃってえ、もー。
あさぴんストーリーはまだやってないから、そのうちやるんだろけど、
もう、そっちが気になったり。

でもでも、この巻のラスト、ありまくんを救出に向かう決意をした
ゆきのんはとても清々しく、びっとしてるのはおぉ。
って思った。

やっぱり一度緩んでしまったテンションをあげていくのはごっつい大変なのか。
かなりトーンダウンしてきた14巻だけど、次はゆきのんが頑張るかも知れない。

よし買う、15巻。


2002年09月16日(月) そうなのか?

iPod用のリモコンとケースが届く。
かわいい。
使ってみる。

・・・三秒で壊れる。
ケースのクリップ部分破損。
・・・やはり、アップル、そうなのか。

東京に帰ってきたとたん、
空は暗くて雨が降ってるし。
なんだか調子も悪い。

ま。
のんびりしよかな、一日だけわ。


2002年09月13日(金) Rd.11 PORTUGAL/Estoril

きょうは仕事、今までで一番、大変だった。
まー異動からまだ半年だし、今までで一番つったって、
そんなに大したこと無いのかも知れないけれど、
でも、システム移行のために三日分の業務量を前倒しして、
この一日でこなしたのだから、
少しくらい「大変だった」と言っても許されるでしょう。

ほんっきでぼろぼろにくたびれ果てて家に着く。
また届けてもらったGPのビデオがあったことを思い出す。
よし、気つけにこれを見ましょう。
と、わずかに残るエネルギーをかき集めて観戦体制を整える。

・・・つまんない。

激しい雨中のレース。
大治郎がドライコンディションの予選で二位になるも、レースはウェット。
コースの水はけもあんまし良くないから、
コーナーではほとんどバンク出来ず、
世界一のGPライダーがたらたら走るだけ。
次々と水にタイヤを取られてコースから消えるライダー。
オリビエ・ジャックが消え、ロリス・カピロッシが消え、加藤大治郎が消え。
その時点でどかの集中力は切れた。
・・・ま、こんなレースもあるか。

大治郎はそれでも予選二番手、ロッシの上に来た。
希望は、引き継がれた・・・
と思いたい。

あ、そういえば今日、班のチーフと面談して、
前に作ったどかの資料のこと、ごっつい褒めてもらったな。
やれやれ。
そんなことを中途半端にうれしがってしまうほど、
弱ってる自分が少し情けないっす。

情けないリザルトは以下の通り。

Moto-GP Rd.11 PORTUGAL/Estoril
1位:ヴァレンティーノ・ロッシ HONDA
2位:カルロス・チェカ YAMAHA
3位:宇川 徹 HONDA


2002年09月12日(木) コーヒーカップ

だんだん、喜劇的に忙しくなってきたうちの班。
そりゃあ開発費用に億近くの金がかかってんだもんな。
国際業務部をあげてのプロジェクト、半端無いっす、疲れる。
きょうは必死に日中、脇目もふらず働いて、でも残業。
新宿について20時過ぎ、ちょっとショック。

なぜ新宿かというと、会社の知り合いがこの夏、退職したので、
仲のイイ連中で集まってわいわいやろうや的飲みのため。
マルティン、カマポン、キタッチなどが参加、あと女の子数名。
断っておくが(誰に?)合コンでは決して、ない。

カマポンとキタッチから、プレゼントはドカが買っとって。
言われ迷いに迷ってウェッジウッドのコーヒーカップにする。
それを渡したらことのほか、好評。
「さすが、どか」
「任せて良かったよー」
なんて、普段とは全く違ういい人モードな、ごろつき三人。
少しお酒を飲んで、かるく食べ物をつまんで、楽しく笑って気分転換。

にしても、まだ・・・
足が時々ひきつるように痛い、うう。
しかも寝不足。
ねむひ。


2002年09月10日(火) 契機

今日、村上春樹の長編新作である
「海辺のカフカ」上下巻を購入。

「王国」でコンディションは整った。
そしてこの村上春樹を、どかの契機とする。

これは決定。


2002年09月09日(月) @SILKS

最近、携帯の着メロを ROBERT MILESの "CHILDREN"にした。
ら、それが鳴るたびに、スゥッとトリップ体験してしまう。
最初はそれが面白かったのだけれど、今日、帰り道、
トリップが激しくて困惑してしまった。
つまりトリップとは6年前にとぶこと。
ほかにも、次の曲達は危険な曲としてあげられる。

THE CORRS "RUNAWAY"
OASIS "DON'T LOOK BACK IN ANGER"/"CHAMPAGNE SUPERNOVA"
THE BEAUTIFUL SOUTH "DON'T MARRY HER"

要するにどかが留学していたとき、イギリスで流行っていた曲だ。
当時、YORKにはSILKSというクラブがあって、
ドカは友人とよくそこに飲みに行った。
そのとき"CHILDREN"は必ず一晩に一回はかかったチューンで、
これが鳴るとフロアは一気に陶酔の度合いを高めていた。
刹那的でか細くて、もの悲しく俯きながら流れる四つ打ちナンバー。
あの薄暗いSILKSのフロアーにスゥッと落ちていきそうな錯覚。

センチメント?

違うな。
あの狂騒と静寂の日々を対象化できるだけの距離を、
ようやく時間の助けを借りて獲得できたんだ、きっと。
このトリップを自分のコントロールできる範囲でマネージできる。
時折ぐらつくことがあったとしても、もう、大丈夫。

大丈夫?

大丈夫。

にしても、あのころのOASISは格好良かった。
"CHAMPAGNE SUPERNOVA"なんて、本当に大好きだったな。
どうしてあの輝きが失せてしまったのだろう?
SILKSのフロアーでそのイントロが流れるとみんな足を止めて、
腕を高く突き上げてカラオケしたナンバー。
"DON'T LOOK BACK IN ANGER"。
歌詞なんて暗記してたから隣のむさい兄ちゃんとカラオケしたな。
あー、遠い過去だ。


2002年09月08日(日) THE HIGH-LOWS "TOO LATE TO DIE"

吉祥寺にお買い物に出かける。
出かけて、腰痛いなあと右太股付け根に違和感。
を、感じつつ、そうそうそ、とタワレコに向かって購入。
ハイロウズのニューシングル、久々だー、やったー。

1曲目「TOO LATE TO DIE」作詞作曲:甲本ヒロト

あーいつものヒロトだー。
平和な住人しか住ませないヒロト国の、アナーキズム宣言。
なんだかすぐにでも、ライブでこれを演ってる五人が想像つく。
最近、ブルーハーツ再評価の兆しが著しく、
トリビュートアルバムが発売になったりしてる。
でも、だからといって「今」のハイロウズへの注目が高まっているか。
といえば、そんなことわないわけで。
別冊宝島の「ブルーハーツと<日本のパンク>」という企画誌を読んだが、
ハイロウズへの言及はあまりに少なく、
既にそのヒロトやマーシーの才能の盛りは過ぎたのだと言わんばかり。
たぶんそういう浅薄な評論家は「TOO LATE TO DIE」の歌詞を見て、

 ほーら、見なさい、
 もうヒロトは意味のあるメッセージを持たないんだよ、ダメダメ・・・

などとのたまうに違いない、でもそれは間違ってる。

つまりこうだ。
ブルーハーツが「後押し牽引する」バンドだったとして、
ハイロウズは「疾走する」バンドなのだ。
ヒロトは「疾走する」ボーカリストであり、
マーシーは「疾走する」ギタリストなのだ。
その「疾走」の仕方といったら、
切れ味鋭いダッシュというイメージからはほど遠い、
小学生が缶蹴りで鬼に見つかって、
「わー!」と叫びながら不格好にころびまろびつ缶に殺到するあの格好。
それがハイロウズだ。

  降りるはずの 駅はうしろ
  泊まるべき 港をはなれてく
  Too Late To Die
  (THE HIGH-LOWS "TOO LATE TO DIE"より)

もう後戻りできない、他人なんてかまってられない。
前に走るしかない、後悔してる暇なんて無い。
この歌詞はちょっとトーンが落ちるとそのまま「後悔」の歌になりそう。
でもバンドの演奏とヒロトの声とがそこへは曲を落とさない。

みんな勝手なんだと思う。
自分の手を引っ張って連れてってくれなかったり、
疲れた自分の背中を後押ししてくれなかったりしたら逆ギレして、
もうハイロウズはダメだ、っておまえがダメだよ。
結局は自分なんだから、自分が走らなくちゃ何だから、
ヒロトはその疾走する姿を僕らに見せてくれるんだから、
それ以上に彼らに寄っかかって甘えるのは違うだろ!
と言いたい、そんな重圧がブルーハーツを解散に追い込んだことに、
どうしてみんな気づかないんだろう?

2曲目「曇天」作詞作曲:真島昌利

はっきり言って、A面よりこっちのが傑作、
というかこれは歴代マーシー作品のなかでもかなり屈指の傑作だ。
歌詞は相変わらずのナンセンス、
ナンセンスなんだけど、一流の哀感がほのかに香り、
けれどもそこに立ち止まることを拒否するかのごとく疾走する。
マーシーっぽいガレージロックだけど、
サビに入ったときのシフトチェンジはカタルシスを感じさせる。

ヒロト、ガンバレ。
マーシー、凄いぞ。
ライブ、絶対行くぜっ。


2002年09月07日(土) 雑貨と中華

惣一郎氏と近くの雑貨屋さんにぶらっと行く。
不思議なのは、良い感じの雑貨屋さんをぶらっとしてると、
自然にストレスが抜けていくこと、あれ、なんでだろ?
細かいベクトルが四方八方に散らばっていて、その中を、
ふわふわ泳いでたらなんでもありよねーなんて気になるからかな、
良くわかんない、でもあの、のびたりちぢんだりする時間は、
好き。

その後、ネコバス氏と夕食。
家の近くの四川料理の店に、チャーハンを食べに行く。
ここのチャーハンと中華、ごっつい美味しい、
少し値がはるけど。
でも、今週はおしごと、頑張ったし、いいよね、エビチャー。

しやわせー。

どかは自分で、かなりチャーハンにはうるさい自信があるけど、
ここのチャーハンはホント美味しい。
東小金井駅前の王龍記の味が最近少し、
落ちたので今はここが一番かな、自分の中では。
担々麺も、すばらしいし。

うん、三鷹はいい町だ。


2002年09月06日(金) シアターΧ芸術創造塾 「宴、死、そして日常」

芸能研でご一緒してる耕ちゃん出演の舞台。
仕事終わって大急ぎで両国のシアターΧに駆けつける、
惣一郎に迎えに来てもらいギリギリ間に合う。
親方、エディンが既に臨戦態勢。

舞踏の公演は初めてで、楽しみにしていた、怖さ半分で。
イメージでは、

「はいっ、でわ地面から生えてきましょう、そお、そのイメージです、
 じゃあ次わ地面にしみ込んでいきましょう・・・
 だめ、あなた、それじゃ、ただのたうち回ってるだけじゃないの」

なんだかそんなので、つまり客観を排除し、主観をごり押しする、
訳じゃないかも知れないけれど、感情や感覚という無形のものを、
抽象的に行動所作におとしていくなかで統一された「物差し」がないため、
きわめて見通しの悪い、言い換えれば他者を拒絶する壁をもった「芸術」。
暗黒舞踏の印象はそんな感じだった、告白すれば。

そしてその壁は、実際舞台が始まって数秒後、確実なものとして、
感じられることとなった、きっかけは、当の耕ちゃんの登場だ。
いかにも舞踏然とした出で立ちで上半身裸で巻きスカートのような衣装、
ズリズリ前傾姿勢で彼が客席入り口から出てきた瞬間、
それまでののほほんとした客席の雰囲気は一変した。
おお、と固唾をのんで、そのテンションに浸ってしまう。
確かにそこに壁は存在したと思う。
市民100人いたら80人まではちょっと眉をひそめるような、
そんなどかの先入観の舞踏イメージを裏付けるような、
そんな「内輪盛り上がり」的印象はぬぐえない感じ。

でも、耕ちゃんの身体が練り込まれて、躍動すればするほど、
どかはいつの間にか壁の内側に取り込まれていた気がする、あっけなく。
それは耕ちゃんがやはり顔なじみの友人だからか、それとも、
暗黒舞踏のポテンシャルなのか、
どかの観賞歴は足らなさすぎて判断はできない。
けれど、今夜の体験は壁の内側の「内輪の盛り上がり」に、
参加した気になれた、一応。

・・・全てを肯定する気にはなれない。
「舞踏」の弱点は、その表現形態があまりに抽象的なことではあくまでなく、
皆に共有される統一した「物差し」を持たないことに違いない。
それは「型」と置き換えてしまうとあまりにも安易すぎるけれど。
抽象的であっても「能」であればそこに確かな「物差し」が存在する。
小劇場系演劇に確かな「物差し」は無いけれど、
例えばオリザは誰が観ても直接的に分かる具体的な表現を追求する。
「神楽」は・・・ちょっと別だとどかは考えてるからここではふれない。
そういう意味で「舞踏」は弱みを抱えていると思う。
その弱みが、爆発的に市民に浸透していかない壁、そのものだ、きっと。

それをふまえても、どかは今夜、楽しめたと思う。
それは身体、訓練された身体だ。
"discipline"という単語を連想させる、その身体の鍛え方。
それは常人にはすぐにはできない、動き方だ。
どかには「物差し」が見えないからその"discipline"が、
どこへ向かっていくのかは分からないし、見当すらつかない。
でも、出発点からどれだけ遠くにたどり着いているかは分かる。
それは少しでも身体を使っているヒトなら、誰でも分かる。
耕ちゃんがどれだけ歩き続けてきたのかは、その苦労は分かる。
例えば靴のくたびれ方で旅人のキャリアが分かるように?

だからどかはこの舞台に共感したし、その一点においてどかは、
今夜の体験を肯定できると思う。
ま、おしごとでじゃっかんくたびれてて、少し居眠りしちゃったことは、
正直に申し上げまするですが。

いやー、でも耕ちゃんがあんなに重要なポジションで出てくるとは。
もう、ホントに、飛び道具だったなあ、彼は。
テンションも一瞬切れそうかなと見てて思ったけれど、大丈夫だった。
ホッとして、拍手できた。


2002年09月05日(木) 「批評」について

何かしら一つの表現に対して、
まとまった文章を物することを批評と呼ぶとすれば、
このつたない日記で細々と続けている一連のシリーズは、
「批評」の一つということになるのかも知れない。
しかしそのつたなさ加減といったら、もう、
ほんとに恥ずかしいので「批評」と呼ばれるのは丁重に辞退したい。

そもそも「自分にとってのリアリティ」を論じても、
それが「普遍的な価値」に繋がるとはやはり思えないし。
今は、というかこの場では少なくとも「自分だけのリアリティ」を、
どこまで掘り下げていくことが出来るかにこだわってみたい。

でも「批評」を書くヒトとして目標は一応、いる。
例えば劇評。
自分の中では長谷部浩さんの文章はずば抜けて説得力があると思う。
演劇界というのはジャーナリズムがまだ形成されていないから、
雑誌などに乗る記事もほとんどが提灯持ちなレベルを出ない。
でも、時々みるこのヒトの文章は、ちゃあんと、
説得力があるんだ。
ほんとにたいした物だと思う、先駆者は皆無な世界なのに。

それに比べてスポーツ界はスポーツジャーナリズムというものが、
前世紀末から急速にまとまりだして、
それはサッカー熱が一番大きな役目を果たしているのだけれど、
カリスマライターと呼ばれる一部の作家まで現れ、
ブームの震源地となった文藝春秋の雑誌「NUMBER」などに
その作品が掲載され続けた。
つまり二宮清純とか金子達仁などのライターの名前が、
スポーツフリークの外にまで普及していったのだ
(金子さんの「いつかどこかで」を文庫で読んだ、
 まあまあ楽しかった)。
でもスポーツ評論というフィールドでダントツどかが信奉しているのは、
もう、絶対、故・佐瀬稔さんだ。
佐瀬さんのフィールドはボクシングと登山家。
そういった命のやりとりをする現場について書くときの彼の筆致は、
圧倒的かつ論理的かつ情熱的だ。

佐瀬さんは辰吉丈一郎という稀代のボクサーが、
その昔、同じ日本人の薬師寺に名古屋で負けた試合について、
世間の盛り上がりに対して「凡試合」と切り捨てた。
辰吉は「その盛りを過ぎた」とまで書いた。
普通の読者がそこだけ読んだらなんと傲慢なんだろうというかも知れない。
しかし佐瀬さんがそういうときの、辰吉に向けられる愛着は、
まさに限りなくあついものがある。

世評の盛り上がりや当の本人達とのつきあいの中でも、
才能や神髄を見極める目をくもらせないで維持すること。
熱狂的信仰と冷酷的批判のどちらにも荷担せず、
それを止揚してひとつ高いレベルの、
ひとつ深いレベルの視点を獲得すること。
誰よりも辰吉の才能を認め、
日本ボクシング界が生んだ二人目の真の天才と評し
(ちなみに一人目は高橋ナオト)、
辰吉の強さの秘密を精神論ではなく、
技術的にぎりぎりまで肉迫した観察者だからこそ、
辰吉に対して厳しい言葉を向けてもそれはすっきりおさまっていく。
というかそれをおさめきってしまうほどの「克己」が、
佐瀬さんからは感じられる。

そうなのだ、長谷部さんも佐瀬さんも、とても自らが強いのだ。
それはだれかへの攻撃的な言辞をとるのではなく、
あくまで目の前の苛烈を極める表象を、
真の意味で自らの内面に呼び込んで持ちこたえる、
その強さがあって真の批評は完成するのだろう。
長谷部さんや佐瀬さんみたいな文章を目指すのもおこがましいけど、
とりあえずは自分の足下をしっかり確認していければなと思う。
結局は表現者じゃないくせに評論家づらして偉そうに話す・・・
と思われる「ライター」には単純に「克己」が欠けているのだ。


2002年09月04日(水) そうして一瞬は

芸能研の稽古に顔を出せた。
なんだかこの秋は「練習室」の確保が難しくて今のところ、
そんなに練習回数が無い、辛い。
ドカといえば、この夏は、
民舞入部以降最も踊りへのモチベーションが下がった季節で、
それを何とか乗り越えられそうな最近だから一回一回大切に感じる、
なおさら。

一つ一つの足拍子、流れていくのが惜しい。
一つ一つの捨てバチ、流れていくのが惜しい。
だんだん時間が針のように研ぎ澄まされていく。
そうして一瞬は、無限だ。
最近「魔の山」をよく思い出す。
告白するとハンス・カストルプに、訳も分からないくらい、
感情移入してしまって困った思い出がある。
その移入度に迫るのはゴルトムント様くらいだ、全く違うけど
(@「知と愛」)。

・・・まあ、そんなわけであんまし周りに目を向けられんくて、
他のOBOGの負担が増えてしまったかも知れない。
ちゃんとまた、お礼しよう、うん。

練習のあと、親方、山男氏、くまさんと食事。
調子に乗って飲み過ぎたかも、だってビール、
美味しいんだもんさ、ねえ。
たくさん笑えたので良かったし、ま、いいか。

帰ってきてエッセンシャルオイルを焚く。
カモミールローマンとリンデンとネロリのブレンド。
あっという間に眠くなる。

おやすみー。


2002年09月03日(火) Rd.10 CESKE REP./Brno

オーソリセンターのミミちゃんから借りたビデオで観戦。
加藤大治郎 with"RC211V"。
ついに日本が生んだ天才がコースに降臨した!
でも、なにぶん、初めて乗るマシン。
いきなり排気量が500ccから990ccになったのだから慣れるまでは大目に・・・
いや、彼の才能を持ってすればすぐにでも・・・

そんな期待を持ってみてたら予選が終わった後、ヘタレ宇川が、

  まーぶっちゃけもう厳しいと思うんですけど、ロッシに着いていって・・・

という発言が解説の岡田忠之と坂田和人という
二人の元GPライダーから手厳しく批判された。
曰く「まだ七戦も残ってるのに諦めるような発言は聞きたくない」と、全くだ。
ほんっとに魅力にかけるワークスライダーだと思う、彼わ。
しかしポールポジションのビアッジに予選二番手の大治郎という並びは、
限りなくエキサイティング!

そしてラップタイム上位の四台が、予想通りトップグループを形成。
そのまま後半戦まで、コースレコードペースでなだれ込み、ヘタレ宇川は徐々に脱落。
半年先んじて4ストマシンに乗った宇川が大ちゃんに歯が立たない映像は、まさに胸がすく。
これはいままで全国のGPファンがどれだけ望んだ映像だろう!
ビアッジ・ロッシ・加藤の三人が世界最速の一群としてブルノサーキットをラップする。
余裕があると思われたロッシもしきりに後ろの大ちゃんを気にする。
確かに、RC211Vを初めて乗る加藤にちぎられたら怪物の異名が汚される。
ビアッジは必死に逃げてロッシもそれについていき、大ちゃんも離されない!

・・・あぁ!!!

16週目、ロッシのリアタイヤが剥離する、ロッシ、スローダウン!
これまで9戦中8勝、残り1戦も2位という神懸かり的な戦績を残してきたロッシが・・・
ピットに戻ってタイヤを換えて再びコースに戻るも、諦めてリタイア。
なんと、ロッシがノーポイントレースだ。
ビアッジはさすがに凄みがある。
イタリア三羽がらすの一角、世界チャンピオンも何度も経験したベテラン。
ブルノはコース幅が広く、単純なコーナーでストレートを繋ぐあんまし面白くないコース。
でもビアッジは過去このコースで六勝。
ビアッジのライディングの特徴はとにかくスムースなライン取り。
ドッグファイトにはひ弱さを見せるけれど、独走となったときはいいラップを重ねていく。
ああ、やっと、YAMAHAが勝ったあ・・・
大ちゃんは二位、充分すぎるほど充分な結果だぉ。
ビアッジのウィニングコメントでも加藤への脅威が語られていた。
やはり同じ舞台で戦うライダーには、真の力関係と才能が自然に知れるのだ。
とにかく、まず、一勝。
一勝が観てみたい、大ちゃん、ファイト!

Moto-GP Rd.10 Ceske Republiky/Brno
1位:マックス・ビアッジ YAMAHA
2位:加藤大治郎 HONDA
3位:宇川 徹 HONDA


2002年09月02日(月) MAC OS X 10.2

通称"JAGUAR"、という。
久方ぶりのOS Xのメジャーアップデート。
インストールする。
想像以上に時間がかかった、1時間10分くらい。
データが消えたら怖いので、
実行前に.MacのiDiskにバックアップを取ってから。

お、イー感じ。
改善すべき点はこんなにたくさんあったんかーという感じ。
特に"MAIL"の美しさ使い勝手が向上した気がする。
また"FINDER"も見やすい見やすい。

動作は以前よりも若干軽快な感じ。
これがPOWER BOOK G4やったらもっと、
新技術の恩恵にあずかれたんだろうなあ、でも充分だい。

・・・長野の知事選が終わったらしい。
なんか、マスコミの取り上げ方が画一的で気持ち悪い。
いつもうつむきかげんで上目遣いをして、
そぅっとこっちをのぞき伺う印象の、
ボソボソ喋りの二期目長野県知事は、
なんだかいやらしい印象でどかは苦手だ。
手腕もまるで子供みたいだし、
かといって狡猾なマスコミ操作の手腕も見せて、
話すことも抽象的でイメージ先行の言辞は某国首脳とかぶるし。
なんでも新しいほうがいいというわけでは無いのだろうけれど。

でも、マッキントッシュはかわいいから大好き。


2002年09月01日(日) 品評会

コーヒー屋さんに行って豆を引いてもらい、
コインランドリーで洗濯機を回しておいて、
銭湯でぐでー。
として昨日の疲れを無かったことにしようと試みる。
気分良くて寝そうになる、湯船で。

そのあと、まさよん、まいまい、どらと夕食。

そこでこの日記についての話題が出る。
むー・・・
指摘を受けたのは、
1:内容が普通になってきたぞ、こら。
2:あまりにも客観性が欠けて主観が走ってるんじゃあ。
ということだった。
うーん、だからこれは日記なんですぅと思う。
日々のだらけたドカやだめなドカやいじけたドカをさらけ出すのも、
日記やんか、ちゃうのん?
と反論したかったり。
また、レビューがあまりにどかの世界に
引き寄せられすぎという感想は、本当にその通りだと思う。
芝居やライブや本や美術展が、
どかにとってどういう意味を持ったのか、
それだけが関心。

と弁解すると、
「そんなん読むヒトをあまりに突き放しすぎやんか」
という指摘が。
・・・ごもっともです。
「ほしたら掲示板つけえや」
という指摘が。
・・・うーん、それはなあ、どうやろう。

個人ページに作られた掲示板ってあんまし意義がよくわかんない。
だってメールがあるやん?

「じゃあ一日一日の日記にメールの返信リンク、張ってください」
・・・かなり面倒っす、それわ。

・・・掲示板、どうしようかなあ。


どか |mailhomepage

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