冬を越えて、桜がちらほらと咲きだす前後から薔薇の新しい葉が現れる。初めて世界に触れた「肉」のように思えるのはその血の色に似た赤のせいだろう。手で触れてみると柔らかい。柔らかい血の葉が茎の至るところに小さく現れ、成長をはじめる。茎もぐんぐん伸びていくのだが、その茎に現れる棘もまた赤い。やがて世界に慣れ親しんだように、葉の赤は緑に、棘は焦げ茶へと沈んでいく。赤い新葉に包まれていた蕾がいよいよ姿を現す。花までもう少しだ。