「3日休みになったよ!」
今日、職場からメールした。
棚卸を頑張る甲斐があったよ。
その代わり、3日休みなんだから!
なんて思ってたら。
夕方彼からのメール。
「3日は仕事になっちゃって・・・。4日は休みなんだけど、4日は?」
今更4日に変えてくださいなんていえるわけないじゃん・・・。
てか、無理だよ。
「無理だわ・・・4日は仕事だもん、諦めるわ」
凄い、ブルーになってメール。
仕方ないよね、うん・・・。
でも、諦めきれなかったりする。
「4日出勤変わっていただけませんか?」
みんなにメール。
無理かな・・・無理だよね・・・。
夜、バイト君から電話が来た。
「変わりますよ、いいっすよ」
「ほんとに???いいの??いいの???ほんとに????」
「はい(笑)そんなに気合入れないで聞かないでも、変わりますよ」
「助かったぁ・・・。ありがとー」
「いえいえ。Hさんですか?」
「う、うん・・・。ごめん、こんな理由で」
「いいですよ、楽しんでください(笑)」
「じゃ、あたし3日に出たらいいかな?」
「いや、いいっすよー」
2連休。
嬉しい!
即、あいつに電話。
「マジで?平気なの?よかったー・・・」
「うん、だからどうする?いつ行けばいい?」
「なら、3日の夜からおいでよ」
5日は昼からの出勤だから、5日の朝帰ればいい。
たくさん時間がある。
凄く、すっごく嬉しい。
天気も確認した。
明日からずっと晴れるみたい。
なにする?
なにしたい?
どこ行く?
どこ行きたい?
あたしは、質問攻め。
あいつは笑って。
「りりかが好きな所でいいよー」
って、言う。
あたしは。
「あ、お土産も買ったの、ご挨拶の。忘れないようにしなきゃ」
「ドキドキしてきたー。何か、鳥肌たってきたもん」
「どうしよ、今夜寝れるかなぁ。明日仕事なんだけどなぁ」
一人でどんどん話してる。
あいつは、やっぱり笑いながら。
「俺も凄く嬉しいよ。あと三日だね。あっという間だよ、きっと」
って、あたしをあやすみたいに言う。
「あ、俺りりかを連れて行きたいところあるんだよ」
「どこ?」
「内緒」
「何よ、どこよー?」
「4日にね。朝から出発ね」
内緒って、場所は教えてくれなかった。
けど、どこでもいい。
会えるんだもん。
無理だと思ってただけに。
凄く嬉しくなって。
諦めていた気持ちが。
どんどん膨らんで。
会えなくなって、気持ちがしぼむ事が多かったから。
逆に。
嬉しいって気持ちでいっぱいになったりするんだなぁって。
当たり前の事を実感したり。
今は、幸せな気持ち。
いろいろと昨日からいい事たくさんあって。
凄く幸せな気持ちでいる。
お昼のメールで。
「30日残業はなさそう。だから平気かもしれない。ただ、次の日朝が早いのは決定しているから、りりかの楽しみにしてた場所に連れて行くのは、無理だけど」
前に行った、あいつの地元の夜景が見えるビル。
そこに行きたいなぁって、あたしは言ってた。
あいつが「次来た時も連れて行くから」って言ってくれてた。
けど、今回はご挨拶しに行くんだし、それは別に仕方ないよ、って思ってそう返しておいた。
・・・でも。
夕方、店長から電話。
「30日、会議になっちゃったんだよ。だから棚卸お願い」
月末だから、棚卸と言う業務があるんだけど。
店長がいるからあたしは定時で帰れる予定だった・・・のに。
だから、30日は行く事になっていたのに。
棚卸なんかしてたら、終わるの何時になるか・・・。
「あの!あたしも予定とか一応入っていたりするんですけど・・・急すぎません??」
「だって、俺が聞いたのも急だったんだよ。・・・分かった、3日か4日休んでいいって言うので手を打たない?」
3日か4日、丸々休めるのは・・・おいしいかも・・・。
あいつもどっちかだめ?って聞いてたよね・・・。
それに、ここでいくらごねても、もう無理だしね・・・決定だしね・・・。
夜の電話の時、その事を報告した。
30日は無理になっちゃったけど、3日か4日なら!って。
「ずいぶん急だったんだね。その会議」
「なのー。ホント、嫌になるよー。ま、丸々一日休めるわけだし」
「うん、わかった・・・けど」
「けど何?」
「りりか、逃げるな」
「は?」
意味が全く分からなかった。
何、逃げるなって。
「昨日、話してても思ったけど、りりかは不安なこととかから逃げたいって思うから、どうしたらいいのか分からない、とか言う言葉で片付けるじゃん」
「そう?」
「そうなんだよ。だから、結婚にしても挨拶にしても。なんにしても、逃げるなって事」
「逃げてないよ!30日は行く気だったよ!!!ただ、仕事になっただけだよ!!何、信じてないの??」
「信じてるよ、仕事だって事は仕方ないって思うけど。何か、逃げたがってる気がしたから、昨日。いろいろな不安とかから、逃げようって思ってるんじゃないかって」
「・・・。それは、結婚とかそう言うことから?」
「かな」
逃げたがっている?
あたし、逃げたがっているのかな?
そんな事もないと思うけど・・・。
確かに、どうなるか分からないって事は考える。
それに対しての不安は、充分ある。
けど。
だからと言って、あいつと別れて不安も解消!とか考えないし。
「逃げないよ」
「うん、それならいいんだけど。ちゃんと、進んで行こうよ」
「うん。分かってるよ」
あいつから、逃げるつもりなんか、全然ない。
確かに。
考えすぎて、ぐるぐる回るーーー!!!って思う事はある。
あるけど。
ちゃんと、答えは出てるよ。
あたしは、いずれ一緒になるんだろうって思う。
それは、結婚って言う意味で。
「りりか、3年以内くらいで、考えてね」
電話を切る時に言われた。
3年以内って・・・。
そんなの分からないよ!
3年になるか5年になるか、または早まって1年になるか。
今は全く分からない!!!
って思ったけど。
やっぱり。
逃げているのかもしれない。
分からないって言葉。
今まで。
あたしって、あいつに対してずいぶん言ってきた気がする。
あたしがあいつだったら。
「分からない、分からないって、逃げてばっかりじゃん!」
って、思うんだろうな。
2003年04月27日(日) |
こんな場所でこんな会話。 |
朝8時に起こされた。
あたしは、3時過ぎに寝たから、眠くて眠くて・・・。
しかも、コンタクトを外さないまま寝てしまって・・・。
目が開かない・・・。
「起きようよ、今日はどこ行く?」
あいつは嬉しそうに言う。
あたしはボーっとしたまま、布団の上に座ってて。
そんなあたしを無理矢理立たせて、お風呂場に連れて行く。
「シャワー浴びてきたら、目も覚めるからー」
「うーん・・・分かった・・・」
体が重いような、なんていうか。
だるくて仕方ない。
シャワーを浴びて、出る。
あいつは、あたしが寝ている間に、近所のコンビニで朝ごはんを買って来てたらしい。
テレビを見ながら、一緒に朝ご飯。
と言っても、あたしはゼリーを食べてるだけ。
「どこ行く?」
あいつが聞いてきて「どこでもいい」とかあたしが答えて。
昼近くまでテレビ見たりして、とりあえずあいつの車に乗る。
あいつの車のCDから、「世界にひとつだけの花」が流れてきて。
「これ歌詞いいよね」
って、あたしが言ったら。
「なら、カラオケ行こうか?」って、あいつ。
こんなにお天気のいい日に、カラオケー?何てあたしは突っ込んだけど。
何してても、この人といると楽しい。
なんだか、そんな風に改めて思う。
二人でカラオケなんて始めてかも・・・。
3時間も歌って、最終的に歌う歌がなくなって、モーニング娘のメドレーとか2人で交代で歌ったりする始末。
けど、楽しい。
あたしのドライヤーを買いに電気屋に行って。
マッサージチェアに二人して腰掛ける。
「すっごい幸せー」
なんて、言いながら、座ってる2人。
「こう言うの、絶対に欲しいよー。いつか買ってー」
って、あたしが言ったら。
「結婚したら、新居に置こうか」
って、あいつが言う。
なんとなく。
今出す話題じゃないな、と思いつつ。
「Hといるの、本当に楽しくて、時間もあっという間に過ぎちゃう。けどね。一緒にずっといたいって気持ちと、結婚したいって気持ちは、あたしの中では別なの」
「別って?結婚したくないけど、一緒にはいたいって意味?」
「んー・・・。したくないって言うのとは、ちょっと違うけど・・・。なんだろ。一緒にいたい。けど結婚となると考えちゃうって言うか」
「何をどんな風に?」
「あたしはHといたいけど、本当にHでいいのかな、Hは、あたしでいいのかな、あたしたちはうまく行くのかな、とかかな」
あいつはしばらく黙ってた。
あたしは、その沈黙がなんか、嫌で。
「何か、ごめん。やめよう、こう言う話」
それでも、しばらく黙っているあいつ。
「りりか、本当に俺でいいのかな?って迷うの?俺はりりかじゃなきゃ嫌だって思うけど?」
「やっぱね、こういう話するところじゃないよ、電気屋だし(笑)」
あたしは笑ってごまかそうとした。
電気屋のマッサージチェアに座って、結婚について真剣に語る二人・・・なんておかしい・・・。
けど。
「ちゃんと、そこは答えてもらいたいよ。ね?」
って、突っ込まれ。
「Hと一緒にいたい、ずっと一緒にいたいと思うのはHだけ。でも、結婚一度失敗しているあたしは、分からない事だらけになる。実際、前の旦那さんとだって最初はうまく行くって思ってたんだもん。出来ちゃった結婚だったけど、当時はこの人しかいないと思ってたよ。でも・・・ね、なんだろ、うまく行かなかった」
怖くて、顔が見れなかったよ。
怒り出すかな、とか思って。
けど、怒ったりしなかった。
「そっか。りりかは臆病になってるのかな。結婚に対して、怖くなっているのかも。俺はした事ないから、理想とかばかりだろうけど、りりかは現実を見てるからね」
そーっと横向いて、あいつの顔を見ようと思ったら。
あいつもこっち見てて目が合って。
にこって、笑顔を返された。
すごく、優しい感じだった。
「どうするかは、りりか決めていいよ。ていうか、最終的には、りりかは俺と結婚してくれるって信じてるし」
先に立ち上がったあいつが、あたしの手を引っ張る。
そのまま、あたしたちは手を繋いだまま、店内を見て回った。
もう、そう言う話は出なかった。
ブラブラドライブして、あたしの家についた。
あいつは明日も早くから仕事。
だから、もう帰って、明日の支度しなきゃならないからって。
またね、って、おでこにキスをされて。
今回も帰り際、ちょっとだけ寂しくなったけど。
「来てくれてありがと」
って、あたしは言った。
帰宅後来たメールで。
30日は、微妙になってきたと、書いてあった。
あいつが仕事何時に終わるか分からないし、次の日、朝早い予定らしい。
3日か4日はだめ?と書いてあった。
今からシフト変更は・・・どうかなぁって送ったけど・・・。
仕事が終わる30分前の夜10時半。
彼が到着。
メールで「りりかに会いに行く準備中♪」とか来てたから、今回は驚かなかった。
彼は店で夕飯を食べて。
私は仕事も終わって。
「どこ行く?」
って聞いたら。
「久しぶりにボーリングでも行こうか!」
ちょうど上がったバイト数人も交えて、店の近くのボーリング場へ。
付き合ってから、ボーリングに行った事ってなかったなぁ。
付き合う前はよくみんなで行った。
そうだ、一昨年の12月の観覧車も。
ボーリングから始まったんだったね。
すごくはしゃいでた。
なんだか、凄く楽しくて。
どうでもいい事が楽しくて。
私は、笑ってばかりいた。
彼も、ずっと笑ってばかりいた気がする。
1時ちょっと前に帰宅。
彼は朝4時半に起きて仕事して、こっちへ来てくれたから、眠いってずっと言ってて。
シャワーも浴びないで、テレビ見ながら寝ちゃって。
明日の予定も立ててないのにーって、私は思う。
明日は何しようかなぁ。
どこへ行こうかなぁ。
あ、明日の行く場所でもパソコンで見つけるかなー。
そんな事思いながら、パソコンを起動させた。
その後、いろいろあって。
日記をやめようかなぁって思った。
公開して、ランキングに参加もしているから、目立つのかなぁと思ったり。
確かに、余り普通じゃない事ばかり経験している気もするけど。
そんなに注目されるほど、凄い事書いているわけでもないし。
もちろん、私の日記が面白いとも思えない。
私は純粋に、彼が大好きで、彼と一緒に過ごした事、して来たこと、これからする事、いろいろな気持ちを、書きとめておきたかった。
そして、私はある人の日記を見つけて。
(離婚前の)私と同じような環境。
だんなさんに不満があって、お子さんもいて。
年下の彼がいる方の日記。
「私もそう思う!」って共感して、励まされたり、泣いたり。
でも、その方は彼と別れてしまった。
一度もメールする事も出来ず、今は全く更新されていないけど、ネット上には残っていて。
私は、たまに読み返しては、やっぱり同じ所で励まされ、泣いて。
今、彼女はどうしているのかな、と思ったり。
私と同じような事を思っている人が、私の日記を読んで、何か感じてくれるかもしれない。
そんな風に思って、ここ、エンピツ来ました。
自意識過剰なんですけどね。
日記をもう1年半近く続けて、たくさんの方に見ていただくようになって、メールもたくさん頂いて、今では、友達と呼べる関係になった方たちもいて。
昨日、今日と、たくさんメールを頂いて。
その中に「不倫日記なんて、叩かれてナンボですよ!だいたい、叩かれるの承知で不倫日記なんか始めたんじゃないの?」って書かれていて。
そうだな。
って、妙に納得したりして。
日記を始めるきっかけになった、彼女の日記を私が大好きなのは。
私が彼女と似た境遇だったから。
きっと、私と反対の方が見たりしたら、腹が立つ日記、の何ものでもないし。
または、何の興味も湧かないかもしれないし。
なんだか、よく分からない内容になってしまったけど。
日記は続けて行こうって思います。
彼と結婚するのか、しないのか、「りりかお別れ」で、になるのか。
まだまだ分からないことだらけですけど。
全部、最後まで(どこが最後になるのか、よく分からないんですけど)書いて行くつもりです。
心配してくださった方、本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
今朝、あいつは珍しく遅い出勤で。
あたしは朝早い出勤で。
いつもはお互いにばたばたしてて、朝は「おはよう」のメールするのが精一杯なんだけど。
今日は早起きして、店にもゆっくり目について、メールを何回か往復させる事が出来た。
その時に。
ふと勤務表を見たら、明日はあたしは、12時から深夜の2時までのはずが、17時から23時までに変更になってた。
聞いてない・・・けど嬉しい。
しかも、今日は14時までの勤務。
あいつにメールで報告。
嬉しいよぉって気持ちで。
「なら、今夜俺たぶん早く終わるから、会えるかな。来てくれる?」
最近お疲れモードのあいつだったし、あたしも会いたかったし。
「うん!残業じゃないかどうか、17時までにメール頂戴。メールが来なかったらあたし出発するからねー」
何か、嬉しくて仕事もいつも以上に頑張って。
今日、あいつの家の方に行くのなら、今日、お母さんにも挨拶しようって考えて。
ドキドキしつつも、会える事で嬉しくて。
16時。
「すいません・・・残業になりそうです・・・」
なんてメールが・・・。
「あたし、18時まで待つよ。18時までになっても何時に帰れるか分からないようだったら、今日は中止にするから。またメールちょうだい」
そして、部屋の片付けとかしてたら、うとうとしちゃって。
メールが来た。
あいつから。
「やっぱり早く帰れそう。今から出ておいでよ」
あたしは嬉しくて、用意して出かけなきゃ!って。
はっと気付いたら夢だった。
あたしは、本当にメールが来てたのかも。と、携帯を開く。
でも、メールは無し。
そして、またうとうとしてしまう。
夢は続いてて。
「高速気を付けて来るんだよー」
ってメールが来る。
あたしは車に乗って、あいつの家へ向かう。
凄く嬉しい気持ちでいっぱいになってる。
そのとき、夢の中であいつの着信音がなった。
目を開けると、本当に鳴ってて。
慌てて出る。
「今から帰宅するところ」
「今・・・18時ちょいすぎだね。なら、あたし今から出ようかな」
「今日は中止。明日早いからさー」
「え・・・。そうなんだ・・・、分かった・・・」
「じゃ、今運転中だから、後でまた」
切ってからしばらく、ボーっとしてた。
夢の中の嬉しい気持ちが、今の電話で一気に現実に引き戻されてしぼんじゃったなぁって。
悲しくなった。
会わないことに、慣れた自分がいたはずなのに。
しばらくボーっとしてから、あいつにメールを打つ。
「夢でね・・・。会いに行く夢だったの。それ見てるときに、中止の電話が来たからね・・・。何か、凹んじゃったと言うか」
ここまで打ってたら、あいつからメールが来た。
「実はね!明日は一人で現場を見に行ける事になったんだよー!(午後からおやじも合流するんだけど)今まで一人で回ったりなんてなかったの。だから、凄く嬉しい!やる気が出てきちゃってるんだー。明日はそれで早起きして、行っちゃうぞ!とか思ってる!まぁ、午前中だけひとり立ちって事で(笑)」
あいつがね。
今まで何度も何度も。
「早くひとり立ちしたい」(自分で現場とか回ることらしい)
って言ってたの、あたしは聞いてた。
ひとり立ちしたら、ほぼ認められたようなものだからって。
嬉しいんだろうなって、メールからも充分伝わってきた。
なのに。
あたしは。
さっきのメールの続きで、一番下に。
「一人で出勤できるんだ。よかったねー、頑張って」
いつもみたいに絵文字もないメールを、凄い淡々と打って送ってしまい。
「ごめん・・・会えるって思ってたのに、だめにしちゃって、ごめんね」
っていう、あいつのメールを見たとき。
さっきより、もっともっと凹んだ。
「あたしも、ごめんなさい・・・。明日、頑張ってね!応援してます!」
何やってるんだ、あたしは。
って、ホント思った。
子供じゃないんだから・・・。
夜、電話が来て。
「明日、頑張ってきたら、よしよししてね」
っていきなり言われる。
「明日よしよししてね?」
「うん、明日してね」
「明日って何?」
「明後日ね、明日次第なんだけど、休めそうなの。だから、そしたら明日会いに行くから。よしよししてねーって事(笑)いつものお返しって事でいいよー」
「はぁ。期待しないで待ってるよ」
「期待しない?何それ?」
「会えるんだーって喜ばないって事!」
急に沈黙になり。
「何、その言い方」
って冷たく言われ。
「あのさ。俺、すっげーりりかに喜んで貰えると思ってたわけ。一人で行けるんだよって事。それがさ、さっきのあの無関心ぽいメール。明日も、頑張ってたくさん働けば日曜休んでいいよって言われてたの。それをさ、期待しないだの、喜ばないだの」
「・・・。うん。ごめん・・・」
「何か・・・頑張ろうって気が失せちゃうよ。俺、頑張る意味が分からなくなる。ね?」
「うん・・・でも、寂しかったから。今日会えなくなった事は」
「それは、悪かったって、本当に思ってる。だから、明日頑張って終わらせて、会いに行こうって思ってるんじゃん。素直に喜んでくれればいいのに」
頑張ろうって思ってる人間に。
「期待しません」
なんて事は、言っていけないのは、当たり前。
自分がね、寂しかった事を重視しすぎちゃってて。
あいつが嬉しいって思ってることとか。
飛んで行っちゃって。
飛んで行っちゃって、だめだね。あたしは。
「明日、仕事帰りにそのままドライブ行けるように、あたし可愛い服で行くね」
「ドライブなら、車から降りないんだし、何でもよくない?(笑)」
「そか・・・そうだけど。・・・あ、コンビニとか!」
「(笑)コンビニね」
「うん。・・・だから、待ってるから」
「そうだよ、そう言う風に言えばいいんだよー」
明日、もし来れなくても。
あたしは、笑顔で「仕方ないよー」って言おう。
「それより、半日一人で仕事回ったのはどうだった?」
って、聞いたりしよう。
いつまでも、自分が自分が、ってわがままじゃ、だめだよね。
・・・。
って、成長しないなぁ、あたしは。
「ねぇ、俺たちが初エッチしてからそろそろ1年経つんじゃない?」
いきなり電話でこんな事言われて。
「知らない、分からない」
って言ったら。
「だってりりか、日記書いてるじゃん。あれ見たら分かるんじゃないの?」
ああ、そうだ。
そう思って自分の過去日記を読み返してみる。
5月3日。
ホント、そろそろ1年だね。
「何、3日会えるの?」
「努力するー」
「うん、期待しないで待つわ」
「期待しないとか言わないの。てか、会ったらエッチしてOKなんだー♪」
「さぁ?(笑)」
あんなにドキドキしてたあたしはどこへ行ったんだろう?
って思うくらいに、今はかなり平気。
もちろん、恥ずかしいし、やっぱり少しはドキドキするけど。
あの頃と違うのは。
あの頃は、あたしはそういうことするのが嫌だった。
何か、嫌だった。
でも、今は?って聞かれる。
今はね、嫌じゃないよ。
恥ずかしいって気持ちはあるけど、嫌じゃない。
あたしは、そう言う行為自体、好きじゃなくて。
子供作るためにするものでしょ?愛を確認するためって違うでしょ?みたいに思ってた。
何か、汚い感じがしてた。
一方的に男の性欲を処理するために、使われているって言うのも、納得出来なかったし。
あいつはそう言う感じじゃ無かった。
「大丈夫?」「痛くない?」
とか、何度も何度も聞いてくれる。
あいつがイク寸前でも「痛いからやめて」って言えば、あいつは「ごめん!」ってやめてくれる。そんなやつ。
だから、安心してあいつとはできたりする。
あたしが我慢する事なんか、ない。
女は、痛くても苦しくても、男がイクまでは我慢しなきゃいけないもんだと思ってた。
そんな風に話してたら。
「何か、今幸せな気分。俺とは嫌じゃないって言うのは、俺がりりかを愛してるって言う前提があるからね」
「そーなの?(笑)」
「そーだよ。俺は、ちょっとした事でも楽しいし嬉しいんだもん。それって気持ちがなきゃそうならなくない?」
「かなぁ?」
「うん。だから、俺がした事でりりかが喜んでくれる、笑ってくれる、そんな事で幸せになれるんだよ。りりかが俺とだから感じてくれてる、とかね」
「うーん・・・(だいぶ照れてる)」
「だから、りりかがいつも俺とだけは、って特別枠で思ってくれるように、日々頑張るよ!(笑)」
あいつの気持ちは。
いつだってあたしに合わせてくれてる。
あんな頼りなさげなのに。
凄く頑張ってくれてる。
凄く、嬉しい。
「今日もそろそろ一日が終わります。また会える日まで一日近づきました。 明日になったらあと5日。おやすみ」
今、これ書いているときに来たメール。
全力で、あたしを想ってくれる。
そこが違うのかな。
今朝、彼からのメール。
「おはよー。今日も一日頑張りましょう!」
すぐに返信。
「おはよー。仕事頑張って忙しくしていれば、あっという間に30日になってあえるね!」
昼、彼からのメール。
「仕事中でも、最近りりかに全然会えないなぁって考えちゃう。なんだか精神的に来てます・・・」
午後、休憩時に返信。
「お疲れ様。そうだね、今月は前半に一気に会っちゃったから、後半は半月開くとか、10日開くとかだもんね。来月はいっぱい会えるといいねー。もしいっぱい会えなくても、会った時に密度を高くしたらいいんじゃない?」
夕方、彼からのメール。
「密度を高くするのも大事だけど、それ以前に会えないのはもっと寂しい。俺は辛いよ」
すぐに返信。
「でもさ、日曜に会ったばかりじゃ・・・。何かあったの?聞くよ?」
あたしがお風呂入って出てきてから電話するってメールしておいて。
約束どおり電話した。
なんだか。
仕事でかなり疲れている感じだった。
この間までは現場勤務。
今週から経理の仕事をしているみたい。
あれこれ短期間に、仕事が変わるのは、新入社員も研修中はいろいろさせられるから、同じ。
あいつは、将来は経営者としてやって行く。
だから、全般的に出来なきゃだめなんだって、お父さんに言われたらしくて。
座って事務仕事、なんてあいつには向いていないらしくて。
かなり、疲れてた。まだ二日目なんだけど。
「経理をある程度覚えたら、次は営業だって・・・」
「そっか、大変だね。頑張ってー」
「頑張るよ、頑張るけど・・・。ね・・・」
声も弱弱しくて。
可哀想になる。
あたしが疲れがたまってたり、婦人科外来に行った日は、必ずイライラする。
そういう時、あいつはいつも優しく話を聞いてくれる。
あたしが落ち着くのを待っていてくれる。
今日は、あたしはあなたが落ち着くまで、話を聞くよ。
そんな気持ちで。
あたしは、相槌をうつだけ。
あいつだって、普通に。
お疲れで、凹む日があるんだなぁって。
なんとなく、知った。
今までは、自分が甘えてばかりで。
あいつが、こうやって甘えてくる隙を与えなかったのかもしれない。
頑張って。
あなたが頑張ったら。
あたしも頑張れるから。
今日だけは、言ってみる。
自分から。
「H。愛してるよ」
今朝は、休みにしては、早起きした。
9時くらいなんだけど・・・。
って言うのも、外で選挙の演説が始まって、うるさくて・・・。
「雨降ってるよー」
シャワーを浴びてきたあいつが言った。
「あたし達が会う時に雨なんて、珍しいね!」
あたしも窓を開けて外を見る。
ちょっと寒い。
最近ずっと暖かかったのに。
顔を洗って髪をとかしてたら、あいつが慌てて「バカバカ、待って待って。俺にやらせて!」とかいいながら飛んできて、髪をとかしてくれる。
「何で慌ててるのよ(笑)」
「俺の仕事じゃん」
「何でよー(笑)」
「何か気持ちいいんだよね、りりかの髪って」
いつも、触ってる。
運転してても何でも。
健康的な髪だね、とは言われるけど、触ってて気持ちいいなんて言われた事は無いなぁ。
あいつの買い物に付き合う。
ホームセンターであいつの部屋に敷く井草敷き(って言うの?)を買うのと、あいつの仕事にもって行くお弁当箱を買いに。
そのあと、妹の店に昼ごはんを食べに行く事に。
あたしが運転してたんだけど、妹の働いている店は今月から都内になったから、首都高速を使ったほうが早いらしくて。
あたしは首都高速運転したのは過去1度きり。
カーブとか多くて、ドキドキしっぱなし・・・。
あいつが隣で「はい、来てないから合流して」とか「あの車が行ってから車線変更して」とか言ってくれなきゃ、たぶん・・・たぶん事故ってたんじゃないかと・・・。
「りりか、もう首都高は禁止ね」
と、降りた後淡々と言われる。
「死ぬから。あんな運転じゃ。だから乗る前に変わろうか?って言ったのに」
乗る前に「変わるよ」って言われたんだけど、なんとなく「平気だよ!」なんて強気に出てしまって・・・。
駐車場に車を停めて、歩いているときにあたしの手を握ってあいつが。
「何でこんなに冷たいの!??」と驚く。
「首都高で緊張しちゃって・・・」
「ばっかだなぁー(笑)」
そのまんま、さりげなく自分のポケットに手を入れてくれる。
妹に久しぶりに会ったあいつ。
何か、楽しそうに話してた。
「また、メールするよー」
なんて言って。
食事した後、買い物したり、ぶらぶらしたり。
雨も本降りになってきたし、雨で夜で高速で帰らなきゃなんて、まだあの新しい車じゃ慣れてないだろうからって暗くなる前に帰る事に。
帰りは下道でゆっくり帰る事にした。
あいつが運転するって言ったんだけど。
うちからあいつの家まで運転もあるんだし、ゆっくりさせてあげたかったし。
あたしが運転する事にした。
下道で帰ったら、行きは1時間弱でついたのに2時間かかって。
「ドライブみたいで、楽しかったよ」ってあいつは笑った。
別れ際。
挨拶はあたしが早く上がれる事と、Hも給料日だって言う事で、30日にしよ。
ただ、Hが早く帰ってこれたら、が条件なんだけど。
って言った。
「うん、分かったよ」って、あいつも言ってた。
買っちゃったお菓子は、親御さんとお姉さんに渡してね、って持たせた。
あたしは甘い物はあんまり好きじゃないから、あたしが全部食べられないしね・・・。
夜電話が来た。
「りりか。ありがとうね」
「何が?」
「運転してくれたり、今日も一日楽しかったし。あとね、30日に来るってりりかから言ってくれて。凄く嬉しかったよ」
「うん、だって早くあたしを見て欲しいよ。やっぱり。気に入られるかどうかは分からないけどね。頑張ってみる」
「うん、ありがとう」
あたしも。
ありがとう、いっぱい言う場面あったのに。
なかなか言わなかったね。
髪をとかしてくれたこと。
高速でアドバイスしてくれたこと。
冷たい手を温めてくれたこと。
会いに来てくれたことも。
「あたしも、今日一日ありがとう」
「いえいえ。どういたしまして(笑)何もしてないよ、俺」
「いっぱい、してくれたよ。気付いてないだけでー」
次は30日。
また10日間近く会えないけど。
今日は充電したし、頑張るね。
今日は、出勤前に駅前のおいしいって評判のケーキ屋さんで、明日あいつの家に持参する焼き菓子の詰め合わせを購入。
賞味期限が二週間あるらしいから、ひとまず安心。
あいつのおばあさんは、歯が悪いらしいから、やわらかめのお菓子も買って。
あと、妊娠中のお姉さんにも買って。
もう、開き直りに近いかな。
ドキドキしっぱなしだったけど、後一日しかないって言う事が、いい加減諦めようって思えたりして。
仕事している最中に、あいつからメールが来た。
「休憩になったら電話して」
なんだろ?
と思って、休憩に入って電話。
「明日なんだけど・・・」
「どうした?」
「母親の実家に急用ができちゃって、両親とも今夜から母親の実家に行くんだよ」
「うん」
「だから、明日は夜何時に帰れるか分からないから、りりかに謝ってって」
「え!?」
「ごめんねー、ホント」
「い、いいよ、いいよ。そっか、しょうがないよ、お母さんの実家の急用って?」
「なんかね、母親のお兄さん、俺にとって叔父さんなんだけど・・・・・・・なんだって。それでさ、今からいくよ♪りりかの仕事が終わるまでにはつくようにするから。半月ぶりだから、早く会いたくてー(笑)明日まで、りりかが来るまで何か待てないもん」
「う、うん・・・分かった。気を付けて来るんだよー?あの車(新しい車)でこっちまで来るの初めてなんだからー」
凄い、脱力感。
もう腹をくくったと思っていたし。
開き直っていたと思っていたのに。
やっぱり気を張り詰めていたんだなぁ。
胃が、きりきり痛み出した。
緊張が一気にほぐれたせいなのかな?
電話しながら、お腹を押さえてたんだけど。
段々我慢できなくなって来た。
「胃・・・胃が痛い・・・。どうしちゃったんだろ・・・」
「えぇ?大丈夫??うちに挨拶に来るって言う心配事はもうなくなったんだから、痛かったのが治るとかなら分かるのに!?頑張って、二時間くらいでつくから!」
「うん・・・。わかった・・・」
でも。
電話を切って、胃薬を貰って飲んで。
しばらくしたら、痛みは引いて来た。
なんだったんだろう・・・。
ものすごい痛み方だった。
あたしは昔、虫垂炎をやってるんだけど。
あのときも、今みたいに最初は胃の痛みから始まったなぁ・・・。
けど、盲腸は切ってるし・・・。
あいつは、あたしが上がる1時間前に到着。
けど、とりあえず友達の所に寄りたいからって、あたしが上がる位に、あたしの家の前に行ってるってメールが来た。
あたしは、その頃は胃の痛みはなくなって、仕事して、上がって、家に向かう。
あたしが歩いていると、あいつが遠くから走ってくるのが見えた。
すっごい満面の笑みで。
「りりかー」
とか言いながら、走ってくる。
あたしは苦笑いして。
でも、何だか嬉しくて。
抱きついてこようとしたあいつを、一度かわしてみたりして。
「逃げるなよ(笑)」
って、あいつは笑って抱きしめてきた。
「すっげー、会いたかったよー。最近電話でもなんかテンション低い会話ばっかりだったり、なんだか、不安だったー。会いたかったー」
「会いたかった」
を、何度も何度も、連発するあいつ。
あたしは、笑ってるだけ。
頷いたりしないし。
「あたしも」なんて、可愛い事なんか絶対に言わないし。
けど。
いつもみたいに、あいつの背中あたりの服をぎゅっと掴んでみる。
あいつが、あたしの髪をなでる。
あたしは、何だかホッとする。
ここが、あたしの場所なのかな、って、やっぱり思う。
彼には、何も言ってない。
いろいろな事。
14日の話を隠した事から、こう言う話(16日の話)も全て言ってない。
イライラしてたのか。
凹んでいたのか。
分からないけど。
昨日の夜の電話の時。
「声が暗いよ」
って言われた。
「気にしないで。なんともないから」
ってあたしが言って。
そのあと、彼の友達の話しになって。
去年結婚した友達なんだけど、同居で。
姑より小姑と奥さんがうまくいってないらしくて。
そう言う話を聞いてた。
「うちは大丈夫。姉ちゃんは結婚しちゃってるし、母親に何か言われても俺が守るよー」
なんだろうね。
カチンと来た。
自分の事ながら、カチンと来るタイミングも、よく分からないんだけど。
「いつあたしが同居するなんて言った?」
「へ?いずれは、って事だよ。最初から同居するなんて言ってないじゃん」
「同居も何も、そこまで行けばいいね」
「そこまでって?」
「そこまでってそこまでだよ」
「なんすか?」
「は?」
「俺と一緒にはなりたくないとか、ならないとか、そう言う話ですか?」
「さぁ?」
「なんなの?なにいらついてるの?どうしたんだよ?」
「別に。眠いだけ。疲れてるだけじゃない?」
「お願いだから、そんないい方しないで。俺たちの目標は、そこ(結婚)じゃん。そこ否定されたら、俺は何のために頑張っているのか分からなくなっから」
たまに。
全てを投げ出したくなる。
面倒になる。
何もかも、どうでもいいやって思いたくなる。
あいつの気持ちも重くなって。
将来の事考えるのもだるくなって。
一人で生活している事も訳が分からなくなって。
何もしたくなくなる。
そう言う気分に、たまになる事がある。
あたしは、まだまだ不安定なんだと思う。
更年期障害かなぁ・・・。
容赦なく時間は迫ってきてる。
あさって、彼の実家へ行きます。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ メールたくさんありがとうございます。
全部読んでいます。
返事も全部に書くつもりでいます。
遅くなると思いますが、待っててください。
あと。
毎日日付通りには行かなくても、更新して行こうと思っていましたが。
仕事が忙しい事や、パソコンに繋げない日もあります。
今後はそう言う日が多くなってきます。
なので、どんどん遅れてくると思うので、日付通り、その日あった事やそのとき思った事を、リアルタイムに残していこうと思っています。
今まではメモ帳に数行だけとかその日あった事を残して、それを思い出しながらの更新でした。
けど、そうすると、やっぱりその日記をアップするときの気持ちも少なからず混じってしまいました。
たとえば、4月6日の日記がいい例なんですけど。
あの日は昼過ぎまで一緒にいて、本当に楽しかった日なんです。
メモ帳にも「楽しかった」って書いてありました。
けど、その翌日、結婚の話とかいろいろ出てきて、私なりに葛藤とか考え出したりして、気がついたらあんな暗い日記になってしまいました。
なので、日付通り、書ける日に、書きたい事を。
そう思う事にしました。
1日くらいのずれはあると思いますが。(20日に彼の実家に行った事を書きたいですけど、多分20日中には更新できそうにはないので)
いろいろと、わがままですけど。
お許しください。
りりか
今日は、日記を書くのをやめるつもりでした。
二日分更新しましたし。
今日の分は明日書こうと思っていました。
でも、今の気持ちを残しておかなきゃ、と思ってまた書いています。
14日、私は子供たちに渡す予定だった手紙を、渡しそびれてしまいました。
それで、昨日ポストに入れました。
今日、届いたみたいで、上の子からついさっき、七時半くらいに電話がありました。
最初は14日の話をいろいろしていて。
ライラが替わりたいと言うので、替わって話していました。
ライラも14日の話をしていました。
「楽しかったね。また行きたいね」
そんな会話を普通にしていました。
ライラが。
「おもちゃもパパに買ってもらえばよかったな」と言いました。
ライラはお土産にお菓子の詰め合わせみたいなものを、パパに買ってもらっていました。
お菓子は全部食べちゃったらしくて、私は笑いながら「お腹痛くならないようにね」なんて言っていました。
そして。
「おもちゃ、ママ買ってあげるって言ったじゃん」
と、私は言いました。
「ライラいらないって言ったんだよ?」
私は「やせ我慢しちゃってー」なんて気持ちで言いました。
ライラが。
「ママにおもちゃ買ってもらったりしたら、またパパが怒ってママをぶったりするから」
と、言ってきました。
去年のあのときの話を、ライラは覚えていたんですね。
当たり前ですね。
私も実は気にはなっていました。
でも、ライラも何も言わなかったし、忘れちゃったのかな、余り記憶にないのかも、何て都合よく解釈していました。
でも、違いました。
ライラの、小さい心の中で。
私があの時殴られたのは。
自分がおもちゃを買わせたせいだと思っていたんですね。
買ったのは、彼ですが、私にも買わせたらだめだと、思ったんですね。
私は、泣いてしまいました。
電話だったので、ライラも分かっていないようでしたが。
「ママ、用事があるから、切るね。また電話して」
と言って切りました。
私は、取り返しのつかない事をしてしまったと。
あんな小さい5歳の子が、私のためにと我慢をして。
自分のせいで殴られたんだと、小さな心を痛めて。
今まで過ごしてきたんだと。
そうさせてしまったのは、紛れもなく私なんだと。
母親の。
私なんだと。
実は、来年ある資格に受かったら。
私にも安定した収入が出来ますし、子供たちを引き取るつもりでした。
まだ、元だんな様には何も言っていませんし、多分いろいろごたごたするのは必至です。
彼には、もちろん話してあります。
彼もそうしたほうがいいと言ってくれています。
そのことも少なからずあって、結婚はまだまだ出来そうもないと思っていたんです。
彼のいる所へ行くには、今通っている資格の学校も辞めなきゃならない。
もし来年受からなかったら、もう一年通って再来年、と受かるまでやるつもりでいます。
彼は、資格は無理に取らないでいいから、子供たちとおいで、って言ってくれています。
でも、そこまで甘えられないし、いきなり5人家族になって、今の彼に養っていけるのかも分からないし、第一私が心苦しいのです。
一日でも早く、子供たちと一緒に暮らしたい気持ちと言うのは、私はこれでも母親だから、あります。
でも、ライラの心の中の傷は。
もしかしたら、私といるとずっとずっと痛いままなのかな。
私といなきゃ、痛みがないのに。
私といると、痛み出すのかな。
そんな風に思ってしまいます。
昨日は、あたしは「クラス会」という事になってた。
だから、シーでトイレに言ったついでとかに、メールを返したりしてて。
あいつはこんな日に限って休みだったもんだから。
普通にメールが来る。
クラス会が朝からのはずないし。
昼間もメールができないのはおかしいって思われると思って。
お昼までは、メールをたまに返してた。
「携帯の充電を忘れて出かけた事にしよう」
あたしは思いついて。
2時くらいから、返すのをやめた。
電源も落とした。
それで、昨日の夜中。
「電池が切れちゃったんだよ。ごめんね」
と返しておいた。
チェックしたら、あいつから3件メールが来てて。
「飲み過ぎないでね」
「ちゃんと終電に乗ること」
「楽しくて返せないかな?とにかく、家についたらメールしてください。明日は俺は早いから寝ちゃってると思うけど」
怒ってはいなさそうな、感じのメールだった。
今日、夜電話が来た。
「昨日は楽しかった?」
「うん、すっごく」
凄く楽しかったのは、本当。
「離婚してから、初めてのクラス会でしょ。何か言われた?」
「ああー・・・別に何も」
「何も言われなかったんだ?日本酒飲んだの?」
「飲んでないよー」
「何飲んだの?」
「えー・・・ビールとか」
なんだか、口数も少ない、あたし。
一個の嘘が、どんどん大きくなっていくのが。
なんだか、嫌で。
嘘をつき続けたくないから、出来るだけ話さないようになってしまう。
「でも、ホント楽しかったー」
楽しかった、を連発してばっかりだった。
自分の気持ちの中で、「楽しかった事」は嘘じゃないから。
「りりかが、楽しかったなら、よかったよ。久しぶりに友達と会うと楽しいよね、昔の話で盛り上がったりしてー」
「うん・・・だね」
胸が痛んだ。
もし、次、昨日みたいに子供たちや元だんな様に会う事があったら。
ちゃんと話そう。
やっぱり、嘘って嫌だよ。
そう思った。
朝。
元だんな様と子供たちが到着。
元だんな様の車は五人乗りだから、みんなで乗ったらぎゅうぎゅうになっちゃうし。
あたしの車で行く事になってて。
久しぶりに、あたしの車を運転する事になった、元だんな様。
運転は上手な人だから、安心なんだけどね。
車からみんな降りてきて。
あたしの車に乗り込んでくる。
「おはよう」
ライラが最初にあたしに声を掛けてくれた。
次に次女が。
「おはよう。早起きしたから眠いよぉ」
少し照れながら言って。
長女は、やっぱりおっとりしてて。
一度車に乗った後、「あ、ライラのバック忘れた」と慌ててまた車に取りに行き。
「ママ、おはよう」
って、笑ってくれた。
「久しぶり」とか「会いたかった」とか、そう言う会話じゃなくて。
普通の会話で始まった。
車の中の二列目と三列目をフラットにして、子供たちとわいわい話す。
上の子たちの学校の事を聞いていれば、ライラが幼稚園の事を話したがって。
あたしは、いっぺんにみんなの話を聞く羽目になったり(笑)。
しりとりしたり、じゃんけんのゲームを教えてもらったり。
ライラもしりとりのルールをよく分かるようになっていて。
なかなか手強かったりして。
あっという間にディズニーシーについた。
あいにくたまに薄日がさす程度で、肌寒い日。
「全部制覇するんだ!」
次女は意気込んで。
「ママ、一緒に乗ろうね!」
「ライラは怖いの乗らない・・・」
「弱虫ー」
「違うもん。背が足りないんだもん!!」
そんな子供同士の会話を、あたしは笑って聞いてた。
たくさん、乗り物に乗って。
ショーみたいのも見て。
ランチも一緒に食べて。
お土産も買って。
あっという間に、夕方。
「まだいたいよ」
って言う子供たちだけど。
元だんな様は。
「明日は学校なんだから、だめだよ。ママを送って行かなきゃいけないんだし」
ってなだめてた。
あたしまで一緒になって「まだいたいよねー」何て言いたくなったけど。
明日の朝、眠くて辛い思いするのは子供たちだし。
「なら、帰りにどこかでご飯食べて、帰ろう。そうしようよ」
って、あたしが言った。
夕飯を食べて、家についたのは、9時半時近かった。
「荷物持って、車に乗って」
元だんな様が言う。
あたしは、急に寂しくなった。
今までだったら、当たり前だけど。
どこかにお出かけして。
その後はみんなで部屋に入って。
みんなで話しながら、寝るんだよね。
別々の車に乗る事が。
寂しくなった。
次女が「ママのお部屋見たい」と言い出して。
長女もライラも「行きたいー」って言い出したから。
あたしは「だめかな?」って聞いてみた。
もうちょっと、伸ばしたかった。
お別れの、時間を。
「ちょっとだけね。パパは車で待ってるから」
「やったー」
あたしは、元だんな様にちょっと会釈して。
子供たちと部屋に入る。
「別に面白くないでしょ?」
「だって見たかったんだもん」
長女と次女は、狭い部屋の中をあちこち見て。
引き出し開けたり、トイレを覗いたりして。
なんだか、きゃーきゃー騒いでた。
ライラは、あたしの膝の上に、座ってきた。
昔から、変わってない。
あたしの胸に、顔を付けて、指しゃぶりをする。
「眠くなっちゃった?」
あたしが聞いたら。
「ママと一緒にいたい」
あたし、何も言えなくて。
黙ってしまった。
「ママとまた手を繋いで寝たい」
うん。
また、一緒に寝よう。
手を繋いで。
ママが、ずっと見てるから。
ライラが寝るまで、見てるから。
言えなかった。
言いたかったけど。
言えなかった。
「ライラ、もう来年一年生だよね。一人で寝られるようにならなきゃね。恥ずかしいもんねー」
「いつもは一人で寝てるもん!」
ちょっとむくれて、あたしの膝から降りた。
あたしの膝は。
ライラが降りたあとも。
ライラの重みが残ってた。
いつか、迎えに行くから。
心の中で、何度も言って見る。
この重みを。
ずっと感じていたい、と願う。
2003年04月13日(日) |
前日。ドキドキ感と罪悪感と |
やっぱりドキドキしちゃって。
ワクワクしちゃって。
明日の事考えちゃうと、長時間勤務なんて、どんとこい!って気持ちになっちゃって。
15時間くらい働いたけど、全然疲れてないし、むしろ嬉しいし。
明日は何しようか。
明日はどんな話をしてくれるのかな。
ちゃんと笑っていられるかな。
明日帰りに渡す手紙とか書こう!
あと、車の中でも退屈しないように、お菓子を持って。
お菓子食べながら、話しながら、いっぱいくっついていよう。
楽しい事、たくさん聞こう。
お友達の話、上の子たちに好きな子ができたかとか、そう言う話。
そう言えば、バレンタインに一番上の子は、好きな子にチョコをあげて、ホワイトデーにお返しを貰ったんだって、手紙に書いてあったっけ。
どんな子なのか、聞きたいな。
考えれば考えるほど、嬉しくなる。
あいつは、明日も休みになったらしい。
夜中に電話で話した。
明日は休みになって、いろいろ役所とか銀行とかに回らなきゃいけないんだと話してた。
「でも、そんなの朝からやっちゃえば昼前には終わるじゃん。りりかのクラス会さえなきゃ、その後会えたんだけどね」
「あー・・・うん。ごめん」
「いやいや、いいよ。明日は飲むんでしょ?ちゃんと今夜はゆっくり寝て、明日は楽しんでおいで」
「・・・うん、だね」
純粋に、あたしがクラス会で、昔の友達に会うと思っている。
胸が痛んだ。
でも、もう引き返せない。
今更「実は」なんて言えるはずもなく。
「飲み過ぎないよ、大丈夫だよ」
って返しておく。
「日本酒は禁止ね。あと、車で行くのもだめだからね」
「はいはい」
「はい、は一回でいいの!」
「はい・・・」
「ちゃんと帰りとかもメールする事。あとはー・・・あ、気を付けてね」
罪悪感が、すごくあった。
隠さなきゃいけないって言う状態にしたのは、あたしなんだけど。
何で、隠さなきゃいけないの?って。
思ったりしてしまう。
あたしが、弱虫だからいけないんだよね。
もしも、言ってしまった事で。
またあいつが勝手に勘ぐって。
やっぱり俺じゃだめなのかな・・・ってなるのが、怖い。
あたしは、あいつに、俺で絶対に平気!って言う安心感を与えてあげられていないらしいから。
凹むあいつを見たくないし。
そんなあいつを見てあたしも凹みたくないし。
「気を付けます。大丈夫だよ、メールもします」
「うん、約束ね。ならそろそろ寝て。今日は疲れているんだし、たくさん寝なきゃ、疲れが残っちゃって、明日楽しめないよ!」
「分かった・・・お休み」
子供たちの事を考えれば、楽しみでワクワクしてドキドキしてなかなか、眠れるはずもなく。
でも、そんなドキドキしているあたしは、あいつに対して嘘をついたうえでのドキドキなんだと思うと。
今度は、罪悪感から、眠れなくなって。
何度も何度も、寝返りを打ったり、枕をひっくり返したりして過ごした。
明日は休みのあいつ。
あたしもいつもより遅めの出勤。
だから、珍しく夜中に電話してた。
その会話の中で。
「浮気」の話しになった。
もしも浮気したら、されたら、みたいな。
あいつは「きれてお別れするに決まってるじゃん」と言って。
あたしは「理由によるかなぁ」とか言って。
理由って言うのは、体だけの浮気なら、いいかな、とか思って。
そう言ったら「バカじゃん。体だけならいいかな、とか言うな」って怒られて。
いきなり。
「パパ(元旦那さん)と会うだけと言うのは、浮気じゃないよ。微妙だけど」
って言われた。
寒くなって、鳥肌が、なぜか立った。
14日の事がばれてるのかと思って。
「だって、やっぱり子供たちとの関係上、仕方ないことだから」
あたしは、ちょっと考えて。
「ん。そうだね」
と、言った。
あたしが元だんな様に会っても、浮気じゃない。
それは、あたしだってそう思ってる。
何かあるわけでも無い。
あたしの目からみて、元だんな様は「子供たちの父親」以上の何ものでもない。
けど、きっときっと、あいつは不安になる。
それは「子供たちの父親」だから。
子供たちにとって、両親はあたしと元だんな様だけで。
一番いいのは、やっぱり両親がいる事なんだろうなぁって。
子供のために、復縁しようってあたしが考えないか。
そういうの、不安になってしまうんだと思う。
あたしを幸せに出来るのは自分しかいないと。
あいつは、自信を持っている。
でも、子供を幸せにできるのは。
あたしと、元だんな様しかいないと。
あいつは思ってしまう。
だから、あたしがいなくなってしまうんじゃないか。
だから、結婚と言う形で繋ぎ止めておきたくなるときもある。
今日の会話で、あいつのそういう気持ちがたくさん出てた。
どうやったら、そう言う不安を拭えるのか。
たまに、分からなくなる。
元だんな様は、あたしとの復縁なんか望んでいないだろうし。
あたしだって、元だんな様とまた一緒に生活するなんて無理だ。
壊したものの大きさが、半端じゃなくて。
あたしたちは、戻るなんて出来るような状態ではなくなってしまったから。
なにより。
あたしは、あいつとは、絶対に別れたくないと思っているから。
そう言う事を。
言葉や態度で伝えたいけど。
なんだか、言葉や態度に表そうとすると。
薄っぺらく感じてしまって。
「あなただけだよ」
なんて言葉も、軽く感じられてしまう。
本当に本当に、あなただけなんだと言う、強くて重い気持ちがあっても。
言葉にすると、軽くなってしまう感じがして。
「Hのことを、本当に大事に、これからも一緒にいたいって思っているからこそ。あたしは、あなたの家族に会いに行くんだよ」
「うん」
「今すぐは無理だけど、結婚を前提にお付き合いしています。ってあたし、言うつもりだよ」
「うん・・・ありがと」
「だから、Hも浮気とかしないで、あたしの事だけちゃんと見てね。一生」
「浮気なんかするはずないじゃん!」
「あたしだって、するはずないじゃん」
気持ちと言葉の比重が合う事って、めったにないよ。
好きで好きで仕方ない時。
会いたくて会いたくて仕方ない時。
いつまでも絶対に一緒にいるんだって思っているとき。
うまく伝えられない。
逆に。
気持ちがなくても「愛してる」って何回も言えちゃう人もいる。
それも、やっぱり気持ちと言葉の比重があってないと思う。
あたしは、言い足りない。
「愛してる」って言葉を何回言っても、気持ちには追い付けない。
あいつの不安も、拭えない。
言葉って、なかなか伝わらない。
どんな言葉にしてみたって、少なく感じてしまう。
もっと、うまく気持ち通り出せる言葉とかあったらな。
そしたら、あたしもあなたも、安心できるのにね。
嫌な夢を見た後って。
なぜか、会いたくて仕方なくなる。
夢なんて、自分で勝手に見てるだけなのに。
どうしても、不安になってしまうときってある。
手を伸ばせば、触れる距離にいて。
不安がっているあたしを、抱きしめてくれる。
「大丈夫だよ」
って、耳元で言ってくれる。
「だから、安心して」
って、頭を撫でながら言ってくれる。
でも、あなたはいないから。
あたしは、やっぱり自分勝手で。
こうやって、こう言うときには。
そばにいない事を、恨む。
「今日は早く上がれたんだよー」
嬉しそうなあいつからの電話。
「うん、お疲れ様」
いつもの日課。
普通に、あいつの話を聞いて。
あたしの今日あった事とか話して。
「寂しくて会いたくて仕方ない」
そんな言葉は、今日も出さない。
あたしは、言えないまま、電話を切る。
言ってしまったら、じゃぁどうしたらいいの?となる。
あいつが無理して来てくれたらいいの?
それとも、あたしが会いに行くの?
または、一緒になっちゃうとか?
いろいろな事を考えて、言えないままになる。
簡単な言葉なのに。
「会いたくて仕方ない」
なんて、簡単に言えるはずなのに。
簡単に言えても、重いね。
重いから、言えないよね。
明日は、楽しい夢を。
夜の電話。
「結婚したらさー」
いつものが、始まった。
って、思った。
連日朝早くからの勤務のあたしは。
疲れてて、イライラしてた。
お酒も、飲んでた。
気が大きくなってたと思う。
「ねぇ。あたし、全く結婚するつもりないんだけど」
かなり、嫌な言い方になった、と思う。
自分でも、分かってた。
「何でそんな言い方するのー(笑)」
最初は、あいつも笑いながら、あたしをなだめようとした。
そう言うのにさえ、イラついた。
「したくないから」
「だから、なんでー」
「一度失敗してると、またしたいなんて思えないから」
「俺となら平気って思えない?」
「思えない。バツニになりたくないんだよ」
少し間があって。
「なにそれ」
って返って来た。
でも、本音。
バツニなんかなりたくない。
本当に、結婚してよかった、と思いたい。
一度結婚に失敗しているくせに、まだまだ、あたしは夢を見る。
楽しい食卓。
思いやりのある会話。
笑顔の毎日。
そんなことばっかりじゃないって、あたしは11年間も結婚生活をしてきたくせに、まだ夢を見る。
そんな生活したい。
次こそは。
「りりか。何で、また離婚するって事を前提に考えてるわけ?俺はりりかを幸せにする自信はあるし。一生一緒にいるつもりだし。同じ墓に入るんじゃないの?」
「うまくやって行けるって、今はまだ思えない。それは、Hだからとかじゃなくて、誰とでもそう。あたしが変わる事が先なのかな」
「りりかは、今のまんまでいいんだよ。何を変わるの?」
「分からないけど。あたしは、上手に結婚生活をやっていける自信がないの」
言ってる事が、分からないな。
って、自分でも思う。
「結婚は、俺はした事ないから分からないけど。でも、いつも一緒にいたいって、思ってくれてるよね?」
「うん」
「なら、いつも一緒にいようよ。それで、喧嘩もすれば、いちゃいちゃするときもあったり。俺はずっと今のまま、りりかを大事にしたい気持ちは変わらないから」
「ホントに?」
あいつは、さっきまで怒った口調だったのに。
笑いながら、言う。
「当たり前じゃん。俺だよ?1年以上一緒にいても、俺はりりかが好きで好きで仕方なくて、考えてニヤニヤしちゃう俺だよ?」
「りりかみたいなわがままで、何でも勘ぐって、ネガティブな子、俺しか、受け止められないでしょ(笑)」
あたしは、ちょっと、吹き出す。
「なにそれ。最低じゃん(笑)」
「・・・焦らないでいいよ。ごめんね、最近そう言う話ばっかりになっちゃって。ゆっくりでいいよ。一緒に、ちょっとずつ進めて行こう。俺、りりかに合わせるから」
ごめんねって、あたしだよね。
待たせて、待たせて、いっぱい待たせて。
まだまだ、再婚する勇気はない。
たくさんの、いろいろしなきゃいけない事も、あるから。
だから、もうちょっと待って欲しい。
そう言う話は、しなきゃいけない事を済ませて。
あたしが、再婚したいって思えるまで。
それまでは、あなたも不安になっちゃうよね。
いろいろと、考えちゃうよね。
でも、あたしだって不安だよ。
いろいろと、あたしだって考えるよ。
待ってて。
最終的には、あたしはあなたの所へ行くから。
何年掛かるか分からないけど。
待ってて欲しいって思うの、やっぱり、わがままだって分かってるけど。
ちょっとした事で、言い合いになってしまう。
夜、バイト君から電話が来て。
土曜日、あたしが仕事が終わるのは夜中なんだけど。
みんなでカラオケに行っているから、終わった後来ませんか?と言うもので。
日曜日、朝から仕事なんだけどーって言ってたら。
「寝ないでいけるでしょ!」
とか、返されて。
とりあえず保留にしておいた。
寝ないで働けるほど、もう体力ないです・・・。
その電話の最中に、あいつが電話して来たらしくて。
あたしはキャッチとか入ってないから、お話中だった。
バイト君とは1時間近く話しちゃってたから。
「ずいぶん長電話だなー。終わったら電話ください」
ってメールが来てた。
「ごめん、今メールみたよ」
「店から?」
「ううん、Tから」
「ああー。なんだって?」
あたしは、土曜日の話をした。
「でも、日曜早いから、たぶん行けないわー」
「うん、行かないでいい」
「・・・うん、行かないだろうけど、何?行かないでいい、って」
「行って欲しくないって言うか」
「何でよー?カラオケだよ?あたし車で行くから飲まないし」
「まぁね」
「何?引っかかる」
「日曜日、俺と会うのは断ってきたのに、カラオケに行くのはアリなんていうのが嫌」
「それは日曜の話であって、今話しているのは土曜のことでしょうよ!」
「だって、次の日が早いって理由は一緒じゃん」
「・・・そうだね」
つい、ため息をついちゃった・・・らしい。
「今ため息ついた。何、俺ってウザイ?」
「ついてないよ」
「ついたよ、そうだね、の後、ふーって言ったよ!」
「呼吸でしょ」
「もういいよ、行けばいいじゃん、カラオケでも何でも」
「行かないと思うっていってるでしょ、最初から。何、機嫌悪いんだよ。どうしたの?」
「別に。そろそろ寝なきゃだ。りりかが長電話してたから、今日はあまり話せなかったけど!」
それか・・・。
機嫌が悪くなるポイントが、分からないよ・・・。
難しいなぁ。
やっぱり、キャッチにした方がいいのかなぁ・・・。
あいつが、最近不機嫌になったり。
不安モードに襲われるようになった。
あたしが、なんだか冷たくなってきている気がする、とか言われた。
このまんま、フェードアウトしちゃうつもり?とか、メールがちょっと返って来ないだけで、思ってしまうと言われた。
そんなつもりは、全くないのに。
いろいろと話がかみ合わない事もあって。
あいつとの意見が食い違ったりして。
そういう、話がずれる原因って、たいてい「結婚話」だと思った。
出来る事なら、喧嘩もしたくないし、不安にもなって欲しくない。
でも、やっぱりお互いの考えも意見も違う事が出てくると。
衝突はしてしまう。
結婚したら。
もしくは、同棲とかしたら。
こういった喧嘩も衝突もなくなるんだろうけど。
今は、やっぱりまだ無理。
あたしは、あなたを愛しているし。
あなただけを想っているんだから。
そんな、「形式」に今はとらわれないでもいいじゃない。
疲れた体で聞く、あいつの「結婚の理想」を。
あたしはどうしても、受け入れてあげる事が出来なかったりする。
余裕が、途切れがち。
土砂降りの夕方。
「今家につきました」
ってメールが来た。
あたしは、これから家に帰ろうと思ってたところ。
「今日は早いね」
って返したら、折り返し電話が来た。
「お疲れ。日曜日、休みだったら行こうと思ってるんだけど、りりかどうなってるんだっけ?」
「あたし、朝から夜まで仕事だわ」
「そっかー・・・仕事終わってから会うって無理?」
「だって、月曜は仕事なんでしょ?数時間しか会えないんじゃない?」
「でも、りりかは月曜休みだったよね?」
「あ・・・ク、クラス会だから休みなんだよ」
「そうだったんだー、初耳」
「だから、朝早いし・・・日曜はやめておこうよ」
「そしたら、次会うのは、りりかが俺んちに来る日だね」
「・・・だね」
月曜、子供たちと会う予定。
学校が開校記念日らしい。
平日じゃなきゃ、混むよね、って話しになって。
あたしは、休みを取ってあった。
あいつは、昔からあたしの仕事を把握してて。
いつ次が休み、とか、分かってる。
たぶん、朝から元だんな様が迎えに来るだろうと思う。
あいつは明け方帰ると思うから、鉢合わせはないとは思う。
けど、なんとなく。
なんとなくだけど、会いたくないわけじゃないけど・・・。
会い辛い。
つい「クラス会」なんて言ってしまったけど。
かなり、苦しい嘘だと、自分でも思うけど。
ついちゃったものは、仕方ないと思った。
子供たちに久しぶりに会う前日に。
あいつと一緒にいるのも、おかしな気がした。
前の、ライラ預かったときのような。
元だんな様の怒りに触れる事をしたくなかった。
別に、怒ったりしないかもしれないんだけど。
半年以上ぶりに、子供たち3人と会えるんだから。
せっかく、ここまで来たのに。
それを、やっぱり壊したくない。
壊すもとになりそうな事を、したくない。
そんな、気持ちだった。
あのとき。
あたしは、あいつを選んで、子供を諦めて。
あいつだけの手を掴んで、信じて行こうと決めたのに。
こんなに簡単に、嘘をついて。
素直に話せば、分かってくれるかもしれない事なのに。
あたしは、言えないまま、こうして、嘘をついてしまう。
あいつはいつだって優しいし。
いつだって、あたしを一番に考えてくれている。
たぶん、あいつはこう言うとき、嘘なんか付かないで。
ちゃんと、あたしに説明してくれるんだと思う。
あたしが納得するまで、話してくれるんだと思う。
そう言う、人。
1年以上前から、ずっとそう言う人。
何も、あいつ自身変わってないのに。
あたしは、たった半年で・・・。
もしかしたら、この数週間でかな。
変わってしまったと、思う。
生活感が出てくると、好きだと言う気持ちが変わるからとか。
相手が変わるから、だとか。
そんな風に考えてたけど。
あたし自身が、一番変わってしまっている。
もしかしたら。
いつだって、何より先に、あたしが変わってしまっているのかもしれない。
最近、あいつがよく言う言葉。
「結婚したらさー・・・」
あたしの再婚禁止期間が終わったから。
それとも、あいつが働き出して、安定した収入があるからか。
分からないけど。
最近多い、この言葉。
あたしの離婚経緯を見てたのに。
そんなに結婚に憧れる?と思ってしまう。
あたしは正直、結婚は当分考えたくない。
「ねぇ。何でそんなに結婚したいの?結婚したとしても、あたしは働くし、今まで通りと変わらないよね?」
「違うよ、やっぱり。だって、りりかが俺の奥さんになるんだよ?」
「意味が分からない。俺の彼女、じゃ不満なの?」
「不満じゃないけど。やっぱり違うよ」
「そうかなぁ」
「あとあとー。働くのはいいとしても。今の職種は嫌だなぁ」
「何でよ?あたし、接客とか割と好きだもん」
「だって、出会いとか多そうじゃん。俺と出会ったのだって、あの店だよ?」
「なに、あたしが浮気するとか、考えてるわけ?」
「だって・・・」
「君だから、好きになっただけでしょ」
「そっかー(笑)」
そっかー、じゃないよ。
独占欲が強くて。
いっつも見張っていたいんだよね、君は。
ていうか。
たぶん、あたしが君を安心させてあげられない行動ばっかりしてるんだよね。
今まで、ずっと。
これからは・・・これからは?
これからって何?
結婚してからって事?
結婚?
結婚ねぇ・・・。
知ってる?
追われると、逃げたくなったりするもんなんだよ。
意地悪く、言ってみた。
「そんな事言うなよー」
って、あいつは笑ってたけど。
結婚って、しなきゃならないの?
最近、重圧に潰されそうです。
結婚って言う、重たいものに。
一緒にたくさん眠った。
朝10時くらいに「りりかー。ねぇ、りりかぁ」って何度も名前を呼ばれて。
ハッとして目が覚めた。
一瞬、遅刻!!!とか思ったりして。
かなり、がばっと起き上がったと思う。
ちょっと放心状態だったら。
あいつが横にいて。
そうだ、今日は朝から仕事じゃないんだ・・・と思い直して。
また、布団をかぶろうとしたら、布団を引っ張られた。
「まだ寝てるー?」
「うーん・・・起きたいの?」
「うん、もう1時間位前から目が覚めてる」
「・・・早起きだね。あたし眠いかも」
「起きようよー。俺、昼過ぎには出なきゃなんだし」
「分かったよ・・・」
自分のペースで起きたりしたいのになぁって思ったけど。
朝からそんな事言って喧嘩になりたくもないし。
シャワー浴びて目を覚ます事にした。
お互いにシャワーを浴びて、あたしがお化粧をしてると、ちょっかいを出される。
「やめてよ!」って言ってるのに、髪の毛をとかそうとしたりする。
何度言ってもやめてくれない・・・。
落ち着きのないやつだなぁって、思う。
支度も終わって、もう11時過ぎてたし、昼ごはんを食べに行く事にした。
「何食べたい?」
って聞いてみる。
「和食がいい」
とか言うあいつ。
で、うどん屋さんに決定。
うどん屋さんに行くまでに、桜並木を通った。
いつも行くところとは違う桜並木なんだけど。
もう散り始めてた。
「なんだか、寂しいね。すぐ散っちゃうから」
って、あたしが言うと。
「だから、騒がれるんだよ。綺麗なんだよ」
って、あいつが言う。
すぐ散っちゃうの、分かっているから。
燃え上がったり、綺麗に思えたり。
今朝。
あいつが起きてって言うから起きたあたし。
前までの関係だったら。
一緒にいるのに寝てるなんて、もったいなくて、早く起きなきゃ、とか思っただろうし。
用意しているあたしに、ちょっかい出してくるあいつに対しても。
もう少し、嬉しく思えただろうし。
なんだか、今までだったら。
「嬉しい。楽しい」
って思えた事とか、言葉とか。
そう言うのが、今は。
かなり、普通になりつつあって。
最近会いすぎだからって言うのもあるんだろうけど。
そもそも、会い過ぎって何?
遠距離になる前は、当たり前に毎日のように会ってたし。
もしも、一緒に暮らす事になったら。
会い過ぎも何もなく。
あたし、一緒にいたくないの?
あいつとずっと一緒にいたいんじゃないの?
離れるときが寂しいって泣いちゃう自分に酔ってたの?
不倫してたから、楽しいように、嬉しいように、思えただけ?
今は楽しくない?
嬉しくも、ない?
そんな事はないのに。
嬉しいし、楽しいし。
けど、慣れ始めている自分もいる。
当たり前に思ってきている、あたしもいる。
昔、思ってたよなぁ。
一緒にいる事が当たり前になってきて。
ドキドキがなくなって。
好きって言う気持ちさえも、空気みたいに、当たり前になって。
そんなの嫌だから、一緒に生活なんかしたくないなぁって。
だから、決めた。
あいつの実家まで、親御さんにご挨拶に行く事とか決まって、いろいろ揺れてたけど。
それで、最近はかなり、結婚って事を考えてばかりだったけど。
「結婚したら、こういう風にしなきゃ」
「結婚したら、ああいうのはだめだよね」
「結婚したら・・・」
そんな風に、すぐ結婚に結びつけちゃってたけど。
やっぱり、今のまんまでいいや。
まだまだ、あたしにはやらなきゃならない事も、たくさんあるし。
当分、結婚とかそう言うの、考えられない。
今の、こういう楽しいって気持ち、離れてるから別れが寂しい気持ち。
もうちょっと、味わっていようかなぁって思う。
これは、冷めたんでも、逃げているわけでも、ないよね?
夕方から仕事。
で。
例の新人。
やっぱり、いらいらする。
昨日の楽しかった事とか、なくなってしまうんじゃないの?ってくらいにいらいら。
休憩中、あいつから電話が来て。
あたしの声のトーンが低いと言われて。
「そぉ?」
って、返事してたんだけど。
やっぱり、おかしいって。
「例の新人君だよ。原因は」
「ああー、初期の俺に似てるとか言う?」
「いや、Hよりたち悪いよ」
「んじゃ、相当だなぁ(笑)」
あいつは笑ってたけど、あたしは笑う余裕なんかなかった。
そんなあたしを、本気で心配しだして。
「マジで大丈夫?」
「何が?」
「何か、凄い変だよ。平気?」
「平気じゃないって言ったら、来てくれるの?」
「うん、当たり前。行こうか?」
「ばーか。平気だよ。だいたい、今12時だよ?寝なって」
って、言ったのに。
午前2時前。
「今日、2時まででしょ?」
ってメールが来てて。
「そうだよ」
って返したら。
「上がれそう?ちゃんと2時に」
「うん、上がれそうだけど、何で?」
「りりかの家の前で待ってるところだから」
慌てて電話した。
「マジで来たの?」
「何、その言い方・・・。嫌みたいじゃん」
「嫌じゃないけど、びっくりしちゃったんだよー」
「りりか、ドライブ行こうよ、待ってるから」
「ドライブ・・・って、明日仕事は?」
「夕方にちょっと行くだけー」
「そうなんだ・・・あと20分くらいかな、上がって家につくまで」
「うん、待ってる」
上がって、着替えて、家に向かう。
あいつは、車の中で本読んでて。
あたしに気付いて。
「お帰り」
って窓から顔を出して、言った。
凄い人だな。
と、率直に思った。
前々から、マメな人だったけど。
こんな風に、この時間に、この距離なのに、来てくれるなんて。
あたしが、もしも逆だったら・・・行かないだろうな、と思ってしまう。
若さの違いなのかな。
ドライブしながら、何度も言われる。
「元気出た?」
出たよ。
すごく、元気になったよ。
もう、なんだって来い!!って位に、元気になったよ。
けど、素直にやっぱりなれないから。
「うん、まぁまぁ」
とか言ってみる。
最近は、こう言う答え方でも、あいつは気付いて。
「嘘つけ。すごい元気になったくせに!(笑)」
って、返してくるようになった。
ちょっとだけ、素直になろう。って決めたよね。
だから。
「うん、実は凄い元気かも」
とか、言ってみる。
朝10時頃、支度してたら。
「ちょっと買い物に行ってきていい?11時までには戻るから」
とか、あいつが言い出した。
「えぇー?もうあたし支度終わるのに?買い物?何でよ!」
「りりかの誕生日プレゼント買いたいんだもん」
「いいよー。マジでいいってば」
「でも、前から決めてたもの買うだけだし、待ってて!ごめん!!」
大慌てで、あいつは出て行って。
11時5分前に戻ってきた。
「なかった・・・」
「何を買いに行ったの?」
「白と赤のバラの花束」
「バラ??何でいきなり?」
「前に心理テストやったじゃん・・・あれを思い出してさー・・・」
ずいぶん前に。
友達に心理テストをされた。
・赤いバラと白いバラで花束を作ります。作る花束の、赤と白の対比はどうする?
結果は・・・赤が「尽くしたい度合い」、白が「尽くされたい度合い」
あたしもあいつも「赤が三割、白が七割」という、結果になって。
「りりか、ぴったりだね!」って喜ぶあいつに。
心理テストを出した友達が「合ってる様で合ってないんだよー、その結果じゃ」と言い出した。
「2人とも尽くされたいってのが大きいんじゃ、不満だらけになっちゃうじゃん!」
ちなみにそのお友達は。
彼女が、赤6:白4だったのに対して。
彼は、赤2:白8だったらしい。
だから、まぁまぁいい相性なんだって、言ってた。
それを思い出した、あいつは。
うちの最寄り駅近くの花屋に買いに行ったけど「白いバラって言うのはこんな小さい花屋にはあまり、ないんですよ」と言われて帰ってきたみたい。
「あーあ・・・りりかが喜ぶと思っていたのになぁ。大きい花屋に行く時間がないんだもん・・・」
と、凹んでいた。
あたしは、一緒にこうやって朝から出かける時間を作ってくれたあなたの気持ちだけで、充分だよ、って思う。
11時に家を出て、12時前に到着。
「誕生日なんだから!」
って、パスポートを買ってくれるあいつ。
最初にお昼を食べる事にして。
お昼を食べながら、どうやって回るか決めたりして。
いくつか乗り物に乗ってから、お昼のパレードを見て。
その後、ブラブラ買い物してから、夕飯を食べて。
乗り物乗って。
2人とも、待ちに待った夜のパレード。
去年行ったディズニーシーで見た夜のショーに、とっても感激してたあいつ。
あたしは、どちらかと言うと、こっちのパレードの方が好き。
小学生の頃、来た事がある。
その時に、見たからかな。
あたしの記憶違いじゃなきゃ、あたしが小学生時代に来た遊園地って言うと、ここだけのような気がする。
昼のパレードは立って見れたんだけど、夜のパレードは座って見なきゃいけないらしくて、地面にそのまま座ったんだけど、冷える・・・。
今日は、何だか曇ってばかりで、昼間から寒い一日だった。
夜は、もっともっと寒くて。
座るのはいいけど、地面が冷たい・・・。
中腰やちゃんとお尻を付けて座らない座り方だと、後ろの人に見えないからって注意が流れてた。
仕方ないなぁ・・・って思ってたら。
「これに座りなよー」
って、あいつが自分の上着を敷いてくれた。
「いいよー。だって、H寒くない?」
「これ敷けば汚くないし、冷たくないでしょ。俺は後ろからりりかを抱きしめてるから、暖かいよ(笑)」
あたしは「冷たそう」とか「寒い」とか、一言も言ってないんだけど。
あいつは笑って「りりか寒がりじゃん」って言う。
そういうところが、凄く好きなんだよ、って思う。
何も言わないでも、ちゃんと見てくれているところが。
パレードは、やっぱりきれいだった。
あいつが、何枚も写真を撮ってくれた。
帰り際、シンデレラ城をバックに、二人でも撮って貰った。
あいつは、明日は仕事だから、パレードが終わってすぐに帰る事にして。
家には9時についた。
もっと道が混んでいたらよかった。
コンビニに寄ってとか、遠回りしたいとか、わがまま言えばよかった。
もっともっと、たくさん一緒にいたい。
家の近くまで来てしまって、あたしはそんな事考えてるくせに。
「今日は、本当に楽しかった。ありがとう」
なんて、言う。
あいつは黙って、車を家と逆方向に走らせて。
戸惑っているあたしに、「ドライブだよ、もうちょっとだけ付き合って」と言ってきた。
また、ばれてる、見透かされてる、って思う。
車を停めて。
「りりか、誕生日おめでとう。29歳になっても、よろしくね」
って、一体今日何度目?って思うくらいたくさん言ってくれた「おめでとう」の言葉を、また言ってくれた。
あたしは、やっぱり泣いて。
泣きながら「ありがとう」って言って。
あいつは「泣く止むまで、帰れないじゃんー(笑)」って笑う。
あたしは心の中で「なら、ずっと嘘泣きしてようかな」とか思う。
結局10時半に、あいつは家の前でおろしてくれた。
寂しそうにしてたのが、顔に出ちゃったのか。
「大丈夫だよ、また来るから」
あいつは、笑って頭を撫でてくれた。
あたしは、やっぱりこいつの手で、癒されるんだ、と実感する。
こんな風に、子供みたいに少しの事で、泣いたり、安心したり。
そんなあたしが、29歳。
29歳の誕生日に決めた事は。
「もうちょっと、素直になろう」
あいつに対しては、もちろん。
そのほかにも。
いろいろな事に対して。
仕事を終えて、夕方6時。
あいつから着信。
「今から行くね」
え?今から???
だって、明日仕事が終わってから来てくれるんじゃなかったの?
「うん、前々から明日休ませてって言ってあったんだよ。だから、今夜から行くね」
「ホントにー?嬉しい!でも、大丈夫なの?」
「うん、もしも急遽仕事になったりしたら、明日の明け方帰るから。やっぱりりりかの誕生日になった瞬間に一緒にいたいじゃん」
あたしは、慌てて部屋をかたして。
急すぎるよーなんて思いながらも。
嬉しい気持ちでいっぱいだった。
高速に乗っている途中のあいつからまた電話が来た。
「明日は完璧休みになりましたー。だから、明日はディズニーへ行こう!俺が連れて行くから」
ディズニーシーは去年行ったから。
今回はディズニーランドへ行こうって、あたしが言って。
あいつも、小学生の時に行ったきりだからって。
でも、今月の半ばか終わりだと思っていたから。
こんなに早く行く事が出来るなんて。
あいつは10時前に到着した。
「今外にいるから、出てきて」
って電話が来て。
外に出たら。
「乗って。夜桜見に行こうよ」
って言われた。
去年の3月の終わりに。
一緒に歩いた、あの並木道。
あたしは、あの時。
どんな事を考えていたのかなぁって思った。
まだ付き合って二ヶ月くらいのあたしたち。
確か、あいつがあたしの手をずっとつないでいてくれた気がする。
そんな、つながっている手を、あたしは見ながら歩いてたんだ。
「この手は、いつかは離れてしまうんだろう」
そんな事ばかり、考えながら、歩いていたんだ。
今日も、あいつはあたしの手を握る。
その握ったあたしの手を、自分のポケットに入れる。
あたしは、ポケットの中で、あいつの手を握り返して。
「絶対に、離さないで。離れたくない」
って、思う。
いろいろな事を乗り越えて、二人で話しながら、笑いながら、泣きながら。
また同じ道を1年たっても歩いている不思議。
1年前と同じ景色の中。
でも、あたしが思う事は、1年前とは違う。
繋いだ手が、離れちゃっても仕方ない。
って言う、諦めじゃなくて。
繋いだ手は、絶対に離れない。
って、確信しているから。
長かったような、短かったような。
そんな一年間。
そして、29歳に明日なり、20代最後の一年間は。
どんな年になるんだろう。
「来年も、またこの道を2人で歩いているかな」
「去年も同じ事聞いてたよ、りりかは(笑)」
「そうだっけ?」
「そうだよ。大丈夫だよ、ずっと毎年一緒に歩いているよ」
「約束ね!」
あいつは、笑いながら、あたしの頭を撫でる。
宴会している人とかいるのに、あたしはお構い無しにキスをする。
昨日の夜景の後、お酒を買ってあいつのよく通っていた(?)ラブホへ。
運転があるから、お互いに余り飲めない。
「いっぱい話聞きたい」
ってあいつが言い出して。
お酒は少しでやめた。
「最近のりりかの周りの様子とか、聞かせてよ」
あたしは、どうでもいいような事を、いろいろ話して。
やっぱりいつもみたいに、あいつは笑顔で聞いてくれてる。
こう言う時間が、あたしは大好きで。
あたしがお風呂に入っている間、あいつはカラオケを歌ってたらしい。
あたしが出たらやめちゃったから。
「歌ってよー」って頼む。
「りりかも歌ってくれるなら、いいよ」
って言われて、お互いに歌わせたい歌を入れ合ったりして。
気がついたら、夜中の二時。
「明日って何時に起きるんだっけ?」
「四時半・・・最低でも五時」
「・・・寝よっか」
で、あたしの携帯でアラームを設定して、寝て無事に起きれて。
朝、あいつの家で車を乗り換えて、あたしは帰宅。
夜、仕事が終わって帰ってきたあいつからいつもの電話。
「母親に、あんたの彼女は礼儀がないって言われちゃって・・・」
は???
え?何で何で?
「うちまで来て、車も置いて行っているのに、何で顔を出さないのか?って・・・」
確かに、あいつの家の庭先に車を停めさせて貰った。
実は「挨拶したほうがいいのかな」と思ってた。
けど、あいつも何も言わないし、固く考える事もないかな、とか考えちゃって・・・。
お母さんやおばあさんに会うのは、まだ先かな、とか。
勝手に解釈したのも確か。
だから、言われて当然だと思った。
「そうだよね・・・。うん、あたしが悪いわ」
「いや、俺も何も考えてなかったし」
「ううん、あたしの方が年上なんだし、ちゃんとしなきゃだったね。・・・今月どこか休んで、改めて挨拶に行かせて」
「マジで??いいの????」
「明日店に行って、シフト確認してみなきゃだけど・・・日曜がいいんだよね?」
「うん、休みだからね」
「わかったよ、ごめんね、いろいろ言われちゃって・・・」
「でも、気にしないでよ、ホント。俺もまだ先でいいかなって考えたんだもん」
嫌な事を先延ばしにしたがる、あたし。
ネガティブだから、どうしても悪い方向へばっかり考えてしまう。
元だんな様のお姑さんと、うまく行ってなかった事もあって。
怖がっていた事も、確かにある。
でも、敷地に停めさせていただいているのはこっちだし。
ちゃんと、挨拶するべきだったなぁって、今更思ったって、後悔先に立たず、だ。
「ばあちゃんは、平気だよ。優しいし何も言わないから。けど、母親からはきつく突っ込まれたりするかもよ?さっきもその話の延長で、いつ結婚するの?とか言われて」
「あー・・・うん」
「俺が仕事をちゃんと覚えて、一人前になったらって答えたんだけど。でも、2人で苦労しながらやって行く方がいいんじゃないか、とか言われて」
「んー・・・」
「だから、結婚の事とか言われちゃうかもしれない」
「うん・・・。分かった」
結婚ねぇ・・・。
先日、再婚禁止期間が終わったばかりだし。
それに結婚自体、したいって今思ってないし。
いつか出来ればいいな、なんて漠然としか考えられないし。
聞かれたら、なんて答えよう。
漠然としか考えてません、なんて、言えないよね・・・。
ドキドキしながら、メールを待つ。
残業だと分かったら、6時までにメールするから、そのメールが来なかったら出発していいよ、って言われてた。
3時くらいから、そわそわ。
「凄いドキドキするよー・・・。まだ残業か分からない?」
6時までメールが来ませんように・・・。
そんな風に考えてたら。
5時。
あいつのメール着信音。
ドキーンとした。マジで。
「今、終わって家に向かってる。7時くらいにつくかな」
よかったぁぁ。
ホントに安心した。
手が震えたもん。メール見る時。
あたしも、支度して家を出る。
「6時半にはつきそうだよ。運転気を付けてきてね」
あいつは、仕事帰りに高速なんか普段は使わないのに、使って帰ってきたらしい。
高速降りて、あいつの家についたのは7時半。
ちょっと降りてから、迷ったりしたので、30分ロスしちゃったけど。
なんとかつけて、よかったー。
あいつの家にあたしの車を停めて、あいつの新しい車に初めて乗る。
「誰か乗せるの、りりかが初めてだよ」
話には聞いてたけど、大きいー。
高級車って言う感じ。
広いし、椅子も電動だし。
最近日本酒は禁止してたし、久しぶりに日本酒飲みたいって思った。
だから、お酒買ってホテル行こうよ!ってあたしから言った。
あいつも疲れているだろうし、早く寝てもらってもいいし!って。
けど。
「ううん。まずは連れて行きたい場所があるの」
あいつが連れて行ってくれた場所は、夜景のきれいな場所。
あたしが、こう言うキラキラに弱いから。
「昼間から時間があるときなら、桜のきれいな場所とかに連れて行けるんだけどね」
「ううん、ここもすごくいいー」
高層ビルの展望台から見る夜景。
あいつの住む街は、高い建物がない。
だから、高いビルから見る夜景は、小さい光の点がたくさんあるように見える。
前に見た、池袋サンシャインの、高いビルが立ち並ぶ夜景もきれいだったけど。
こういう、小さい明かりがたくさん続いている夜景も、すっごくきれいなんだなぁって、初めて知ったよ。
あたし、窓にずっとへばりついて、見てた気がする。
見ながら。
「あれはどの辺?」
「東京はどっち?」
「あれは何?」
たくさん、質問してた気がする。
「きれいー。すっごくきれい」
も連発してた気もする。
あいつは笑って、あたしを引き寄せて。
「りりか、抱きしめていい?」
って、聞いて来た。
「人いるよ?」
「いいよ、別に」
あたしを抱きしめて。
いつもみたいに、あたしを抱きしめながら、髪を撫でて。
いつもみたいに、あいつの服をあたしは掴む。
「やっぱり、一番落ち着くよ、こうしてる時が」
って、あいつは言った。
あたしも、同じ事考えてたときだったから。
なんだか、胸が温かくなった。
夜景を写真に撮ればよかったなぁって。
帰り、車に乗ってから気付いた。
残念がっているあたしを見て。
また連れてくるよ。
って、あいつは笑いながら言う。
そうだね。
ってあたしも言う。
これから、何度でも、ここに来るチャンスはある。
あたしが、この人と一緒になったら、ますます来る機会も増えるんだろうなって思う。
何度も何度も見に来れる。
大好きになった、この夜景を。
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