−夏ってこんなに涼しかったっけ?−
朝とも昼とも言えない時間に生卵をかき混ぜながら、意味もなく考えていた。
−今日の夢は片手で卵を割った夢だったな− だから、食事に生卵を使った訳じゃない。もう腐りかけで昨日炊いたご飯も残っていたから・・・というだけの話だ。出来ればフレンチトーストを食べたかった。朝からご飯というのは、いかにも典型的な日本人にたいでどうも・・・。っと思っていたら口の中で「ガリッ」という音がした。
−夢の中じゃ上手く割れたのに−
蝉の声が聞こえない夏・・・物足りない気もする。今年はドコの海水浴場も客付きが悪く、海の家の経営者はブラウン管の向こうで今年は・・・と嘆いている。ビールメーカーも同じだろう。発泡酒が値上げしてこの夏は勝負だったのに・・・と嘆いてるはずだ。僕はクーラー代が浮いて少し喜んでいる。それでも毎晩ビールは欠かせないけど・・・。
夏がもうすぐ終わりそうな頃、急に暑くなった。まるで赤道付近に旅行でも来たみたいだ。まあ、これで少しは海の家の経営者も胸をなで下ろしているだろう。ビールメーカーも何とかって所かな。僕は今月の電気代の請求に脅えている。
蝉の鳴き声が聞こえている。夏らしいと一言もなかった今までが嘘のように、毎日キャスターが夏らしいを連発している。季節を一つ越えるために一つの言葉が繰り返され、次の季節になると違う言葉が使われる。その繰り返し。
結局今年の夏も暑かった。 卵を上手く割れずに終わった夏だった。
たくさん笑った。 二人とも笑顔になった。 誰よりも至福の時間に。
ずっと左手の薬指を見ながらにやけている君を見ていた。 突然のプレゼント。 微妙な年齢を重ねていく。 それでも、永遠を誓った。
優しさって何だろう?って。 そばにいることだったり、一緒にいることだったり。 ただ・・・信じている。 二人のことを。 永遠を。
贈った言葉「Happy Birthday」 誰よりも近くで。 輝きは消えないよ。 色褪せることの無い永遠をただ、ただ、願って。 終わりの無い永遠をただ、ただ、誓って。
僕たちは笑顔だった。 とても似合っている。
「あと何度一緒に見ることができるかな?」 夏の夜空に浮かぶ色とりどりの花達を眺めながら女は言った。 「君が来ようと思えば何度でも」 ビールを一口飲み、一息入れて男は言った。
場所取りに失敗してあまり良く見えない花火のコトを思ったのか、朝から早くから場所をとったにも関わらずお世辞にも良い場所とは言えない男への嫌味なのか女は
「こんな綺麗な花火見たの初めてだわ」 と言った。男は、それは明らかに自分への嫌味だと分かってはいたが、その挑発とも取れる言葉に動揺せずに、 「僕もだよ」 と笑みを浮かべ言った。
「ねえ、去年は誰かと見に来たの?」 と女は何気なく聞いた。男は、 「ああ、来たよ。誰かとね。」 と答えた。女はきっと違う女と来たのだろうと思ったが、それには触れなかった。何故なら女は去年、誰とも花火など見なかった。丁度、その時期に彼氏と別れたばかりでそんな気分になれなかった。女友達の誘いも、男友達の誘いもことごとく断っていた。淋しい夏だった。それなのに男が去年楽しい思いをして、自分と違う女と、この花火を見ていたと思うとたまらなく嫌だった。ましてや、男の口からそういった事実を聞かされると非常に居心地の悪いものとなるので触れるのは止めておいた。
と、思っていた所、男が 「丁度、去年の花火を見た後に、君と出会ったんだ。」 と言った。女は、 「えっ?」 と聞き返したが、男は機嫌良さそうにビールを飲みながら花火を見ている。
思えば去年、一人の男と知り合った。 休日出勤の帰り道、たまたま立ち入ったバーのカウンターで一人の男がえらく酔っていたのを女が面倒見たのだった。その夜は何もなかったが、後日連絡してきた事で二人の関係は現在まで続いているのだった。今、考えればおかしな話だ。あんなに友の誘いなどを拒絶していたのにあの夜は自分から介抱していたのだから・・・。
「あの夜に?」 女は聞いた。 「うん」と言う男の言葉と同時に花火の打ち上がった”ドン”という大きな音が重なって女には聞こえなかった。女は微笑んだ。 「今日のお帰りはお一人で?」 「そうなら、またあのバーで酔いつぶれるさ。」 「今度は誰がお目当て?」 「そうだな、君より優しい女性がいーかな。」 「いる訳ないでしょ!」 「だよね」
女は男が飲もうとしていたビールを横取りして、 「しょうがないから朝まで付き合ってやるか!」 と言った。 「どうせならずっと隣にいてくれよ!」 男は笑って言った。 「しょうがないから居てやるよ!」 女も笑った。
そして、 「今日の花火は本当に綺麗!」 女は言うと、男は、 「本当に綺麗だ」 と新しいビールを開けるのだった。
ヤケに暑い日だった。今年一番の暑さだったらしい。 何杯でもビールが飲めそうな夜だけど、今夜は酔えそうにないな、と男は心の中で呟いた。 女は来年もまた、来てやるかと、心の中で呟いた。
「10年ぶりに帰ってきたんですよ!」 嘘だった。実の所、去年もこの街に帰ってきた。ただ、会話のきっかけとしてこんな嘘を付いてみた。地元の人と話してみたいという気持ちもあった。 「変わったじゃろ、この辺も。」 予想通りの反応。おじさんは汗を額に浮かべながら鉄板の上にキャベツを山盛り載せた。鉄板の上で食べるお好み焼きは久しぶりだった。 「10年前っていったらまだガキでしたから何も分からないですよ。この辺も変わったんでしょうけど・・・。」 下らない嘘をまた一つ。おじさんは小麦粉をたらしてヘラで裏返した。 「パルコとか建ったけんね。一個道路潰したんよ!そのためにね。」 「そうなんですか!」 それは知らなかった。パルコじゃなくてそのために道路を潰したことを。大して大きくはないパルコだなと通った時に思った。新館があるためにとりあえず二つあるが、渋谷に比べれば本当に大したコトのない広さで、実際入ってみたが、結局僕は本屋にしか入らなかった。これで全部買い物を済ませてしまう広島の若者の気が知れなかった。 「今、ドコに住んどるの?」 「東京です」 「東京なんて10年いってないのぉ。おじさんも転々としてきたんじゃけど名古屋とか大阪だったけん、東京にはあまり縁がなかったんよ。」 久しぶりに聞くコテコテの広島弁を聞くと帰ってきたことを実感する。きっと、もうこの街は僕の住む場所じゃないなと感じた。あまりに向こうの生活に慣れすぎてしまった。珠に帰って来るからいい場所何じゃないかな?とできあがったお好み焼きを食べながら思った。僕にとっての基盤はここで、それを成長させたのは東京で。だから、ここは思い出の場所だけど、僕を成長させてはくれない。きっとそうなんだ。 「また、東京に帰るん?」 「ええ、明日の飛行機で」 「元気にしんさいね!」 「ありがとうございます。そして、ごちそうさま!」
東京はようやく昨日梅雨明けが発表された。 ここはもうすでに真夏日。歩いているだけで汗が湧き出る。 ビールでも飲んどけばよかったかな、なんて思ったりした。
また、ココに来るときはドコか変わっているのかな? 東京にはない過去の自分の姿がココにはある。 それはいつまでも変わらない幼い自分の姿だった。
どうも、申し訳ありません。 何だか梅雨明けもシナイでダラダラ続く雨が嫌で書いてませんでした。(言い訳)
もう梅雨も明けたし、ネタも仕込んできたからどうにかして書いていきます。(希望)
このページを楽しみにしてくれている皆様にはご迷惑お掛けしたかと思っておりますが、どうか見捨てずにnot readyの連ねる言葉達を読んで楽しんで頂ければなと思う次第です。(とりあえず誤っとけ)
表現者として色んな感情なり場面をココで連ねて行ければと。 一つの思いや想いを大事に扱って行きたいです。
雨が上がった日のあの清々しさ、 目に映ったモノが全て新鮮に見えたんだ。 間違ってないさ、 間違ってないさ、 いつも太陽はそう言ってくれていたんだ。
神様はnot readyというけど、 僕は歩き出す。 虹の橋を渡りに。 あの景色を見たいから。
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