ぼくはほとんど夜、外に出ない。 皆無といっていいぐらい。 十代の後半からある年齢まではその逆で毎日夜は外にいた。 特に20代はほとんど家にいなかったからその頃のテレビ番組とか、どんな歌がはやっていたとか全く知らない。
犬と暮らしだしたことが大きな転機になった。 たぶんそうならなければネットもやらなかっただろうし、詩や文章もこんなふうにはならなかっただろうと思う。 それどころか肉体的にはかなり危機的な状況になっていたとも思う。
生後間もないハナが車の下に棄てられていて、それを拾い上げた時に人生が変わった。 やがてジャンが加わり、理屈抜きで夢中に犬と向き合う日々が続いた。 やがてジャンがさよなら、といってハナが残った。 夜はずっとハナと一緒にいる。
今晩、町内のあるお爺さんが亡くなり、ぼくは当番ということもあって葬儀ホールでお通夜の受付をするために出かけた。 たまたま家のものも外出しなければならず、ハナがひとりで留守番となる。 猫たちはそういうのはへっちゃら。四匹でくっついている。
昼間なら時々ハナはひとりなるけれど、ひとりの夜は久しぶり。そのせいか家のものが帰ってきた時の歓待ぶりはすごかったという。 ところがひととおり喜ぶと、玄関から外を見て動かないのだという。無理に部屋に入れるとこんどは出窓にのってずっと外を見ているのだそうだ。
普段はストーブの前から動かないのに、つけても知らん顔。 家のものがじゃれても相手にならない。さっきの歓待ぶりはなんだったのかというぐらい。
で、やがてぼくが帰り着くと、耳がぺたんと折れて、切ない声をだし、尻尾を激しく振り、おろおろおろするそうだ。 横で見ているとしらけるほどだという。 家のもの曰く、ハナはあんたがいなきゃ駄目だよお。
今は安心したようにストーブの横で寝ています。 大丈夫、ずっと一緒だよとアタマを撫でるのでありました。
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