斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
β版
目次 | <<前へ| 次へ>>
2005年12月12日(月) |
戦略コンサルタントの現実〜就職活動中の学生さんへ |
就職活動中の女子学生の方からメールを頂いた。 戦略コンサルタントを目指しているらしい。
正直言って、お薦めしません。
止めておいたほうがよろしいかと。
僕は、新卒コンサルタントの採用方法に疑問を持っている。 新卒の場合、超高学歴で地頭が良い、と判断されると、内定が得られる。
しかしなあ。 地頭が良さは、必須条件なのだけれど、それだけでは戦略コンサルタントは勤まらない。 僕が重要だと思うのは、耐久力、サバイバル力である。
戦略コンサルタントにとって、徹夜は日常である。 終電で帰宅できる、などと思っていたら、甘い。 僕の場合、電車が動いている時間帯に帰宅することは少ないので、定期すら持っていない。 定期券を持っていても、帰宅はどうせタクシーになるので、収支が合わない。 タクシーの深夜料金で帰宅できれば、ラッキーなほう。 帰宅時間は、深夜というよりも早朝なので、タクシーの深夜料金すら適用されず、通常料金に戻ってしまっている時間帯に帰宅するのだ。 帰宅に使う月額のタクシー代が30万円だぞ!
僕は、1時間仮眠をする予定が、2時間眠ってしまい、大パニックに陥ったことがある。 携帯電話をマナーモードにしていたせいで、爆睡中の僕に連絡がつかなかったのだ。 僕は、3時間睡眠であれば、何の問題もなく仕事を継続できるのだけれど、1、2時間の睡眠時間しか確保できない生活が続くと、さすがにつらい。
戦略コンサルタントになった初日、開放されたのは午前3時だった。 「今日は、初日だから先に帰っていいよ」 「すいません。お先に失礼します」
一週間後、僕は、三徹していた。 72時間眠っていない。 三徹目の朝、午前8時。 プロジェクトマネージャーはプロジェクトメンバーを集めて言った。 「みんなありがとう。とりあえずの目処はついた。今から休憩を取ってくれ。眠るなり食事をするなり自宅に帰ってシャワーを浴びるなり、自由にしていい。2時間の休憩を取る事にする」 当然ながら、2時間では、自宅に帰ってシャワーを浴びてオフィスに戻ることはできない。 僕の通勤時間は1時間。 自宅で過ごせる時間がない・・・。 コンサルタントの多くは、高い家賃であろうと、オフィスの近くである港区内に住んでいる。 睡眠時間確保のためである。 郊外に住んでいる僕は、コンビ二でおにぎりを買って、食べて、床にダンボールを敷いて1時間ほど寝ました。
僕は、入社した当時、あるマネージャーといつも一緒に仕事をしていた。 午前6時頃になると「ちょっと寝ますか」といって、オフィス内のダンボールを探しはじめる。 慣れた手つきでダンボールでベッドを作る。 スーツを脱いで、パンツとTシャツだけになり「じゃ、先に眠らせてもらうね」。 携帯電話のアラームを一時間後にセットして、10秒で爆睡。
ある人は僕にアドバイスをくれた。 オフィスの排熱管の配管の構造である。 「床下の排熱管の上にダンボールを敷くと、快適に眠れますよ」。
僕は、ダンボールベッド派ではなく、椅子ベッド派である。 オフィスでの快適な睡眠のための椅子の並べ方には長けている。 コツは、足を高めにすることだ。 椅子でベッドを作る際、足を高めにセットすると、足のしびれが少なくなる。
戦略コンサルタントはこういった職場環境なので、採用プロセスも見直すべきだと思う。
僕の提案は、72時間連続で小学校高学年から中学生レベルの算数ドリルを大量に解きつ続ける耐久力テスト。 当然ながら、時間を計り、頭は常にフル回転させる。 食事、睡眠の時間も込み。 72時間の制限時間のなかで、算数ドリルを解きつつ、自分の判断で、睡眠、食事を取る。 ただの算数ドリルでは、地頭の良さを計れないので、数列などの問題も混ぜる。 難しい問題は点数配分を多くする。 時間をかけて、点数配分の高い問題を解くか、簡単な算数ドリルで量を稼ぐか、睡眠、食事時間をどう配分するかは、自己判断。 これで、モノゴトの優先順位づけの判断力もチェックできる。
入社後のことを考えると、戦略コンサルタントの採用プロセスは72時間耐久レースのほうが正しい判断ができるはずである。 72時間耐久入社テストのほうが、現実的じゃないの?と。
シャワーも浴びれず、ダンボールベッドで一時間程度の仮眠を取りつつ、コンビニのおにぎりだけでサバイルできる人ではなくては、戦略コンサルタントとして生きていくことはできない。
戦略コンサルタントに夢を抱いている学生は再考すべし。 ちなみに僕の昨年の年間総労働時間は、3537時間です・・・(食事時間、通勤時間を除いた実質労働時間)。 外資の投資銀行もほぼ同じ感じの職場環境だそうです。
新卒では、優良大企業に就職すべし、だと僕は思いますです。
目次 | <<前へ| 次へ>>
|