遺書

2010年02月20日(土) 1919 遭難

空の彼方を見上げては、手を伸ばし
地平の彼方を望んでは、手を伸ばし

空を掴むこの手
幾度も私は、虚無を視る

伸ばせど、何もつかめはしない
否、掴むつもりもなければ、掴めるとも思ってはいない

目を瞑って、耳を塞いで、口を噤んで
死んでいるように生きていっても
喪うものはなにもなにもないの、なにも

見べきものを見ず
聞くべきものを聞かず
言うべきことは、知らない

目を開けて、耳を澄まして、声を張らして
生きているように生きていっても
獲るものはないのないのなにも、ないの

見えてるものは確かに見えて
聞こえるものは確かに聞こえて
言うべきものは、知らない

愛だの夢だの意味のわからないことを呟きながら、
名前も知らない草花を蹴り散らしては、迷走迷走

転がり落ち行く、私は宛ら路傍の石
存在の主張の仕方はわからない
したところで、誰も…誰も彼もが私を気に留めず、この世の春を謳歌する

存在価値など求めていない
存在意義など欲していない

生きている、ただそれだけの毎日
閉じれば良いのか開ければ良いのかよくわからない耳や目や口

ただひとつ、私に笑いかけて、欲しかったのです
ただひとつ、誰かと笑いあって、見たかったのです

それでも私は、何を言うわけでも、何か言えるわけでもなく
私は、私でいた


 < 過去  INDEX  未来 >


死んだ鳥籠 [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加