さて、問題です。 「何故、二人は別れたのでしょうか?」 答え、 「愛し合っているから」 こんな風に幕を閉じてしまう恋もある。 ただ右手を離してしまっただけのこと。
変わらないものなんて何一つ無くて・・・。 僕は相も変わらずこんなことばかり。
何かの縁があって一緒にいるのであれば、 何かの傷を負って離れることもある。
常に「サヨナラ」を用意していく必要があるのかもしれない。 一つ前へと歩き出すための手段。 一つまた一つ傷を負って生きていく手段。
時がたってまた思い出したとき「サヨナラ」達が報われることを願って。
投げ出せるのならとっくの昔にやっているだろう。 身を投げ出すことは何時だってできることだけど・・・。 持っていけるモンがひとつだったら何を持っていこうか? 昨日見た夢がいいかな? 僕がどこか置き忘れた明日への鍵いーのかも・・。
誰か殺してくれ。 殺人の罪は問いません。 その代わり僕が気付かないようにこっそりヤッテクダサイ。
持っていけるモンがひとつでもあればいいのだけど・・・。 今の内にそれを探しておこうか。
「まもなく電車が発車いたします。」 とアナウンス。 当駅始発の電車の中で15分くらい並んで座っていた。 僕は見送りのため 「じゃあね」と言った。 精一杯の強がりで、手を振ることしかできない君はうつむきながら 「マタネ」と言った。 発車の合図のサイレンが響き渡る。 僕はホーム側に座る君の背中をじっと見つめていた。 震えていた・・・。 強がって別れ際に涙するまいと堪えていたのだろう。 けれどもどうしようもなくなってしまったのだろう。 肩が震えていた。 周囲の目を気にすることなく泣き出した。 それぞれの想いを乗せて電車は出発してしまった。 手を差し伸べることができなかった僕はどうしようもない気持ちになった。 悲しくなった。情けなくなった。 かぶっていたニット帽をできるだけ深くかぶって階段を駆け上がった。 なんともいえない感情はどういう言葉にしよう。 きっと涙で十分だ。
電車のトビラが夜の暗さと交わり、それが鏡代わりとなって僕を映した。 赤い目をした冴えない男が立っていた。
過去という変わらない時間の流れに涙したりする。 多分それは後悔という名の涙で、止まらなかったりする。 時間が全てを洗い流してくれるというのは嘘だ。 人にはいくつもの傷を抱えて生きていくのが常だから。 きっとそれはいつまで経っても消えてなんかくれなくて ちょっとした時に涙が勝手に出てきて止めどないモノになってしうんだ。 時間は忘れるためのものではなくて傷をより深いものにしてしまう 罪なモンだ。 罪なモンだ。
部屋に一円玉が一枚落ちていていることにしてこの話を始めよう。 僕は見て見ぬ振りをする。落ちている一円玉をシカトする。 翌日、コンビニで買い物をした際に手持ちの金額より、買い物の合計金額の方が一円上回った。 結局、一品減らして買わざるを得なかった。 が、アルバイトの店員を殺していたかもしれない。 たかが一円不足していると言うだけの理由で。 これは、恐い。 一円>人の命となってしまうのだから。 その瞬間人間の命は一円の価値すら持たない生物として見なされるのだから。 もし、部屋に落ちていた一円玉を拾っておきさえすればじぶんは殺人者にならずにすんだのに・・・。 時として人の命よりも重くなってしまう一円玉。 僕はその一円玉をオークションに出品する事にした。 買い手は当然いなかった。なぜなら『貴方の人生と引き替えに』という条件だったからだ。 実のところ、こんな一円玉が世の中にはたくさんあるのかもしれない。 99円の品を買い100円を出す。 一円のお釣りを備え付けの募金箱に入れる。 遠い、恵まれない子供たちのことを思って。 翌日、101円の品を買おうと思ったのだが、100円しかなかった。 誰のせいなのか?恵まれない子供のせい? 結局店員を殺した。 罪は一円玉に向けられた。 しかし、その一円玉は恵まれない子供を救える一円玉でもあった。
夏が過ぎようとしている。 風が優しく吹く様になる。 寂しい気分になってしまう。 名残惜しいとは将に。
こんなもんで。 こんなとこで。 また今年も過ぎようとしてます。
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