ようやく風邪が快方に向かってきた。 これほど厳しい症状になったのはひさしぶりのことだった。 古い日記を調べたほどだった。
なるほど「風邪で苦しんだ」などという記述が古い日記に結構、目につく。しかし、完全に寝込み、熱にうなされ、胸が痛くて咳をするのも苦しいというようなことはなかった。 今回の夏風邪は悪性で、治りにくかった。
風邪をこじらせると心臓に負担がかかる。きつい薬を飲んだりするとなおのことである。 風邪をこじらせて亡くなる人は大勢いる。風邪だといって馬鹿にはできないのだ。
久しぶりに「病人」になった。つまり完全に脱力し、安静にし、病の猛威が過ぎるのを観念して待っていた。 そうなるとまず「眼」が変わる。病人の眼は潤んでいて、妙に静かである。
そんな眼にも少しだけ力が戻ってきた今朝、オクラの花が咲いた。 この色。 この色がみたくて種を蒔いたのだった。
静かな白だ。
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