寝苦しい夜だった。午前一時に目が覚め、サイドスタンドを点けてぼんやりしていた。 今夜、この家で寝ているのはぼくと犬のハナと猫四匹である。
ベッドの横で寝ている犬の様子を伺うと、薄目をあけてこちらを見る。 慌てて小さなランプに変えた。 猫はたぶん家のあちこちに寝ているだろう。
サイドボードに置いた文庫本の続きは読む気にならない。 ヘッドフォンを耳に当てた。中学生頃からの、眠れない時の半ば習慣である。 昨夜まで寝る間際に聞いていたCDが積んである。 ネヴィル・ブラザース「ヴァレンス・ストリート」「ブラザース・キーパー」、ニーナ・シモン「ヒア・カムズ・ザ・サン」、ビートルズ「アビイ・ロード」、スージー&バンシーズ「ティンダーボックス」、ウエス・モンゴメリー「アウト・オブ・マイ・ヘッド」、ラヴサイケデリコ「アーリー・タイムス」、バンブー茂「マタタビ」、トム・ウエイツ「ナイト・オン・アース」ライトニン・ホプキンス、JJケール、ケニー・ドーハム…。
そのなかからジェシ・ヴァン・ルーラーの「トリオ」を抜き出した。 ジヤズ・ギター・トリオというのはあるようであまりない。 あるギタリストに教えてもらった作品である。
三人だから、音と音が「聴きあっている」感じが伝わってくる。 インタープレイ。ピアノトリオではおなじみだけど、ギターだとまた違って新鮮だ。 静かなイマージュがアタマの中を水のように流れていく。
スタンドを消して、眼をきっちりと開けた。
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